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感動作なので是非ご覧いただきたいが、ちょっぴり残念なことに優等生的な感動なんだよな。最初を見れば終わりが分かるという。そういう映画はあっていいんだが定型を超える細部の輝きが欲しかった。特に隣人の愉快な黒人青年との絆が失われる過程が説得的に描かれないのは問題。結局、TOYOTAのせいなんですか。不動産屋が一方的に悪者でSNSジャーナリストが善人、という発想にもなじめない。若者時代と老年時代を満遍なく描こうとして虻蜂取らずになってしまった。惜しい。
中国の高山地帯の風景を見るだけで必見、とりわけ融雪洪水の場面が圧巻。ドキュメンタリー映画に時々登場する真っ平な塩湖の絶景にも見惚れるしかない。だが(実話だから文句を言うと怒られそうだが)車いす女性のエピソードが無駄。これを省いて80分にしていたら傑作なのに。ベア・グリルズだってエド・スタッフォードだって一人で何でもやってるではないか。CG合成の竜巻も不要。ピュアリティが却って失われる気がする。動物と青年の関わりだけで絶対面白くなったはず。惜しい。
黒人カルチャーの映画というのは好みなので期待して見た。黒人教会の礼拝が一種のファッションショーだった、という好例がカラーで示されたり、自身が祖母と過ごした平穏でクリーンな少年時代をカポーティの『クリスマスの思い出』に喩えたり。本人の証言は面白い。しかしサンローランのスタッフに陰では「ゲイの猿」と蔑まれていたといった話を聞くと、要するにそういう程度の社会だよね、米国ファッション業界なんて、という怒りがこみあげてくる。これは私の偏見でしょうが。
CGアニメが嫌いな私には苦痛かと危惧したものの、そういう人向けに配慮されているようで随所に昔ながらの手描きタッチが溢れていて、嬉しい。三つ巴のバトルがレオーネ映画を踏襲しているのは、突然音楽がモリコーネ風になるのですぐに分かったが、これは同時に東映動画へのオマージュでもありそうだ。あの森は「ホルスの大冒険」の迷いの森でしょう。矢吹公郎の「長猫」だってスタッフは見ているだろうし。しかし★がもう一つなのは可愛さを狙った画が効果的じゃないから。
断続的なフラッシュバックはつまり自死を目論む男が美しい過去へと何度も手を引かれていることを暗示する。回想の時間的距離はときにガラスの曇りを用いた映像で表現されるが、しかし彼が過去へと連れていかれそうになるたびドアを叩く音などで遮断される。本作は生をこの世に留めようとする何気ない出来事の連なりの美しさを描く。トランスジェンダーの逸話が含まれる以上、誕生した命を祝う場面で「BOY」(割り振られた性別)の文字を強調し青色で彩る描写に再考の余地はある。
マイ・フェイバリットであるウォン・カーウァイ「花様年華」、是枝裕和「空気人形」、トラン・アン・ユン「ノルウェイの森」を結ぶ共通点が、すべて撮影をリー・ピンビンが担当していることに気がついたことがあった。本作の撮影監督がそんな彼にあって、さすがに広大な自然を捉えた厳かなロングショットなどに目を見張る瞬間があるとはいえ、人間がそこには映っていない。実際かなりの労力と危険を冒して撮影されたにもかかわらず、それが画面から伝わってくることはない。
昨年逝去したファッション界の巨匠アンドレ・レオン・タリーの来歴をめぐるドキュメンタリー映画。黒人男性という属性により被差別的な処遇に置かれざるを得ない当時のアメリカの苦境の中ですら、臆することなく貴族のように絢爛な服装で着飾り、「ファビュラス」を体現し続けたアンドレの生き様に瞠目。ただそうした振る舞いだけでなく、アンドレの仕事がどのように受容され、影響をもたらしたか、ファッション史においての位置付けを概観できる俯瞰的な視点がもう少し欲しかった。
吹き替え版で鑑賞。2011年に製作されたシリーズ前作も高いクオリティだったが、まったくダレずにハイテンションのまま駆け抜ける、負けず劣らずの力作。時折、絵の具で描いたような絵本を模したタッチに変調するのも功を奏している。家族、友情、恋人関係などの多様な在り方を余すことなく詰め込み、多くの観客へと開かれた物語になっている。ただし悪役に「共感能力がない」という台詞があり、共感性に基づいた排除の論理の危うささえ除けば完璧な家族映画として推せる一本。
夫婦の出会いの素晴らしさ以外はパワハラじじいのイキり走馬灯観賞にずっとつきあわされているような理不尽な感覚。何よりトム・ハンクス演じる主人公オットーの心理変化の契機がほとんど描けていないので、つぎつぎと都合よく来訪する他者に心を開くようになっていく理由が皆目わからない。開いたから開いたんだという強引であざとい展開はこれ系の映画によくある、生き物ならば落涙せずにはいられない終末に向かって観客を無骨に引きずっていくわけだが、強烈な違和感は払拭できず。
中国のトヨエツが中山美穂っぽいヒロインと感傷的な言葉を引き連れチベットの大地をゆく。と、道具立ては某巨匠の作品を想起させるのだが、残念ながら恋愛ドラマも野生動物たちとのサスペンスもうまくいってはいない。だが想像をはるかに上回るチベットの景色を引き画で見せられると、そんな物語構成上の些事などどうでもよくなってくる。自分が生きているうちに決してたどり着くことがないであろう世界のどこかにはこんな景色が広がっているのだと夢想させるだけでも映画は十分だ。
魅力的な人間が生活している様子をとらえればそれはおのずと映画になるというお手本のようなドキュメンタリー。ジム・クロウ法下のアメリカ南部で生まれ、決して裕福とはいえない家庭の出であったアフリカン・アメリカンの青年が、白人貴族たちのたしなみであるファッション業界に単身飛び込み、本場フランスにおいても唯一無二の地位を築いたという事実は少なく見積もっても奇跡としか呼べないわけだが、本作はそんな奇跡もうなずけるアンドレの知性とチャームを存分に伝えている。
バンデラスとハエックのラテンなノリの掛け合いを期待していただけに、この「ただ読んでいるだけ」の吹き替えを聞かされるとレコーディングを68回も行ったという制作者の意図などまったく尊重されないのだなと資本の暴力を呪わずにはいられないわけだが、練り込まれているとはいえない脚本をさほど魅力がないキャラクターたちが躁的に演じるアニメを楽しむのはなかなか厳しい。手書きアニメーション風の戦闘シーンだけは空間を縦横無尽に使っていて涙が出るほど素晴らしかったが。