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ホラー映画に分類されることはないのだろうけど、まるでホラー映画のように思える演出をされてる箇所が多いので、怖いものが苦手な人はその旨承知しておいたほうがいいかと(逆に言うと、ホラー映画好きの人にはとりわけお薦め)。主人公一家の家の周りにわらわらと男女が集まってくるあたり、まるで「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のようだ。女たちが白いワンピースを着ているのも異様に恐ろしい。何気に現代アメリカ社会の問題を告発しているのも「ナイト・オブ~」っぽい。
いまも現実に起こっている人身売買問題を、題材に取り上げようと決意したときのドルフ・ラングレン(共同製作・共同脚本も)の善意は疑いようがないのだが、どうも煽情的な描写ばかりが目立ち、物語のなかで女性が搾取されているだけでなく、そもそもこの問題自体を映画が搾取しているように見えてくる。そのことを脇に措くとしても、脚本も演出も全体にひどくちぐはぐ。とはいえ走るトニー・ジャーは眼福。アフリカ系の俳優がこの手の映画で悪役を演じるのを見るのは久しぶりな気が。
ヒョンテは両親と疎遠である。そこで彼の親友、インチョルは、ヒョンテの両親に対して息子のように振る舞っていたが、インチョルのせいで彼らは生命の危険に瀕する。インチョルは、実は少年時代にヒョンテを含む親友二人の命を英雄的に救った人物でもある。そんな皮肉なめぐり合わせから出発し、友情ゆえに抜き差しならなくなっていく劇的な物語を、美術装置にも気を配った手堅い話運びで語って退屈させない。でも、ヒョンテが消防士だという設定はもっと活かされるかと思ったのだが。
サルガドの写真に圧倒的な力があるので、これだけでも「観る価値あり」なのだが、それでは解説音声つきで写真集を見ているのと大差なくなってしまう。そこで映画にひねりを加えるのがサルガドの息子、共同監督であるジュリアーノの存在で、彼と父親との関係はもっと映画に取り入れてもよかったかも。ルワンダの惨劇を目にしたサルガドは心を病み、あることを契機に立ち直るのだが、これがあまりに出来過ぎな話で驚く。そんなところにも、作為を易々と跳び越える事実の強靭さを感じる。
こんな制度が施行されるわけないと思いつつ、アメリカならさもありなんと思わせるし、その目的に社会的弱者の間引きがあるとわかると、さらに妙なリアリティが漂う。夜の12時間というタイムリミット、なにかと足を引っ張る娘の存在も、ワンシチュエーション・スリラーとしての面白みを引き立たせていてグイグイと引き込まれる。また、ノリで〝殺らかす〟ガキどもよりも、積み重ねてきた妬み嫉みを晴らそうと襲い掛かってくるいい年したご近所さんのタチの悪さにもハッとしてグー。
俊敏がウリのひとつであるジャーと、昔から巨大さゆえのモッサリ感しかないラングレン。「エクスペンダブルス」での対ジェット・リー戦でも同様だったが、どうしても目で追ってしまうのはキビキビしたジャーになるし、ラングレンはG馬場よろしく「アッポー」と言い出しそうで不安になる。とはいえ、彼らの対戦場面は各自の長所短所を活かした撮り方をしているし、バイク・チェイスや銃撃戦も盛り込んでラングレンが活きるようになっている。苦いようで意外と悠長なオチに軽い驚き。
とんでもなく強欲で浅薄、途方もなく愚鈍で不器用、とめどなく愚直で鈍感。そんな男たちが右往左往するだけと言ってしまえばそれだけだが、とにもかくにも全篇にわたって立ち籠める悲壮なミストにやられてグッときてしまう。また、ギラつきをキープしながら良心の呵責に苛まされて憔悴するチュ・ジフンが素晴らしく、彼に対して〝フェミ男なスネ夫〟みたいな印象しか抱いていなかった自分を猛省した。蛇足気味のラストが引っ掛かるが、この手の作品は韓国か香港に限ると改めて痛感。
たしかに、映し出される写真には胸を揺さぶられるものは多い。政治的理由で祖国を飛び出し、世界を放浪し、故郷に戻って枯れた同地の緑化に尽力と、軌跡もドラマチックである。でも、それをサーッと紹介されただけの気分。サルガドの仕事ぶりを知らなかったという息子が本作の撮影に関わり、写真家としての彼の姿を目の当たりにしていたりするわけだから、その父子関係をフックに作品自体もドラマチックにしてもよかったのでは。そんなことを観ながら考える余裕のある作品。
憎悪を浄化(パージ)し、犯罪を減らし、体制維持に有効だという近未来の制度パージ。一作目の「パージ」は、外敵から家族を守るという小味な映画だが、残念ながら折角の設定が十分に生かされていない。だが、その続篇「~アナーキー」(★★★★)では、この設定が見事に全面展開されている。アメリカの反知性主義の行きつく果ての狂態が徹底的に戯画化された痛快にして戦慄的なポリティカル・スリラーだ。サミュエル・フラー達のアナーキーな映画の精神がいまだ健在なのが嬉しい。
人間核弾道ドルフ・ラングレンと超絶スタントのトニー・ジャー、最強の肉体派の対決だ。二人は味方同士だから、対決するための設定は無理筋でいかにも苦しいが、そんな理屈はどうでもいい。客は二人の対決を観たいのだから。果して、対決シーンは見応え十分、走る、走る、殴る、殴る、蹴る、蹴る、撃つ、撃つ。対する巨大な国際的売春組織の悪役達も強面でそれなりのキャラクターが付されていて、揃って腕っ節が強いのがいい。B級活劇の醍醐味を味わわせてくれる暑気払い向快作。
あまりにも稚拙な犯罪計画に偶発事件も重なり破綻は最初から眼に見えている。子供の頃からの親友である三人の若者は破滅へとひた走る。ヒーローはいないし、ロマンスもないが、等身大の若者の生態、背景の風俗、バイオレンスの描写が巧みなので停滞なく一気に観せてくれる。一徹な正義漢チソン、世渡り上手なチュ・ジフン(好演)、ナイーブで不器用なイ・グァンス、三者三様のキャラクターが書き分けられている脚本と、デビュー作らしからぬ的確な演出は次作を期待させる。
地獄絵図のような白黒写真は美しい 危険な金鉱の奥底へ命綱も付けず降りていく五万人の窮民の群、エチオピアの飢餓、ルワンダの大量虐殺。サルガドの言う如く、人間は恐ろしい動物で、その歴史は戦争の歴史だ。ヴェンダースは静かに彼の軌跡を追う。最晩年、精神的危機に陥ったサルガドは、故郷の大地に救いを求め、環境保全の問題に取組む。その姿に我々は安堵を覚える。しかし、人間の残虐性や暴力性に対する告発を続けることは人類に課せられた責務でもある。