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シベリア抑留の映画化に心トキメいた。すぐに、抑留の描写は瀬々さんがやってさえこの程度なのかと絶望した。雪に覆われているのに寒さは感じず、食べ物不足は描かれても飢えは伝わってこない。なんちゃって描写の連続。日本映画の限界か。なら、日本映画は本当にクソ。韓国映画から周回遅れどころじゃない。走っているトラックが違う。それは他人事ではないのだけれど。結局、泣かすのは犬と死。遺書のくだり、長過ぎるって。作品の失敗は後に続くこの手の企画を殺す。せめて入れ。
恋愛感情もない性欲もない主人公。しかし親や周りはやれ結婚と普通を押しつける。王子に選ばれて満足なのかと作り直すシンデレラ話。トム・クルーズのベストは「宇宙戦争」で、他のトムの走りは何かに向かっているけど、これだけはただ逃げ続けているからと言う。小ネタと言えば小ネタだが、その使い方が上手い。「あのこは貴族」に届かなかったのは、普通を最初から拒んでいるからか。しかし、ありのまま存在するという、より難しいテーマに挑んでいるから仕方ないか。名古屋弁がヘン。
伝え続けなければと戦場記者は言う。結局何も変えられないけれどとも。それだけの自覚があるなら、それを逆転させる力のある映画が見たかった。パレスチナ、ウクライナ、アフガン。しかし映画でしか見れない映像はついぞ現れない。テレビならNHKスペシャルに遠く及ばず。戦場記者による戦場案内。しかも最前線ではない。TBSの社員だから仕方ないのか。本当に危ないところはフリーが行ってるしな。大仰な音楽。そんなもので映画にはならない。映画だって戦場だ。舐めるな。
開始3分でダメだと思う映画がある。冒頭、裏ポーカー屋での喧嘩の省略。宙を飛ぶトランプ。床に倒れている客たち。これでイヤになった。しかし探偵への依頼は失踪したクルド人女探し。依頼者は比人の両親を強制送還された過去のある女。VシネマのNGかと思っていたので、襟を正す。そんなテーマを描くのに、ウソ描写では興醒め。なぜ追いかけられて、わざわざ人のいない方に逃げる? 脚本の志は高いのに。脚本家の最大の防御は監督の選択。そのミスが痛い。日本が大嫌いが虚しく響く。
弱者への共感――。メジャーの大作やメロドラマであれ、自身が企画した野心作であれ、瀬々敬久の映画に一貫するのはそれだと思う。そんな瀬々の資質が明確に表れた作品。苛酷な抑留生活に加え、敗戦後にもかかわらず旧日本軍の階級の序列が温存されたソ連収容所での不条理を実に生々しく描いている。みなが長いものに巻かれ、道義に目を背ける。一人を生贄にして、大勢で攻撃する。極限状況がいかに人間を追い詰め、弱き者が犠牲になるか。それはまさに今日的なテーマだ。
恋愛感情を抱くことができない人を題材にしているが、偏見を排し、濁りのないリアリズムで撮っている。三浦透子が演じる30歳前後のひとりの女性が自分らしく、ナチュラルに生きていくこと、それを描くことに集中している。彼女のジェンダーなどどうでもよくなるし、どんな性自認の人にも訴える力がある。多くの人が無意識にもつ同調圧力を的確にとらえ、上辺だけをつくろう社会を撃つ。友人たちの心変わりにドラマとしての唐突さもあるが、主人公の心情は鮮やかに出ている。
TBSの中東支局長、須賀川拓記者がガザ、ウクライナなどの紛争地を取材する姿を追う。対立する両者に取材を重ねて紛争地の現実に迫り、SNSも駆使して発信する記者の姿勢に共感するし、優れた仕事に敬意を表したい。ただこれを映画作品として評価するのは難しい。さまざまな現場から須賀川氏の活躍と誠実さは伝わるが、個々の紛争の深層に迫るのは別の機会を待つしかない。記者を志す日本の若者には薦めるが、世界の観客の鑑賞には堪えうるだろうか。そういう意味でテレビ的な企画。
北村有起哉はいい俳優だ。人間の強みと弱み、嘘と本音、虚勢と真情を同時に表現できる稀有な人だと思う。この作品で演じている、ヤクザとも顔なじみの一匹狼の探偵というのは、実にはまり役。夜の歓楽街にヌーボーと立っているだけで絵になるし、それだけで見る価値はある。ただ映画全体としてはどこか物足りない。とうにプログラムピクチャーの時代ではないのに、無理にプログラムピクチャーを撮ろうとしている感じ。それがありありだと、単なるノスタルジーしか残らない。
俳優陣の真摯な熱演が光る良作とは思いつつ、主人公との関わりのみで機能している風にも見える登場人物像への物足りなさに加え、呆気にとられるほどの元野良の忠犬ぶりや、四者四様の戦友の巧妙に伏線を回収する役回りに、少々あざとさを覚える。結婚式に始まり結婚式に終わる構成も、悲痛なストーリーにポジティブな彩りを与えてはいるが、家庭や家族を築くことこそが愛の前提であるがごとき古めかしい価値観が随所に見え隠れし、作品の間口を狭めてしまったように感じられた。
不本意なお見合いで出逢った似た者同士が、いかなる関係性を育むのか目を引くも、早々に男性が恋心を抱き脱落し、いささか拍子抜け。事情を背負う者は地元に戻るというステレオタイプな設定の中、いかにもワケありの同級生やゲイの友人ら興味深い面々を配し、多様性を謳うスタンスを覗かせはするが、それぞれは掘り下げられぬままに通り過ぎる。せめて、主人公が自らを投影した『新説・シンデレラ』の概要ぐらいは見せてくれなければ、本作を撮る意味すら半減するのではないか。
“戦場記者”と銘打つも、アフガニスタンにおける、通常の報道でも見落とされがちな薬物依存者が埋めつくす溜まり場の惨状が、ガザやウクライナの紛争の生々しい傷跡をも凌駕する衝撃を放ち、生きることこそ闘いなのかと言葉を失う。時には取材対象の私生活にも立ち入る自身の仕事に対し、直接的には誰も救えぬ無力感や“偽善”なる疑念に襲われつつ、自問自答を続ける須賀川氏のジャーナリスト然としていない親しみやすい実直さに、世界情勢の混迷を、一層身近に痛感させられる。
土地開発が急速に進む街にしがみつき、滅びゆく各々の運命に抗う、しがない探偵とヤクザと中国系マフィア。生き残りをかけて悪あがきする彼らが、同類相哀れむがごとく奇妙な友情や同志愛のようなもので結ばれる主軸のドラマは、新鮮味には欠けるが、丸腰でのアクションにもチームの本気度がみなぎる。視野を現代社会にも広げ、移民問題やヘイトクライムまで貪欲に盛り込む意欲は買うも、失踪したクルド人の描写などは設定レベルに留まり、台詞も説明的で、消化不良の感は否めず。