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大掛かりな騎馬隊の合戦シーンでは思わず『ゲーム・オブ・スローンズ』を想起するほどの、モダンで細部まで行き届いたカザフスタン映画界の技術的なレベルの高さにまず驚かされた。史実を基にした作品ということもあるのだろう、ストーリーそのものは悲劇→復讐→悲劇→復讐の単調な繰り返し、キャラクターもフラットで、ヒネリや意外性はほとんどない。しかし、むしろその鷹揚さが、脚本や構成が異常に洗練されすぎた現在のアメリカのテレビシリーズを見慣れた目には新鮮に映る。
リアムにもノエルにも何度も取材し、オアシス含め彼らのライブを数え切れないほど体験してきた立場から言うと、作品の意図が見え見えでちょっと白ける。「オアシス解散後にどん底まで落ちてからの復活劇」という筋立ては、私生活においては事実かもしれないが、キャリアにおいてはそこまでドラマティックなものではない。そして若い世代がライブに戻ってきたのは、レコードと同じボーカリストがオアシスの曲を歌うからだ。本作はその真実を周到に避けて、ノエルを一方的に攻撃する。
日本で前作はソフトスルー、北米では結果的に今作が劇場公開から配信公開へのシフトのメジャー作品1作目になるという、不思議な逆転現象に。音楽ジャンルとそのトライブの対立というテーマは、迂闊にやると大事故になりかねないネタだが、レゲトンやKポップまで押さえてみせる制作陣の視点のシャープさと正確さには感心した。ただ、キャラクター大国である日本の感覚に慣れ親しんでいるせいもあるのだろう、どうしてもトロールたちの造形を「かわいい」と思えない。
冒頭25分、西側諸国から半世紀以上遅れてジェットセット族が誕生した国ならではの「旅客機」という題材への高揚感に「知らんがな」という気持ちに。決して長尺作品ではないのに、まったりとしたエピローグが20分続くのも謎。もっとも、作品自体はハリウッドのディザスター映画の作法をトレースしたもので、どんなに経済大国になっても、どんなにドメスティックのマーケットが発展しても、中国映画がインド映画のような独自の文体の開発には向かっていないことがわかる。
キュロス2世率いるペルシア軍を破り、史上最強の女傑とも言われた、中央アジアの遊牧民・マッサゲタイ族の女王トミュリスの半生を描いたカザフスタン映画。騎馬たちが土ぼこりを上げる草原の合戦シーンは迫力満点だ。愛する夫子を失い、絶望した時、孤高の女王に、本音を打ち明ける女友だちがいるシーンが印象的だ。一方、歴史的ハイライトである、ペルシア王との戦闘から大勝利に至る描写は意外と淡々としていて、拍子抜けの感も。小さな復讐に囚われぬ、視野の広い映画とも言えるか。
リアムの平坦な歌声を聴いていると、ひ弱な自分でも淡々と困難を乗り越えられる気分になれた。久々に聴いたその声はオアシス当時よりやさしく響いたが〈リトル・ジェームス〉の時も甘やかだったから、いまの方が彼の本質が出ているのだろう。「『アズ・ユー・ワー』はあいつら(若いファン)にとっての『ディフィニトリー・メイビー』だ」と自信たっぷりに言える彼は、音楽を通して世界を見るよろこびに包まれている。「自分の声が好き」と語る時の、リラックスした表情もキュートだった。
幕開けはダフト・パンクの〈One More Time〉。ポピー登場シーンで流れるのは、シンディ・ローパーの〈Girls Just Wanna Have Fun〉のカバー。ポップ・トロール女王のキャラクターを象徴するようなナンバーに期待が高まったが、「親友」や「信頼」というテーマに対して、楽しげな音楽でお茶を濁し、何のプロセスも経ないヒロインはやや魅力に欠ける。サム・ロックウェルが声優を務めた、ヒッコリーのイメージがイーストウッドとは面白い。小ネタを知ると、より楽しめるのかもしれない。
タイトルは「フライト・キャプテン」だが、リュー機長(チャン・ハンユー)だけでなく、客室乗務員のリーダー、ビ・ナン(ユアン・チュアン)をはじめ、それぞれが自分の仕事に誇りを持ち、墜落の危機に立ち向かっていく、美しいチームワークが描かれる。離陸前、緊急着陸後、さらには1年後の、日常のほのぼのとしたエピソード(チェン副操縦士の続報希望)をふんだんに盛り込むことで、奇跡を尊ぶというより、乗客の安全のために訓練を怠らぬ、プロとしての矜持に焦点を当てている。
紀元前550年頃、中央アジアに実在したマッサゲタイ族の女王トミュリス(最強の戦士というよりは知将という印象)と当時の大帝国ペルシアとの戦いを描く。ファンタジーとエロ要素がなく残酷度控えめな『ゲーム・オブ・スローンズ』といった世界観。中世イスラームの哲学者アル=ファーラービーが、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの著書『歴史』に記された史実を自らの言葉で綴っていく、というスタイルで物語は進むのだが、ヘロドトスの視点ではない、というのが面白い。
音楽的才能に溢れた兄のノエルと共に時代の寵児となるが、その兄との確執によりバンドが解散、“現実に着地した”リアム・ギャラガー「その後」の話。作中語られる「ノエルは音楽の重要性を過大評価し、リアムを過小評価した」というのが全てだと思うが、全盛期を知っている者からすればリアムがそれを証明するため葛藤する姿にグッときてしまう。同時代、同じく一世を風靡したというのもあるが「トレスポ2」を観た感触と近い。レントンもリアムもジョギングが趣味になっているし(笑)。
子供の頃、「キャプテンEO」を観て夢中になり、マイケルとその背景にある音楽にハマっていった思い出があるが、本作は、そんなEOの魅力を継承したような“音楽をめぐる”アトラクション映画。大人は記憶にちりばめられた様々なジャンルの音楽を浴び、子供は新鮮な体験として受け取り、それが共有できるのも楽しい。「多様性」から派生する問題を音楽のジャンルの違いに落とし込んで描き、「文化の盗用」にまで言及していて、ただのアトラクションで終わらせないのが見事。
2年前に起きた実際の航空事故の映画化。クルー、乗客、管制官、航空オタクなど多数の登場人物にスポットを当てるのだが、多すぎて其々深掘りできず、伏線としてもほぼ機能していない。それでいて各シークエンスが異様に長く(無事着陸した後なぜか20分近くも機内の様子を延々と描く)、タイトルにもなっている機長の背景のドラマも浅い。実話を再構築する際のズレが、アンビバレントな構造に表れている。飛行映像の完成度は高く、特に積乱雲の中を突っ切るシーンは見応えあり。