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経済的上位にいる1%の人々のために99%の人々は奉仕を強いられる、という新自由主義社会の階層構造を、そのまま直喩的にフィクションのフレームに落とし込んだスペインのアートハウス系作品。細部の設定まで考え抜かれていて感心させられた。ただし、大半のシーンが中年男性と老人男性の会話劇というのは、スペインでは知られた名優の二人とはいえ、映像的な快楽度という点ではなかなか厳しい。こういう作品こそ、他言語の地域でスピーディーにリメイクされる意義がありそう。
イマジナリーフレンドという、映像で表現する際には細心の注意が必要とされるはずの題材を扱いながら、驚くほど即物的なアプローチをしている本作。その意図は、サスペンスやスリラーではなくファンタジーホラーであることが判明していくにつれて飲み込めた。メインキャラクター以外の描き込みの足りなさは監督の力量不足だろうが、「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」に続いて本作を手がけたプロデューサーとしてのイライジャ・ウッドの一貫性には今後も注目したい。
序盤から、強引なカラーグレーディングが施された色調と日本のテレビドラマのような間の抜けた劇伴(ダメな韓国映画にありがちな二大特徴)に嫌な予感。コメディタッチのファミリードラマとスパイアクションが並行して描かれ、それが機中で交差するという作りだが、二つのトーンが最後までうまく噛み合わないまま空回りしている。テレビシリーズも含め世界を席巻中の韓国のフィクション作品だが、こういう作品にもドメスティックな需要が根強くあるという認識も必要。
前提として、スザンネ・ビアのような既に評価が確立しているだけでなく、近年はアメリカの映画やテレビシリーズでも活躍してる作家の、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされたそれほど古くない作品をリメイクする意義がわからない。メインロールの男性二人を女性二人に入れ替えた本作は、結果的にバート・フレインドリッチ監督とその妻ジュリアン・ムーアのファミリープロジェクトのようなことに。カットバックの入り方などに顕著な演出面での勘の悪さも気になった。
主人公ゴレンと、同じ階層で1カ月暮らすことになるパートナーたち、トリマカシ、イモギリ、バハラトを比べても、なぜ“穴”に来ることになったのかなどそれぞれの話がバラバラ過ぎて、映画の展開に頭の整理が追いつかない(プラットフォームのシステムもわかりにくい)。わからないなりにもシステムを壊すべくゴレンたちの取った行動、パンナコッタと最下層に潜む子供とのエピソードを上手くストーリーに練り込められたなら、普遍的なメッセージとしてより伝わるものがあったのでは。
イマジナリーフレンドが邪悪な存在だったなら? という発想がまず恐ろしいのだが、人形の家に閉じ込められていたダニエル復活後の描写に戦慄。子供のまま、時間の止まっていたダニエルが、もう子供じゃないルークとの溝に気づいた時の表情にゾッとした(P・シュワルツェネッガーの妖しさ!)。置いてけぼりを食らわされていた事実に気づいたダニエルがその後の悪ノリに拍車をかけたのだとしたら……。ジョンのエピソードを加えるより、ピュアなホラーになったのでは? 原作未読。
韓国のマドンナ、オム・ジョンファの、万能エンターテイナーぶりが堪能できるアクション・コメディ。市場で人気揚げパン屋を営む、しっかり者のおかん・ミヨンから、元北朝鮮工作員チェ・グィスンとしての、衰え知らずの華麗なアクション技の数々(それもキャビンアテンダントの真っ赤な制服姿で!)、無事にハワイに着いてからは、花嫁を髣髴とさせる“花”のような純白の衣裳も着こなすなどワンダーな活躍は目にも楽しい。対して、夫役パク・ソンウンの魅力が霞んだのはやむなしか。
ジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズ、クールな女優の共演が、原作からの設定変更を成功に導いた。ゴージャスな成功者から、死に怯えるすっぴん女への落差を、衒いなく演じ切ったムーア(たしかにレディー・ガガがよく似合う)。対するウィリアムズは、腹立ちのあまり、時々靴を脱ぎ、階段を駆けおりる程度の感情表現に終始(ムーアに振り回される役どころだから当然か)。曖昧なトーンの彼女が、ジェイに振られた後、部屋の鏡に映った自分を見つめる表情が印象的だった。
評判の飲食店に予約を入れてから、事前情報なしで本作を観てしまい、すぐに後悔。オエェ……鑑賞後の食事を楽しみにして観る映画じゃねぇ……と、飽食にまみれた現代人を皮肉った展開がもろに直撃、まんまとヤラれてしまった。設定は「キューブ」を髣髴とさせ、「スノーピアサー」と同様、わかりやすい“社会構造”の暗喩をその限定された空間に描いている。後半の展開が急すぎて上手くサプライズに繋がらなかったのが残念。A・S・フアンの性別不詳の妖艶な魅力は相変わらず健在。
孤独な青年ルークの前に、幼少期の想像上の友達ダニエルが同じように成長した姿で現れる、という冒頭から引き込まれるが、主演2人の美しさを際立たせる演出が徐々に目立ち、スリルが削がれる。旧約聖書に出てくる預言者の名前でもある“ダニエル”は、ルーク(聖ルカ?)の統合失調症による幻覚なのか、それとも悪魔(神?)の化身なのか、というミステリーとファンタジーの組み合わせの妙がそこまで効いてこないのは、演じるシュワJr.に妖しい色気が足りなかったからかな、と。
ソウルに住む平凡な家族がハワイ旅行に向かう飛行機でハイジャックと遭遇、しかし一家の夫婦は実はそれぞれ韓国のエージェント、北朝鮮のスパイだった……という「Mr.&Mrs.スミス」「シュリ」「ダイ・ハード」を掛け合わせたような設定は、バランスが悪くないので楽しいが、邦題のわりにテンポが良くない。終盤の畳み掛ける伏線の回収とどんでん返しも、前半のコメディ展開に時間を割きすぎたのか、必要なシーンが足りなくて、バシッと決まらないのも惜しい。
06年公開の「アフター・ウェディング」のリメイクで、ミステリアスな展開から始まる練られたシナリオはほぼそのまま。オリジナルは、数奇な運命のもとで出会う男性2人の物語で、同じ女性を愛した者たちのある種の友情も描いていたが、本作は女性同士に変更、2人の関係は友情ではなく「母親」としての共感、繋がりに感じた。J・ムーアとM・ウィリアムズがその過程を丁寧に演じていて、それぞれの人生が回想を入れずに立体的に描かれる。冒頭とラストの長回しの空撮も気持ち良い。