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個人的に最も愛する映画シリーズの29年ぶりの新作ということで冷静な評価が難しい。とはいえ、シリーズの生みの親である脚本家エド・ソロモンとクリス・マシスンが本作を手がけたのはもちろん、過去のシリーズを踏まえながら、いまの社会の空気を反映させてシリーズ全体を哲学的なメッセージを持つまでに意義づけた形で終わらせたことは最善の選択だと思える。シリーズ独特の“ユルい”テンポが、現在の映画群のなかにおいてはコンテンポラリーアートのように見えるのが楽しい。
熟年世代の女性たちがそれぞれパートナーを探し人生を楽しもうという、主体的な女性の欲望を後押しする方向性は共感できるし、ダイアン・キートンも可愛らしい。しかし彼女たちが『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を読んで刺激を求める展開は、さすがに幼な過ぎると感じるし、そんな妄想をそのまま叶える小型飛行機のシーンにも工夫がない。「パートナーのない人生には意味が無い」という価値観も垣間見え、そのために「書を捨てよ」と言わんばかりの内容になったのは悲しい。
「はちどり」や「82年生まれ、キム・ジヨン」の監督たちに匹敵する才能がまたしても出現し、韓国女性監督のラッシュが凄まじいことになっている。このキム・チョヒ監督は、なかでもユーモア感覚に優れ、本作ではホン・サンス作品で製作の仕事をしていたという、監督本人をモデルにした主人公を通し、自虐的な描写の数々で笑わせる。映画づくりに全てを注ぎながら自分の手柄になっていないという積年の思いを本作にぶつけ、ここまでのものにしたのだから、天晴れと言う他はない。
女性科学者たちの多いプロジェクトチームが、独自のアイディアでロケットを打ち上げ火星探査機を飛ばすという、インド版「ドリーム」(16)のよう。打ち上げたロケットが地球を何日もかけて何周もスイングするダイナミックなシーンには心躍るものがあるが、そこに投じられた頑張りが、“国家のため”という価値観へと集約される描写があるのでは本末転倒ではないのか。インドの進歩的な姿をアピールするメッセージを発するようでありながら、同時に保守的な印象をも与えられる。
脚本、監督、俳優、そしてCGなどのビジュアル・チームも、前作を超えるべく懸命になっているのは良くわかった。けれど悲しいことに、それらの頑張りは空回り。タイムトラベルのおかげでジミ・ヘン、アームストロング、モーツァルトが出会うエピソードは、ある種のシュールではあるが、面白さも時空を超える高揚感もなしの作り話に終わる。監督のD・パリソットは「ギャラクシー・クエスト」とは勝手が違ったようで、エンドクレジットのグランド・フィナーレだけが救い。
年齢別の区分けではもはや高齢者枠に入るフェミズム映画を代表していた女優たちと、当時のドラマを彩った男優たち。一堂に集まった贅沢さはもちろん、かつてのイメージに沿った配役にはニンマリする。読書会は名目で、展開するのはラブコメ。全員が肩の力を抜いて自在にやっているかに見えるのは、キャリアと現役力の賜物だろう。C・バーゲンの愛猫の名がギンズバーグという茶目っ気も○。たわいないと言えばそれまでだが、スターが勢揃いする楽しい映画に飢えている身には嬉しい。
邦題から想像して、主人公は福の神に愛されて多幸な人生を送っているかと思いきや、思わぬことから失業の身となった女性だった。好きな仕事に打ち込んでそこそこキャリアを積み、人生の重要なアラフォーという時期の試練を、自虐も含めて飄々と生きるキャラが爽やか。演じるカン・マルグムのいかにもナチュラル風な感情表現にも共感する。ユン・ヨジョンの大家さんはチャーミング。キム・ヨンミンの幽霊はご愛敬。韓国映画界に次々と登場する元気のよい女性監督から目が離せない。
宇宙ものといっても「アポロ13」の極限の緊張感、あるいは「ドリーム」の女性研究員たちのような闘いを繰り広げる必要はあるまい。なにしろ前作で生理用品の普及に奔走したA・クマール演じるチーム・リーダーの元に集結した女性たちは科学者というよりは、揃ってサリー姿も美しく“ごっこ遊び”の様相。メンバー紹介や科学者になった動機の披露、もちろんインド映画に特有の踊りもある。火星探査機の打ち上げに挑む研究開発のリアルな描写はほとんど見られないが、緩さが楽しい。
77分以内に「世界を救う音楽」を演奏しないと時空の歪みにより世界が消滅してしまう、という初期設定が大雑把すぎてわけが分からないし、その後もジミヘンやモーツァルトをスカウトしてバンドを結成したりのハチャメチャ展開が途切れることなく続いてゆくも、理屈を超えた多幸感が爆発する終盤はビルとテッドシリーズファンは涙なくして観られないだろう!……とか叫びたいところなのですが、恥ずかしながら自分はこのシリーズを観てきていないので大きな声では言えないのです。
40年来の読書クラブ仲間の熟年女性4人が繰り広げるロマンティック・ラブコメディ……って、いくら往年の名女優たちが出演しているとはいえ、コイツはちょっと食指が動かないなあ、などと思っていたのだが、観はじめてみると存外に上質な女性映画で、出会い系サイトで男漁りしたり旦那の飲み物にバイアグラを盛るなどという下品なネタもなんだか微笑ましく、おばあちゃんと呼んでいい年齢の4人が次第に魅力的な女性に見えてくるに至り、予定調和なラストも笑顔で許せてしまった。
ホン・サンスのプロデューサーとして知られるキム・チョヒのデビュー作とのことだが、主人公の職業を映画監督にしがちなホン・サンスに対し本作の主人公は映画プロデューサーというのには苦笑が漏れるし、やたらディープフォーカスな画作りなど類似点は多く見られるものの、変なズームとかはしないし、イマジナリーフレンド(幽霊?)の似てないレスリー・チャンなどというふざけた要素をシームレスで日常に混ぜ込む手捌きは見事で、個人的にはホン・サンスよりも楽しくて好きだ。
実話ベースとはいえオモシロが過ぎるディテールは「そんなん絶対ウソやん!」の連続なのだが、科学的説明の簡素化が功を奏してロケット制作における苦難の具体は同ジャンルのリアリティ重視の映画よりも理解しやすく、「七人の侍」的構成でキャラ立ちもビンビン、インド映画にしては控えめな歌や踊りも箸休めには丁度よく、予算不足のなか創意工夫を積み重ね「ハリウッド宇宙映画の製作費より安い予算で」無人探索機を火星に送り込んだ彼らの雄姿に低予算映画監督として涙を流した。