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アンドリュー・ヘイ監督を発掘して傑作「WEEKEND ウィークエンド」を世に送り出したトリスタン・ゴリハーがプロデューサー、どちらもゲイのカップルを描いた作品、ということでどうしても比較したくなるのだが、何から何まで真逆の作風なので驚かされた。凡庸なバストショットの切り返しばかりの、あまりにもプレディクタブルなメロドラマ。コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの演技には見るべきものはあるが、いくらなんでも役者に頼りすぎでは?
何はともあれスクリプトが崩壊している。冒頭では謎の時制の入れ替えもあって、釈由美子演じる日本人の妊婦ナオミが主人公であるかのように始まるが、どうやら本当の主人公はもう一人の女性ヴァルのようだ。そのヴァルには幼い娘がいるが、何故か彼女は娘の存在を途中から忘れてしまったようだ。ウイルス拡散の黒幕らしき男も同じホテルにいるのだが、そもそもどうしてそんな大物がこんな場末のホテルに滞在しているのか。何もかもが「?」のまま、80分の上映時間が終わった。
妻夫木聡、長澤まさみ、三浦友和、浅野忠信、染谷将太のうち3人でも自由にキャスティングすることができれば、作劇的にも商業的にも日本ではそこそこ「強い作品」を撮れるだろう。しかし、この中国のメガ・フランチャイズは日本の主演級俳優をサブキャストに並べるだけ並べて、演出らしい演出もつけることなく、終始ドメスティックなノリのドタバタ劇に放り込んでみせる。作品評価としては★2つだが、映画産業のリアルな現在地を知る上で「一見の価値はあり」。
ガッツリとヅラを被ったラジニカーント主演のタミル語映画ということで、作品のノリについては推して知るべし。もちろんこうしたローカルな映画言語が尊重すべきものであることは前提として、例えば同じインドの「暴走する警官」モノであるNetflix『聖なるゲーム』におけるボリウッドの洗練と比べると、娯楽作品としてどれだけの余命があるのかとも思ってしまう。お約束のダンスシーンや2部構成の長尺ではなく、照明とアフレコの不自然さが鑑賞のノイズとなった。
コリン・ファースのピュアな表情に驚かされた。涙が子供のように澄んでいる(スタンリー・トゥッチの推薦で、出演が決まったというエピソードにもグッとくる)。気づけば相手のどこかにふれている、体を預け合う親密さを、ファースとトゥッチが自然に作り出している。二人の愛の物語が、英国湖水地方の美しい自然や壮大な宇宙を背景に静かに、けれど力強く描かれる。寄り引きのドラマチックなカメラワーク、ドノヴァン、カレン・ダルトンからファース(!)まで、音楽も素晴らしい。
夫(または母)の支配から逃れようと辿り着いたホテルで出会う二人の母親。それぞれに新しい人生を踏み出す決心を固めた彼女たちだが、未知のウイルスに襲われる。密室の恐怖を煽るカメラワークなど工夫も見られるが、僅か80分間の映画はまるで動かない。せっかく出会ったヒロインたちに衝突(ドラマ)は生まれず、キャラクターも生きないままだ。ある意味パニックの本質を描いているのかもしれぬが、ヒロインの背負うヘビィな設定が、ただ虚しい。そしてウイルスの真相はひどすぎる。
前2作を未見でも、子供から大人まで楽しめる、安定のエンタメ大作。巧みな構成に見入ってしまった。主人公の探偵コンビ、タン&チンを演じた中国のスター俳優ワン・バオチャンとリウ・ハオランの軽妙さが、トニー・ジャーや、妻夫木聡、鈴木保奈美、三浦友和らベテラン俳優陣の新たな魅力を引き出す。長澤まさみが水責めに遭う大貯水槽のシーンなど、美術もインパクトがあり面白い。マイケル・ジャクソンの〈ヒール・ザ・ワールド〉辺りからラストへ至る怒濤の展開に、次作を期待!
インド映画界のスーパースター、ラジニカーントが、70歳とは思えぬキレの良さで、歌あり踊りあり、アクションありの158分間大活躍!「警察界のゴッドファーザー」と称賛される、敏腕警察官の正義と、最愛の娘を失い、復讐にかられた父親の不義とのギャップにも躊躇なく、我が道を猛烈に突き進む主人公アーディティヤの姿は痛快無比だ。一人対多勢の超絶アクションも凄いが、父娘のドラマにも意外な見応えがある。特に娘の遺言に接するシーンのラジニカーントは、神がかっていた。
基本、キャンピングカーで旅する長年連れ添った初老の同性カップル(ピアニストと若年性認知症が進行している作家)の会話で成り立つ作品だが、回想シーンがないのに彼らの軌跡を現在の物語と同時進行で感じさせる、演じるC・ファースとS・トゥッチの関係性のリアリティが素晴らしい。身体は存在したまま永遠に別れるか、死をもって永遠に別れるか。残される者と残してしまう者、その葛藤、その選択を、彼らに憑依するように最後まで自分ごととして入り込んで観てしまった。
あるホテルで謎の新型ウイルスによるクラスターが発生、パンデミックへ繋がるその過程がリアルタイムで描かれる……のだが、これがまさかのコロナなんて誰も知らない2年半前に撮影されている。「目に見えないものによる侵食」をテーマにしたホラーの意欲作が、このタイミングで公開することで、良くも悪くも想定外の意味を持つことに。主人公二人がどちらもDVに悩む女性なのだが、その“無意識の暴力”を受ける描写がそれぞれリアルで、本作で最もホラーなシーンだった。
シリーズ3作目だが前2作は未見なので、前作のラスト直結と思われる冒頭のアッパーなノリにイマイチついていけず。都内各所での大規模ロケに豪華オープンセット、日本人キャストは主役級を揃え、内容は「シャーロック」風の密室殺人ミステリー、多国籍なキャラたちの軋轢から巻き起こるドタバタコメディ、トニー・ジャーのアクション、残留孤児をめぐるシリアス展開。それらをごった煮にして潤沢な制作費を使い力技で仕上げている。いろいろあざといが、気にしなければ全篇楽しい。
娘を奪われた怒りから悪人を殺害しまくる男の復讐譚、ということで「狼よさらば」シリーズ的作品かと思いきや、そこはラジニカーント映画。小ネタと歌と踊りが満載、油断するとすぐにスローになってキメ顔、それが本筋と関係なく続き無駄に長い。本作の主人公がポール・カージーと決定的に違うのは、警察長官という自身の権力をフルに使って復讐(という名の殺戮)を遂行するので全く共感できず、カタルシスが皆無という点だ。ラジニの映画でそれをマジで語るのは野暮だが……。