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王道を王道たらしめる作品。金持ち、傲慢で女遊びの激しい主人公の男性が、障がいを抱えている、才能溢れる女性に本気の恋をする。王道が故にすべてを肯定しがち、それでもって映画はヒット……。私にとっては、ドラマになる要素をあらすじで示せてしまう映画は味気がなく、消費される恋愛外国映画のカテゴリーに属してしまう。フランス映画「パリ、嘘つきな恋」のリメイク作品とのことだけど、誰が撮ったらいいかなと妄想……キャメロン・クロウだ! そしたらちゃんと面白くなりそうなのに!
舞台はポートランドに近い、オレゴン州の港町。その閑散とした町とは裏腹に、陽気な地元の人々。主人公のみが寂寥感ただよう町の空気感を背負っている。監督はフランの特徴に焦点を当て、生活の細かい隙間まで冷静沈着に設計している。おそらく就寝時間にも誤差がないフランは新しい同僚に出会い、寝室脇にあるデジタル時計の時間が進んだ。彼女の微細な感情の変化に至るまでの貴重な時間を体験。エニェディ・イルディコー監督「心と体と」と並ぶ、静かに心に残る稀有な良品質の作品。
さすがの「ジュラシック・パーク」製作陣はオクラホマの麦畑、そよぐ草の立体感といい、自然を生き生きと見せるのがお上手。しかし、たちまち巨大な竜巻が美しい風景と地元の人の生活を奪う。ちょうど試写室を出たときに、空がドヨンとしてて、しばらくは震えてたのでかなり没入していた。パニック映画を見ると、もしそうなったときに助かる方法を心得た気持ちになる。実際に竜巻に遭遇した人のインタビューとメイキング映像も合わせて楽しんだ。車にドリルが装備されてるの、いいなぁ。
アクション映画で絶好調のデイヴィッド・リーチ監督。スタントマンとしての経験で内側から見てきた映画界をポジティブに取り入れて、映画愛が炸裂。ぜひ、スタントマンにもオスカーの受賞を……! 各部署が完璧な仕事をしていて、一体感◎な皆さんのおかげで俳優は仕事に徹していられます。感謝。こんな感じで仲間と映画作れたら最高だよね。本作を観た後に真面目な話はしたくないけど、(実はあまり観てこなかったジャンルだったので)アクション映画って際立って編集が要だと感じました。
リメイク元の「パリ、嘘つきな恋」は未見だがほぼ同じプロットらしい。金持ちのクズ男の性根を、強く賢い女(でも彼女があまりに高スペックすぎるのが、まるで障がいを相殺するための設定のように見えてしまいそうなのはつらい)が叩きなおすだけでなく、恋人にまでなってあげるというおなじみのパターンの物語で、こういうのは俳優に魅力がないと見ていられないのだが、M・レオーネがとてもよく、P・ファヴィーノの芸域の広さにもびっくり。いつの間にやらカップルが複数成立しているのも可愛い。
人づきあいに悩んでいる、というよりみずから孤独を選んでいるようにしか見えないフランの芯にあるのは、無価値な自分は誰からも愛されるはずがないという思いこみなのだろう。自分を愛することができない彼女は当然空想の世界に生きざるをえないのだが、ロバートの出現が彼女の硬い殻にひびを入れはじめる。状況を打開しようと主人公が行動する瞬間がほぼ終盤に至るまでないので、その意味で「何も起こっていない」かのように見える映画だが、その「何もなさ」はなんと豊かで変化に満ちていることか。
こんな非常時に「フランケンシュタイン」の上映を続けている場合か!とか思うが、スクリーンが破れたその先に、まさに人間が自然=神に挑戦する光景が広がっているという趣向なのだろう。竜巻が繰り返されすぎてこちらが慣れてしまうのが難だけど、最初の竜巻の壮絶な描写は、のちの展開に非常に効果的。「ミナリ」の監督が起用されたことは誰もが意外に思うだろうが、CGと人物描写とのバランス感覚と、風景を取りこむセンスが抜群。魅力的な次世代スターの顔合わせもあって、今後伝説になる映画かも。
死体発見を機にプロットが急転換するのを、「えっ、そんな話だったの?」と必要以上に唐突に感じてしまい、以後の展開もごちゃごちゃして見えてしまうのが、自分のせいなのか脚本と演出のせいなのかと考えこんでしまうのだが、SF超大作映画の撮影風景を見られるのが何より楽しく、エンドロールでそのさらに裏側まで見られるのも楽しい。女性キャラが全員、暴れはじめたら徹底的に暴れるのも愉快。主演ふたり快調。多くのアクションシーンのなかでも、〈見つめて欲しい〉が流れるシーンが最高にアガる。
仏映画「パリ、嘘つきな恋」のリメイク。モテ男の独身経営者が車いすテニス・プレイヤーでありヴァイオリニストの美女と出会い、彼女を口説くために自分も車いすの障がい者と偽り積極的にアプローチするコメディ。これぞイタリア伊達男といったファヴィーノと抜群の美貌を誇るレオーネといったスクリーン映えする二人のやりとりの軽妙洒脱さが見事でヨーロッパならではの大人のラブコメを堪能。イタリア人がそのイタリアらしさを苦笑している感じも良い。
「スター・ウォーズ」のレイ役でブレイクしたデイジー・リドリーの主演・プロデュース作。常に自分の死にまつわる妄想を考えている地方都市の孤独なワーキング・ウーマンが職場に新たに入った男性などとの出会いによって徐々に変化していく様子を描く。彼女にシンパシーを持つ人はいるのだろうと思うが、いかんせん物語のグリップ力が弱すぎる。女優プロデュース作はより自分が綺麗に見えるか、または極端にネガに見えるかをやる傾向があるが、これは後者。妄想シーンの美学的な世界に星ひとつ追加。
米オクラホマ州を舞台に、巨大化する竜巻に対し竜巻破壊計画を企てる若きチームの奮闘を描く。スピルバーグが製作総指揮で、彼が以前に製作総指揮を務めた「ツイスター」(96)よりもスケール感&VFX感がアップ。今回は監督が「ミナリ」のリー・アイザック・チョンで、もっと人間ドラマが描かれているかと思いきや、シナリオが凡庸であくまで竜巻中心の筋運びでガッカリ。才能ある若手映画作家がブロックバスターを手がけると、予算とVFXはふんだんだがドラマ性や美学性が稀釈されるというハリウッド・システムの悪しき最新例。
撮影中に大怪我をして業界を去ったスタントマンが、元恋人が初監督となる撮影に復帰するも、殺人事件に巻き込まれる。スタントマン出身で「ブレット・トレイン」でも知られるデイヴィッド・リーチ監督がTVドラマ「俺たち賞金稼ぎ!! フォール・ガイ」から題材を得たスタントマン讃歌。映画関係者しか出ないため映画ネタ満載の会話も楽しく、アクション馬鹿への愛に溢れた、マーケティング先導でない快作。タイトルバックのメイキング・シーンも素晴らしく、映画という命懸けの嘘を作る気概を感じる。