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多少無理のある設定ほど青春ラブコメは盛り上がるものだが、この作品はだいぶ語りの難易度が高い。イケメン男子の人違いにそのまま乗っかり、他人のふりをして交換日記を続けてしまう自己肯定感の低いヒロインには、危なっかしさを通り越して狂気すら感じる。ひょっとして「ニーナの情事」的なツイストが?と思うと、あながち間違っておらず、きちんと面白くなるところがエライ。アニメ版『チェンソーマン』のファンとしては“あの曲”がこんな大々的に使われるのも想定外だった(しかも2回も!)。
紀元前中国の春秋戦国時代を日本人キャストで描く違和感、実写になるとより際立つ主人公のヤンキー漫画的メンタリティなどは、今さら言及しても詮ないこと。作る側も観る側も、その壁を乗り越えて作品世界に没入するスキルを要する異貌の超大作であり、そんな間口の広さとニッチな特殊性の融合こそが本作の醍醐味だろう。原作の「紫夏編」「馬陽の戦い」という見せ場を橋渡し的に組んだ異色の構成、それで一本作り切ってしまうところにもドル箱シリーズの勢いが感じられる。
主人公の女性2人が腋毛を見せながら踊り狂う冒頭、韓国の女性活動家団体を追ったドキュメンタリー「バウンダリー:火花フェミ・アクション」を思い出すが、あそこまでのパワーや鋭さは感じられない中篇コメディ。世にはびこる性的蔑視や偏見、抑圧に対する怒りをパフォーマンスとして表明する親友コンビが、高潔な思想とわびしい現実の狭間でもがくドラマには、確かに胸を打つ場面もある。が、悪ふざけのような演出、粗いコント風の芝居づけが、真に迫る瞬間をたびたびフイにする。
GENERATIONSファンに心霊ホラーの洗礼を受けてもらうという企画自体がまず秀逸。メンバーそれぞれに個性や特性を持たせたキャラ作りも気が利いていて、その他の登場人物や舞台設定は極力シンプルに削ぎ落す作りも効果的(ちなみに怖がり顔は関口メンディーがベスト)。巧みな視線誘導を駆使した清水崇監督の恐怖演出も冴えており、「呪怨」シリーズを思わせる要素や「ザ・ショック」の名場面再現まで盛り込む豊富な手数に、若い世代へのホラー文化の継承意欲も感じられた。
逆・R指定、つまり18歳以上の人が観るには18歳未満の女子同伴に限る、なんて。むろん冗談だが、この作品のチラシには、全女子共感の青春小説の映画化とあり、実際、移動教室の机に残されていた宛先不明のメモふうのラブレターをめぐる思い込みは、演出はかなり丁寧だが大人が付き合うには忍耐を要する。しかもメモを残したのは学校イチの人気男子で、手にしたのは放送部員なのに口下手という女子。ただネットとスマホの時代にあえて交換日記を使うのはほほえましく、ま、いいか。
スペクタクルな戦闘絵巻が見せ場の映画だけに今回もそれなりに期待は裏切らない。特にスリリングだったのは、趙国で虫ケラ扱いされていた若き日の嬴政を、女闇商人の紫夏が連れ出す西部劇さながらの場面。砂漠の大地を疾走する荷馬車と追っ手たちとの攻防で、紫夏役・杏の冷静なアクションが素晴らしい。前作の終盤で圧倒的な存在感を見せた王騎役・大沢たかおの含み笑いは今回も効果的で、王騎の戦術の見せ方も小気味いい。俳優陣の豪華さも見どころの一つだが、無駄遣いの人も?
42分、いささか食い足りないのは否めないが、世間の風潮にたいする二人の女性の不満と落とし前のセンスの良さに拍手を送りたい。現実が変えられないなら、現実など無視して自分たちは好きに生きよう。説明を極力排した演出も痛快で、何よりキャスティングが大金星。親友同士役のうらじぬのとファーストサマーウイカの表情と演技と妙ちきりんなダンスは、いつまでも観ていたくなる。足下が燃えている“炎上男”については突っ込みを入れたくなるが、ふくだ監督、この作品の続篇を!
清水監督の前作「忌怪島」はくたびれ儲けのホラー映画だったが、この作品は脚本に仕掛けがあり、映像にもドキッとする。やはり恐怖は理屈ではなく、得体の知れない不条理さが不可欠なんだと納得したり。そういえばイーストウッドの監督デビュー作は自ら主演したサイコサスペンス「恐怖のメロディ」。あの作品とは設定も感触も違うが、ウタを恐怖の小道具にした展開ということで、つい連想を。実名で登場するGENERATIONSの面々の演技も各々見せ場があり、演出も思い切りがいい。
交換日記が世間を騒がした時期に観てしまったのは兎も角、手紙から日記、なりすましと、映画らしさに満ちた設定が活用される。放送室を充実した空間へと作り上げ、自宅で親を出すような愚を犯すことなく、世界観を崩さない(遊園地のWデートは嘘が露見しかねない最大の危機のはずがサスペンス皆無なのは不満だが)。満男の娘役で記憶されることになった桜田ひよりは、松竹撮影所制作の本作でも翳りと光を併せ持つ演技を見せ、松竹女優王国の復興には彼女の存在が不可欠と思わせる。
もはや大沢たかおが最大の目当てと言って良いシリーズだが、今回は怪演にいっそう磨きがかかり、美川憲一と見紛うばかり。吉沢亮の回想で水増しされているものの(荷馬車による脱出シーンは柴夏役の杏もアクションも不調)、小隊を率いる山﨑賢人が大軍の只中にいる敵将をどう討つかというB級戦争映画的な作戦が主軸となるため大味にならず。後方に控える大沢の呵々大笑が映画を締める。なお、同名題のラース・フォン・トリアーの新作が同日公開につき、勘違いの発生を期待させる。
たどたどしさを残しつつ、それが独自の魅力だった長篇第1作「おいしい家族」から瞬く間に間然するところがない商業映画の担い手となった監督が、原点回帰を見せる。「極私的エロス」の武田美由紀的な雰囲気を持つ主演の2人はウーマンリブの時代からやって来たかのようだが、高円寺で撮影されたことで時空間を超越した寓話的な世界が生まれ、抑圧された女性たちへの憤りも炎上男も包み込む。予想外のウイカのハマりぶりにも瞠目。中篇だけに問題の提起に留まったが、賽は投げられた。
GENERATIONSが本人役で出演する古典的なアイドル映画風味に、清水崇のホラー演出技倆が程よく混在することで絶妙の均衡を見せる。映画における恐怖が〈声〉にあることは、「呪怨」のエッジボイスを発案した監督だけに当然熟知しており、かぐや姫解散コンサートの有名な心霊テープをモチーフにとり入れ、カセットテープと録音を効果的に活用。死の瞬間を鮮明な映像で残す自殺配信が増えた今、声によって死を想起させる本作は、想像する余地を残すことで恐怖を増幅させる。