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アクションが楽しかった。仕掛けがいっぱいあって飽きない。ストーリーはシンプル。いじめられっ子の主人公が、悔しいという気持ちをバネにして頑張る。特訓シーンのコミカルなやり取り、男同士の友情とかもあって、よくある話だけど楽しく見られる。男の子があっさり強くなっていくのが不満だった。もっとメチャクチャになれと思ってしまった。その先がもっと面白いはずなのに。最初の殺人事件とヤクザが実は繋がっていて、ふたりが協力して巨悪に挑むっていう続篇希望。
ヴァンサン・ミュニエは、変わり者だ。そのひねくれ者に賛同するシルヴァン・テッソンの惚れこみぶりも笑ってしまう。この凸凹コンビがいい。チベットは寒い。その寒さが彼らの服装で分かる。メチャクチャ防寒対策してる。寒い中で、腹ばいになって何日も待つ。待っているときの彼らの楽しそうな顔を見てると、ホントこいつらアホやなと思う。動物が出てきたときの喜びようったらない。アホアホだ。チベットの子どもが出てくるのだが、動物を撮るように彼らを撮っていて、すごく可愛い。
謝れと言われても謝らない、頑なで融通が利かない料理人が主人公。彼がだんだん女の人を好きになっていく感じが良かった。彼女にいろんな食材を味見させて、一個一個口の中に入れていくところ、エロくてドキドキした。舞台となる家のロケーションが素晴らしい。季節や風や匂いを感じる。そこで作られる料理も実に美味しそうだ。うまいうまいと言いながら食べる彼らの嬉しそうな顔。うまくいきそうになると不幸が次々と襲ってくるのが、分かっていてもジリジリした。
夫婦が喧嘩して、子どもがもうどうしていいか分からない不安な顔をする。その顔がいつまでも記憶に残る。子どものことはそっちのけで、痴話喧嘩を繰り返すふたり。夫が若い女と楽しそうにしているのが、ホントこの男、クズって感じで苛立つ。奥さんが、どんどんおかしくなっていくのが、怖かった。こんなクズの夫なのに、帰ってきてほしいっていうのが、よくわからない理屈だけど、なんか分かる気がするのが不思議だ。男と女、嫉妬嫉妬で重苦しいが、クセになる面白さがある。
ある事件をきかっけに少年院に入ることになったいじめられっ子の少年が、総合格闘技の元チャンピオン・ドヒョンに鍛えられ心身ともに強くなって、やがて元いじめっ子と対決するという少年漫画のような構図と物語展開。と思ったら、原作が漫画でその実写化とのこと。基本的に、ひたすら鍛えて喧嘩しての繰り返しでやや単調気味。主人公の少年の怒りに満ちたときの表情が印象に残る。泳ぎ続けないと死んでしまう魚といえば、シャークではなくマグロだと思っていた。
ユキヒョウを求めて山を旅する静かな冒険。山と一体化するほどに人は大地と近く親密になり、身を潜めて出会いの瞬間を待っている。何かを攻略するのではない。ふたりの愛情と好奇心が画面から伝わってきて心揺さぶられる。台詞なのでは、と思うほど詩的な言葉と美しい映像が重なり見ていて飽きることがない。合間合間に登場する動物たちの思いがけない動きや表情に何度も驚かされる。山という舞台のなかで、決して自分たちが主人公ではないことを自覚しているふたりに敬意を。
宮廷を追い出された料理人と、その弟子になることを希望するひとりの女性。18世紀の革命前夜という設定で、これだけですでに夢がある。彼女が訪れた理由はやがて明かされるが、家庭のための料理ではなく仕事人として料理をする彼女の目は輝いている。伝統的な料理と独創的な料理の闘いは、古い価値観と新しい価値観の闘いの物語に直結する。美食は庶民のものではなく貴族が独占するものという価値観が崩れ去ってくれて本当に良かった。料理だけでなく衣裳や美術も素晴らしい。
言葉にできない感情の積み重ねによって、長年経っても絶妙なバランスで“家族”でありうること。一度壊れたものは決して修復されたわけではなく、壊れたまま、ひび割れからはいまだに時々血が流れる。歳を重ねた妻の顔に刻まれた皺は嘘がなく美しく、思わずためいきがでる。ガラス越しに聞こえない会話についつい耳をそばだてる。嘘と偽り、裏表などの二項対立に頼らずにもっと繊細に今にも壊れそうな、確かにそこにある“家族”の姿を描く。このような描き方を信頼したい。
刑務所といっても学校のまんまじゃないか、教室もあるし、まあ、共学じゃなくなってるけど、などと思いながら見ていると、途中で「ドヒョンが成人刑務所に移る」という話になって、思わずのけぞる。え、ここは少年院だったのか。たしかにウソルは高校生だったし、そういう設定を忘れていたのはこちらが悪いが、少年院に入っている少年たちがさすがにみんなおっさんすぎやしないか。十代を演じる俳優たちの実年齢がいくつかとか、そういう話とは別に。他にもつっこみどころ多し。
問題はユキヒョウと人間の切り返しだ。ユキヒョウの姿と、それを間近で見て(とはいえ百mの距離)、涙を流す男(とはいえ涙は凍って流れはしない)を切り返しで繋いでいる。これでは、すべてを人間ドラマの枠内に閉じ込めるだけだ。自然を賛美し、人間を批判していたので、さすがに拍子抜け。主題歌のサビは「我々は一人ではない」。そこに「Good news for my heart」とコーラスが入る(「こりゃひと安心」みたいなことか)。確信犯ならなお理解しがたい。
ありていにいえば復讐劇の変奏だが、爽快さとは無縁の味わい。複数のプロットを一本に収めるのはいいが、欲張るわりに捌ききれていない。それはモンタージュ・シークエンスが繰り返し飽きもせずに使われる点に顕著であり、こう何度も時間経過や出来事の要約が必要になるのは脚本の構成に難があるからだろう。これでは単に間延びした印象を与えるだけだ。最後もマンスロンの復讐とルイーズの復讐を交錯させて山場となるはずが、どうも盛り上がりに欠ける。ちぐはぐなのである。
ラジオ局の階段ですれ違う若く美しい女性のクロースアップ。それは、荷物を届けに来た若い女性の配達人が路上で大柄な男性と話し合う場面への注目と連動している。つまり、この二つのショットの呼応が観客の意表を突くためのフェイントになっているわけだ。夫婦の愛憎劇にミステリーを導入する趣向で、子どもの視点から反転させるための布石である。こういうミスディレクションをさもそうでないかのようなさりげなさを装ってかましてくるあたりに、私はつい身構えてしまう。