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息子をモンテッソーリの教室に通わせていたことがある。実感としては、週に数回、数時間のレベルではどうにも判断がつかないということ。「6歳までの教育が最も重要」という言葉に異論はないが、変化がすぐ目に見えるわけではなく、また年月が経つと因果関係をたどりようがないのが、幼児教育の難しいところ――なんてことを思い出しながら自分は観たが、どう考えても観客を選ぶ作品。北フランスの田舎街という土地柄もあるだろうが、ほぼ全員が白人の子供ということも気になった。
タランティーノ以降、日本を含む世界中で量産されてきた群像クライムスリラーのマナーに基本的には則った作品。つまり、極めて90年代的な題材を極めて90年代的な手法で扱っているのだが、キム・テソンの引き締まった撮影と、ポン・ジュノ組出身ハン・ミヨンの巧みな編集に目を見張った。役者も主要キャラクター全員が適役を活き活き演じていて、特に薄幸の主婦を演じたシン・ヒョンビンに魅了された。キム・ヨンフン監督、これが長篇デビュー作というのだから驚く。
「ビデオゲームを原作とする映画」の勢力拡大だけにとどまらず、ビデオゲーム的な想像力は2020年代以降の映画を捉える上でますます重要になってくるわけだが、それとビデオゲーム的な手法を映画に援用するのはまったく別の話。これまで映画ばかり観てきたクリエイターがいきなりゲームを作ったら悲惨なことになるのと同じように、ゲーム的なモチーフと演出を無邪気に映画に持ち込んだ本作は悲惨な出来となっている。悪趣味狙いのつもりだろうが、ただ時代遅れなだけの選曲にも閉口。
猛獣ビジネスのダークサイドと、それに抗議の声を上げるアクティビスト。作品のテイストはまったく異なるし、本作の場合その二つの勢力が一つの家族内にいることでドラマが発生しているわけだが、構造自体は昨年世界中でネットミーム化したNetflixのドキュメンタリー『タイガーキング』と同じだ。もっとも、本作の場合、主人公が少女という時点でバッドエンドはあり得ないわけだが。あと、植民地主義的センス丸出しの劇伴と挿入歌が終始けたたましく鳴っていてうんざり。
幼児教育に関して関心の低い日本人にも、わかりやすくモンテッソーリ教育法の魅力を紹介する本作。特にジェロの成長は感動的だ。まさに百聞は一見に如かず。さらに日本語版のナレーションを担当した本上まなみと、監督の声を務めた向井理。二人の知的な声が、作品のトーンにマッチして、より良い理解へと導いてくれる。6歳までの幼児教育で大切なのは、子供に物を与えることではなく、子供を取り巻く環境作りだ。そういう意味で、幼児教育の主人公は子供ではなく、親なのである、と。
原作の世界観を体現したような、自分の人生を人に委ねず、最後の最後まで抗い続ける強気なヒロイン・ヨンヒをチョン・ドヨンが怪演。ヨンヒ以外の女性キャラクターたちも、原作以上にいきいきと描かれる。認知症を患った母親スンジャ(ユン・ヨジョン)が、中年になっても出来の悪い息子ジュンマン(ぺ・ソンウ)を慰めるシーンは圧巻だ。映画オリジナルのラストも面白い。果たしてジュンマンの良妻ヨンソン(チン・ギョン)は、いつも通り夫の待つ家に帰るのか? それとも……。
身バレのしないネット沼の中でだけ威勢のいい主人公マイルズ。いわく「僕は暴力とは無縁の人間だ!」と、自身の暴力性に無自覚な青年が、アキンボに仕立てられた後、24時間以内に、殺人を犯し、躊躇なく撃ち殺せるようになり、ゲームを楽しむように人を撃ちまくり、世界規模のヒーローに変身!? 冴えない青年の狂気を、攻める俳優ダニエル・ラドクリフが好演。ちょいちょいジェンダー問題を刺激する台詞は狙っているのか、無自覚なのか。ギャグと音楽のセンスはいまひとつな感も。
動物研究家で保護活動家のケヴィン・リチャードソンを迎え、CGなしで3年かけた撮影で描かれた、ホワイトライオンの映像は迫力満点。わが子が大きくなったライオンと戯れる様子に、大人がたじろぐのも無理はない。ライオンのチャーリーと友情を育みながら、南アフリカで成長するミア、ミアの頼もしい兄ミック、聡明な子供たちに比べて、両親がぼんやりし過ぎて、トロフィー・ハンティング問題の切実さが薄まった感も。野生動物保護区に中国企業進出のエピソードがやけにリアル。
マリア・モンテッソーリが提唱した教育メソッドを検証する観察映画。観た誰もが「自分がこの幼稚園に通っていたら」や「自分の子供を通わせるか」を考えるだろう。幼児それぞれの自主性を尊重するこの教育法は理想だが(映画では描かれないデメリットもあるかもしれないが)なぜ当たり前ではないのか。自分が受けてきた教育を振り返り、大人の尺度を子供に強要する方が楽でコストもそこまでかからないし、「右向け右」の人間を育てた方が何かと都合が良いんだろうな、とあらためて。
大金を巡る複数の登場人物の迷走が同時進行で描かれるが、全てのキャラクターの行動が説明なく時系列バラバラで進むので(整理されていない初期タランティーノとでもいうべきか)話の糸口を摑むまでに時間がかかる。テンポの良い編集で飽きることはなく、徐々にピースが埋まっていく展開は気持ち良いが、どの人物も魅力的なのに背景が掘り下げられておらず、その愛憎を巡る行動、関係性の破綻に疑問を抱いてしまい、“藁にもすがる”絶望感もイマイチ伝わってこないのが残念。
VFXクリエイター出身の監督らしい、まず画ありきで発想される物語、展開は嫌いじゃない(主人公が両手に銃を固定されるバカバカしさたるや)。「バトルランナー」から「スコット・ピルグリム」まで影響を受けた数々の映画を隠そうともしないのも潔いが、リミックスをオリジナルの傑作に昇華するタランティーノはやはり偉大だ、なんて関係ないことを思ったりも(今回の星取りタラ2回登場)。「ハリー・ポッター」終了後、エッジの効いた役を選びがちのラドクリフ、らしい主演作。
南アフリカを舞台に少女とライオンの友情を描く物語は至ってシンプルだが、制作過程に驚く。彼らの実際の成長と交流に合わせて3年かけて撮影する実録スタイル。しかもCGなし。どれだけ大変かは想像に難くないが、その甲斐あって動物映画にありがちな不自然さは皆無。現実を捉えた映像の力強さを劇映画に上手く落とし込んでいる。同じくトロフィー・ハンティングを違う角度から描いた“劇映画のような映像スタイル”のドキュメンタリー「サファリ」を続けて観るとよりグッとくる。