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ラテンの血が騒ぐ6本の短篇が並び、日本人にも思い当たる感情の噴出があって、飽きない。貧富の格差、公務員の杓子定規な応対、人間関係の無神経さ、闇の取り引き、いずれも耐えている者にとっては、いつブチ切れるかが見せ場だけれど、演出のタイミングがいいので、快感を生む。スカトロジーも含めて、ブラック・ユーモアが過激なので、啞然としながらも、ここまでやるかと笑ってしまう。各短篇の幕の引き方もサンタオラヤの音楽とマッチして巧く、こういう試みは今後とも有効だ。
ゲイリー・フック(ジャック・オコンネル演)は孤児院にいる弟との生計を立てるために英軍に志願する。入隊後はドイツへ行けるものと思っていたのに治安悪化しているベルファストに赴任。これまで見てきた北アイルランド問題をめぐる映画では多くの場合、それぞれの主張があり、何が正義か、敵味方もはっきりしていたのに、ここにはそれがなく、上官のミスで紛争に巻き込まれたフックの前には悪夢のような迷宮的世界が展開。暗い夜の街を舞台にまるで不条理劇を見ている気分だった。
ザ・ビーチ・ボーイズの歌が流れ、60年代カリフォルニアの浜辺に集う若者たちの映像が映るだけでもうジーンとくるのは世代的なものか。『奇人変人紳士録 in ROCK』という本を読んで、名曲《ペット・サウンズ》のかげにブライアンの父親との確執、メンバーの亀裂、麻薬中毒と、治療医ユージン・ランディ(06年没)のあまりの厳しさからくる訴訟沙汰などの話は知っていたけれど、ドラマのなかに、ブライアン苦心の録画風景が挿入されて、最後に現在のブライアン本人が登場するのだ!
映画史では異性装を使った名作がいくつもある。「地獄に堕ちた勇者ども」の圧倒的な美学にはじまり、「お熱いのがお好き」や「トッツィー」の喜劇など多彩である。しかし、ロマン・デュリス演じる主人公はもっと平凡な人物で、妻の死とともに抑えていた女装趣味がよみがえったという設定。アメリカその他、同性愛婚が認められるようになった時代でも、異性装にはなぜか偏見があり、そんな男を愛してしまうアナイス・ドゥムースティエは大変だが、その感情の起伏に説得力がほしかった。