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長篇初監督という事情を加味しても擁護しづらい出来。いまどき日本とモンゴルを、都会と田舎という見方で分けている世界観が単純で時代遅れだし、世襲で大企業のトップに立とうという、そもそも共感しづらい主人公が数日モンゴルに行っただけで人間的成長を迎えるという内容を、説得力をもって描いているシーンがどこにも存在しない。大自然の風景には心洗われる瞬間もあるが、コントラストを極端に強め中間色をぶっ飛ばす調整は不自然で、お世辞にも美しく撮っているとは言い難い。
野球の女子選手の活躍を扱った作品に「野球狂の詩」や「MAJOR 2nd」があるが、それらが強調するアイドル的演出や性的な目線が、本作には全然ないというのが進歩的。厳しい現実のなかで闘う主人公だけに、落ち込んだ場面が多いのはつらいが、それでも性差を越えた野球選手としての気概やプライドを見せる場面は心を熱くさせる。スポ根作品としてはシンプルなつくりで新味はそれほどないものの、数少ないチャンスをものにしようとする投球勝負には手に汗握ることになるだろう。
基本的に有利な立場にありながら、前線基地で数的不利な立場に追い込まれるアメリカ軍の状況や、実際にこの戦いに参加した兵士が同じ役で出演しているだけあって、リアリティある兵士の表現が見られるのは興味深い。アラモ砦の戦いを連想させる戦闘の絶望的な描写は、観客をも戦場に巻き込むような映像的な迫力と細部の説得力がある。ただ、ピンチに陥ったり死亡した兵士たちを英雄として持ち上げ、無理な作戦を強いた軍の責任の所在が深く追及されていない点には、疑問を感じる。
ディケンズの「クリスマス・キャロル」や、「素晴らしき哉、人生!」のイタリア版といえるコメディ。設定の不備や荒唐無稽な内容を、ユーモアで軽やかに処理しているところが楽しく、イタリアの下町に生きる、ちょっと伊達な男性の人生を体験できる内容も味わい深い。一方で、生きる価値が家族や女性関係など、他者とのつながりのみに集中していることで、内容が冗長になっている面もあるように思える。雰囲気が良い作品だけに、もう二、三転くらいの展開を用意して欲しかった。
モンゴルのどこかで生きているはずの、老境の男の娘を探す話を予測させる始まりから、その男の孫が自分探しをするというストーリーの移調にいささかまごつく。けれど孫役の柳楽優弥が、放蕩暮らしに浸る冒頭から一転して、モンゴルに舞台が移ると即興を伺わせる演技で、生き生きし始める。やはりこの俳優には即興的な演出がぴったりくる。映画の起点の娘を探す話が、ストーリーにもう少し絡んで欲しいと思うが、息を飲むほどに美しい映像にまごつきは溶解。まさにターコイズ。
まず性別を突き抜けて、夢の形を主題にした着想が良い。ヒロインは最初からプロ野球選手になる考えで、その夢の形はぶれない。その決意と潔さは実に爽快。演じるイ・ジュヨンの動作も主題に説得力をもたらす。母親と父親、コーチ、アイドルを目指す親友。これらの人物の個性も物語に調和と均衡を醸成する。スピード感とシャープさを終始失わない編集も評価したい。スポーツ映画でありつつ、社会性にも目配りがされ、架空の人物水原勇気の時代とは違い、ドラマが現実的だ。
個人的に知る限り、70年代以降のアフガニスタンは切れ間なく紛争が続く、泥沼の紛争地域である。ソ連軍の侵攻と撤退、米国同時多発テロ後には米ブッシュ(子)政権によるアフガン攻撃開始により、国土も治安も人心もさらに荒れ傷む中、ついには中村哲氏の殺害まで。撤退準備中の米軍前哨基地を舞台にしたこの戦争映画は描写が生々しく痛ましい。主題の“生き抜く”を熱演する注目の俳優たちからは戦場のリアルが伝わる。が、米国の視点で描かれた戦争であることを頭に入れておきたい。
題材そのものは目新しいものではなく、ルビッチやキャプラの名作が浮かぶが、D・ルケッティのこの映画は着想が面白い。“たら・れば”と人生を悔やむのは詮ないことではあり、オマケにもらった92分間で何ができるか。限られた時間内で主人公のやることはともかく、その92分間をリアルタイムで演出したという監督の手法に興味が向くが、結果は予想以上に普通の家族ドラマだった。やはり最後は妻や子どもとの絆か。イタリア映画らしい陽気さはあるが、もう少し弾けることを期待していた。
いきなりの麿赤兒のドアップという幕開けはインパクト大で、続く近未来SFのようなスタイリッシュな酒池肉林シーンも下手すると上滑りしてしまう危ういラインを攻めており、的確に光を捉えているカメラと遊び心のある音響などにも映画的センスが感じられるのだが、以降の物語は意外なほどオーソドックスに展開してゆき、柳楽優弥扮する道楽息子がはなから人間的余裕を与えられた魅力的なキャラクターであるがゆえに、この男の成長譚として観るとやや平坦で物足りなく感じてしまう。
韓国では(日本も)女性がプロ野球選手になれないというルールは存在しないとはいえ、実力至上の世界において腕力で劣る女性がなるのは難しい、という部分の公平性は提示したうえで、なお根強く残るジェンダー問題を扱ったスポーツ映画なのだが、社会派要素が説教臭くなっていないので青春娯楽映画としても素直に楽しむことができるし、音楽やカッティングなど少し薄味に感じる演出も少女の真っすぐな気持ちを丁寧に掬い上げており、変化球を封じて完投した監督の剛腕ぶりが窺える。
このような地獄の戦闘になってしまった要因である作戦の不備や前哨基地の劣悪な立地条件の詳細、政治背景などはさほど描かず、尺の半分を戦闘描写に費やしている純度の高いミリタリーアクション映画で、どうやって撮ったのか見当もつかない臨場感抜群のショットの数々を手に汗握って観たとはいえ、戦争に対する映画の向き合い方を考えると、米国軍人たちの雄姿をひたすらに称えるラストを素直に受け止めることはできないし、これがわずか10年前の出来事という事実にも肌が粟立つ。
スムージーが寿命に及ぼす効果を計算していなかったという天国の役場のミスにより92分だけ下界に戻ることを許されたって設定、死因が交通事故ならスムージー関係なくないか? などということをいちいち気にしてはいけないと開始早々に察するも、回想と妄想を恣意的に混在させた時制の乱暴な扱いはタイムリミット物のウマ味を逃す悪手にしか思えないし、映画のテーマらしきものがようやく終盤で顔を出したと思いきや唐突に荒れ球気味のオチを投げられ、なんだか煙に巻かれた気分。