パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
公開年:
現在の文字数:0文字
氏名(任意)
日本に比べてドイツは、自国民による戦争責任の問い方がきびしいと言われているけれど、フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判を描くこの作品を見ると、50年代から60年代のドイツでもナチス犯罪の記憶が忘却されかけていたことが分かる。犯罪者たちは平然と市民生活を楽しんでいて、作者はそんな時代の気分をリアルに演出。暗い過去をあばく青年検事は疎外されて苦悩するのだが、自分の父親がナチス党員だったことくらい、賢い少年時代に分かっていたはずで、ここは嘘を感じた。
娘を乗せた車で妻と痴話喧嘩中、交通事故を起こし、妻を死なせてしまった作家の苦悩をR・クロウが熱演。異常なくらい密着して生きていく父と娘。トラウマを抱えた娘は成人し、愛と性の乖離に悩むという展開は、複雑なものではないのだが、ディテールの詰めが甘すぎる。知的な娘役のA・セイフライドは自分を解明するために心理学を専攻しているはずだけれど、不安を抑制できず、恋人を悩ませる。その青年もクロウのファンというだけで、作品のどこに魅かれているのか、不明だった。
邦題からして娯楽的ジャンル映画を期待すると、見当はずれ。肩に力の入ったカンヌ映画祭招待作品だ。二人の男の愛に揺れ動くチョン・ドヨンは成熟した女というか、生活に疲れきった女の存在感を巧みに演じ、ファム・ファタールどころか、見ていて辛い。一方、男たちの物語が曖昧すぎる。刑事役を熱演するキム・ナムギルには別れた妻もいて、謎めいた過去があるのだが、最後まで不明。彼に追われるパク・ソンウンも見た目ばかりで具体性がなく、侘しい風景の鮮烈さに食われてしまった。
ハリウッドに抵抗を試みたニコラス・レイやアルトマンに関する評伝や映像は常に興味深い。この映画も家族の協力があったにせよ、ポーリン・ケイルから「ポパイ」を罵倒する映像まで公平にとりあげていて、なによりもアルトマン自身の言動が愉快。著作権の関係か、「ジェイムス・ディーン物語」をめぐる映像は再見できなかったが、ヒッチコックが認めたという初期作品が出てきて笑えた。思えばニコラス・レイもアルトマンも、周辺の演技陣とヨーロッパの支援が力になったのだ。