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息をもつかせぬ、とはこのことを言うと思った。全篇に漂う緊張感。どんどん事件に巻き込まれて、引き返せなくなっていく感じがたまらない。敵の巨大企業がいやらしくて腹が立つ。テフロンってそんな危険なものだったのか。びっくりした。主人公は、友だちがいなくて、信じている人が家族しかいないっていう少し歪んだキャラに設定されていて、それがすごく生きている。彼の狂気じみたこだわりや粘りは、職業意識だけでは説明がつかない。寂しくて意地になる。感動する。
ヴィスコンティの「ベニスに死す」を見たくなった。あの美しい少年が50年後、どうなったか? 見事にジジイになっていた。ジジイには、若い彼女がいるのだが、その彼女には別に気になる男性がいて、電話で「なぜなんだ」と問いかけるシーンが切なかった。「何か解決方法があるはずだ」と呟くジジイが自分と重なった。彼の孤独に深く入っていく。母親の失踪。死。いろいろあって、でもまだなんとか生きている。時々ドキッとするぐらいかっこいいときがある。美少年の面影が蘇る。
音楽が始まるとテンションが上がる。歌うシーンがたくさんあって楽しめた。恋愛がベタすぎて、正直恥ずかしかった。キレイすぎるやろ!とツッコミを入れながら見ていた。病気をご都合で使うのもどうかと思った。奇跡で癌が治って、え?ってなって、再発して、ええ?ってなって、それから引きっぱなしだった。甘い話が好きな人には泣ける映画かもしれないが、うまく乗れなかった。ヒロインのツンデレぶりがかわいい。病気で体が弱っていくのを見るのはツラかった。
意味ありげな音楽に身構えるのだが、何も起きない。なんか変な映画。たまに来る客へのいたずら。少年らしい無邪気さが怖い。プールでの戯れ。殺しちゃうんじゃないかとドキドキした。少年のいたずらが、悪意なく過激になっていくのが切ない。誰かこの少年を助けてくれ!と言いそうになった。ラストの若者たちの馬鹿騒ぎは、本当に腹が立った。なんとなく退屈に思えたのは、どこかで見たことあるような描写が多かったからかもしれない。少年のふてぶてしい顔が記憶に残る。
テフロンで有名なデュポン社がその危険性を隠していることに屈することなく闘う一人の弁護士の物語。闘いには長い長い時間がかかる。資金のある大企業のやり方はとことん汚い。ところどころ「MINAMATA」を思い出した。こうした実話を基にした意義深い作品ではあるが、予告篇だけで全てを見た気になってしまい、本篇を見てもとりわけ驚くべきことがなかった。主人公ロブを支える妻役のアン・ハサウェイは好きな俳優だが、今回は今ひとつはまっていなかったような気がする。
私は彼を傷つけることに加担して来たのだろうか? 「ベニスに死す」は人生のベストに必ずあげる大好きな映画だ。飼い猫にタージオと名付けるほど、一目見たときからビョルン・アンドレセンの美貌に魅了され続けている。ヴィスコンティが映画祭で酷いスピーチをしビョルンが悲しそうな目をしている。よくわからないまま撮影現場に連れて来られ戸惑っている。これまで知らなかった彼のあどけない笑顔に胸が痛む。この映画に映っているビョルンの孤独を目に焼き付けて忘れたくない。
世界でたったひとりだけでも、救いの存在になれたらそれは確かに素晴らしいことだ。それだけで生きていることに意味がある。のだが。全てを感動させようとしてくる演出にも押し付けがましさを感じてしまい、冷めた気持ちになってしまった。もし私が死んだ後に、夫が新しい妻と一緒になって私の素晴らしさを語り継ぐなんてことをしたら激怒して呪うかもしれない。こうした実話が「物語」になった瞬間、全ての意味は変わってしまうということを作り手は自覚しなければならない。
主人公の少年テッドの無表情が良い。特にタイヤで作ったブランコを無表情で漕いでいるところが素晴らしかった。何かが起きそうでなかなか起こらない、この思わせぶりな感じはこの手のホラーサスペンスではとても大切だ。重たい空気感が始終漂い、食事も美味しそうではなく、幸せなシーンがただの一回も出てこないのもよかった。しかし、田舎のモーテルには泊りたくない。少年が何に駆り立てられて残忍な殺人鬼になるのかはいまいち伝わってこず、もう少し深く覗いて見たかった。
T・ヘインズがこんなに巧みな職人になるなど、そのデビュー時は予想しえなかったはず。だが一見なんの衒いもなく見えたとしても、実はその衒いのなさこそがいちばんの衒いであると彼は知っているのだ。本作では産業公害を扱いながらも、それを糾弾するプロパガンダにはしない。「大統領の陰謀」(76)に連なる“内部告発もの”の枠内で、巨大な悪に立ち向かうアメリカンヒーローを造形するまでだ。その関心は現実に迫ることより意匠の洗練にあり、この点評価が分かれるだろう。
「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンの現在の姿は「ミッドサマー」で目にしていた。だから、このフォトジェニックな60代の風貌に驚きはしないのだが、彼が送ってきた人生がこんなにも波乱に満ちたものだったとは……。無名の15歳の少年は映画の成功によって大人たちに搾取され、性虐待にあっただけではなかった。自身の出生から母親の失踪、そして生まれたばかりの息子の死など、彼は次から次へと運命に翻弄されてきたようだ。日本の芸能界の醜悪さに怒りがこみあげた。
ああ、こりゃダメだわっていうのをどのへんで思ったかというと、もういきなりオープニング・クレジット。長距離バスで主人公がギターを弾きながら、悦に入っているのだ。どう考えても迷惑、こりゃダメにきまっている。これまでの短い人生経験からいっても、爽やか好青年の善意はだいたい不快なものである。でも、そのときはこんな映画だとはまだ気付いていなかった。さて、迂闊なコメントは控えたいので一つだけ。よく知らないんだけど、某宗教団体の映画もこんなに露骨な感じなの?
映画において心理を担うのは観客であって、登場人物ではない。そのことに触れえただけでも貴重だった。実際、プロム帰りの若者たちを迎えるモーテルの一室で、テッドに聞こえるはずのないスターシップの〈愛はとまらない〉が、「'89年の卒業生へ」というMCの声に導かれて流れ始めたとき、半信半疑で見ていたこの映画をほとんど支持せんばかりに身を乗り出している自分がいた。このくだりがモンタージュ・シークエンスであっさり処理されるのもいい。なお、この監督は次作も悪くない。