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名作のリメイクというのは割の合わない仕事だが健闘している。成功の原因は「人間」を「全部合わせたら人間」といった集合部品感覚で描いているから。完璧に部品がそろってる兵隊はここにはいない、そこに監督独自の批評意識がある。鉄男じゃなくて肉男って感じか。肺に穴が空いている兵隊が「穴が空いてるくらいで病人づらすんな」って怒られるのはそういう意味でも理にかなっている。始まりはオリジナルと一緒だが現代という歴史時間に主人公を接合させようとするラストが面白い。
本作はメディア・ミックスというやつで、これだけ見ても意味がない。ゲーム版とかネット版とか劇場版とか(それがこれ)ややこしい。ただ劇場で、というより中高生グループがDVDで鑑賞してきゃあきゃあ言うように出来ている。是非。それぞれクリアして自分で★を足していこう。でも、キーパーソンである金山一彦の霊媒師を録画している主観ショットのカメラの主が出てこない。実にヘンな気分だが意図的な処理なのか。物語も二段構えになっていてムダに難解だが何とか理解はした。
イントロが無駄。観客にとって謎の巨人が謎の壁を破壊して出現しなきゃ映画にならんよ。最初からピエール瀧が出てきたらそれだけで随分緊迫感が違っただろうに。ただ無駄な部分に後篇に向けての伏線が張られているのかも。連中には性器がない、というのは明らかにこの後で効いてくる細部だと本篇のクライマックスで判明しているしね。これはいわば「偽ナウシカ書」、アンチ宮崎駿ロマンである。原作を全く知らない私はそう解釈した。巨神兵ならぬ巨人がヒトの世界を蹂躙するわけだ。
敗戦間近の特攻隊訓練施設とそこで過ごした人々を、丹念な聞きとりと遺品の提示、遺書代わりのアルバム等の引用をまじえて描く。死者と彼らを語る存命中の当事者、またその周辺、と取材の目配りが利いていて満足度は高い。何度も泣きましたよ、ただ、そうだろうなあってことしか語られないけどね。証言を聞き私たちはこう思いました、といった部分がまるっきりダメで★は削らざるを得ない。戦争は人間を優秀な順に抹消していく。「ゼイ・ワー・エクスペンダブル」ってつくづく思う。
大岡昇平の原作世界をスプラッタホラーふうに解釈し、映像化した塚本監督を断固支持する。監督自身が演じている水島一等兵の主観で進行していくことを含め、いま「野火」を描く意味は、この解釈以外にはないと思う。そして主観だからこそ、戦争、及び人間という生きものに対するおぞましい恐怖がダイレクトに伝わってくるのだ。ただ、戦場から帰還、日常に戻ってのラストの描写が曖昧なのが残念。人肉を喰べなかった水島の何かに対する呪縛。ここだけ演出が観念的な気がする。
本作のチラシに〝15年以上の人気を誇る伝説のホラーアドベンチャーゲーム〟の実写化とあった。ヘェー、知らないし。実写版とゲーム、実写版とネット版のコラボなどもあるそうな。ゲームに全く関心がない私としては、この実写版についてしか言えないのだが、ゲーム好き、ホラー好きの中高生向きに作られているということだけはナットク、つまり需要と供給の蜜月関係、それ以上でも以下でもない。とはいえ、劇中の男女高校生の幼稚な言動とチープな作りは、これはこれで怖かったり。
わっ、わっ、顔も体型もバラバラの〝巨人〟たちに全面降伏だ。俳優たちがどんなに派手なアクションをしても、ヌーッと現われ、足元を右往左往する人間たちをヒョイとつかんでポイ喰いする全裸の巨人たちの映像には敵わない。巨人たちの下腹部をボカしているのも奇妙なリアル感があり、巨人に挑む若者たちの話などより、ただずっと巨人たちを観ていたい気も。ピーピー泣いているベビイ巨人にもシビレた。ともあれ特撮もCG技術も世界レベル。世界遺産となった軍艦島ロケも効果的。
ドキュメンタリー版「永遠の0」だった。むろん、インタビューを受けている元特攻隊員の方々や、その遺族、また筑波海軍航空隊の関係者にしてみたら、国家に命を捧げた特攻隊員たちを、彼らの義務、宿命として、ある種、肯定的というか、美化して語らざるを得ないのは理解できるが、このドキュではそれ以上、突っ込まず、みんなヒーロー的に語られて、ホント、あの特攻賛美映画「永遠の0」と方向は同じ。いや、それでも記録として残す事は大切だと思うが、ちょっと不気味な気も。
御巣鷹山日航機墜落現場をTVで見た大岡昇平は『成城だより』に〈戦場へ行った者にはぴんと来る屍臭〉と書いたが本作の吹き飛んだ顔、手足、滴り落ちる内蔵からはムンとする臭いが漂ってくるようだ。スプラッター連合赤軍映画「鬼畜大宴会」方式で戦場を描くことで市川崑版との差異が際立ち、前版で回避された人肉食に踏み込むことも可能に。鮮やかな色彩が島の緑を映えさせ、「KOTOKO」に続いてデジタル撮影によって〈自然と人〉を均等化させた塚本映画の一つの到達を見る。
乃木坂で個人的に最も好みかつドキュメンタリー「悲しみの忘れ方」でも際立っていた生駒ちゃんだが、そこから期待させた演技にはまだ到達できておらず残念。冒頭から学芸会的雰囲気が蔓延するので困惑していると、なんと「漂流教室」を思わせる展開をたどる。そんな大風呂敷に見合った作りになっていないだけに、いっそう不安に駆られるが、顔面崩壊、壁に埋まった肉塊などのゴア描写は学芸会演技を救済する以上に力が入っており、逆に効果絶大。あの演技も意図的? と思うほど。
原作をそのまま実写化すれば「LOR」三部作の規模と長さは必要だけに大丈夫かと思ったが、「ガメラ3」の渋谷大虐殺シーンを遥かに上回る凶暴な人喰い描写に大満足。「巨神兵東京に現わる」のアナログ+デジタル方式を発展させ、東宝特撮に新たな息吹をもたらした点でも画期的。ようやく本領発揮企画と邂逅した樋口監督のアニメ的演出(石原さとみの弾けっぷりを見よ)もハマってる。町山智浩に初稿脚本を託し、98分に凝縮させた前篇はまずは成功。敷居が上がった後篇は如何に?
90代とはこんなにも元気なのかと驚いた。顔の血色もよく、言葉も明瞭な元特攻隊員たちの〈声〉に聞き惚れる。今の時代に語られる〈戦争〉の大半が胡散臭いのは、その時代を知らないばかりか想像力に欠けた連中が大きな声を出しているからだ。90代の男たちはつい昨日のことのように、あの時代の記憶を声にする。死とどう向き合ったかは今こそ耳を傾けたい。大島渚は日本の戦争映画の欠点を「日本人だけを描き、敵を描かない」と喝破したが、特攻を受けた側へ目を配る構成も良い。