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ワーナー・ブラザース・コリア製作の本作は、同じワーナーの日本でのローカルプロダクション作品とは違って、自国映画の独自な文体の開発ではなく、技術的にハリウッド映画の水準にいかに近づけるかを目標としているかのよう。その到達度において、本作は見事な仕上がりと言っていい。一方、ミーガン・フォックス、ジョージ・イーズらアメリカ人俳優への演出には工夫が見られないのが残念。鑑賞の際には、徴兵制のある国の作品であるという想像力を働かせた方がいいだろう。
ハリケーン・カトリーナによってコミュニティが破壊されたニューオリンズに、アフガニスタンから帰還して警官になった主人公が戻ってくる。彼女が聴くのはクリスチャンラッパーのレクレイ、〈ウェルカム・トゥ・アメリカ〉。なるほど、背景にあるものも問題意識も焦点が定まった行儀のいい作品だが、もはや古典的な「警官の内部告発もの」という枠組そのものがアメリカでは無効なのではないか。ジョージ・フロイド氏の事件以前に公開された作品であることを踏まえても。
米国白人による文化侵略を象徴してきた世界的レストランチェーン、ハードロックカフェは、2006年にフロリダ州のセミノール族に買収されて以来、彼らの持つカジノ利権と結びついて世界各国で巨大なカジノ&ホテル事業を展開している。そのハードロックカフェが本作の製作母体。ポピュラー音楽史における先住民族出身の音楽家の貢献というのは見過ごされてきたテーマであり、内容も充実した好作だが、ここには「自らの歴史を語るには、まず資本を押さえること」という背景もある。
コメディ版「her/世界でひとつの彼女」のような作品かと思いきや、AIとのやりとりは一本調子で、うだつの上がらないライターが無理めのガールフレンドを射止める話が本筋。人気ラッパーご本人登場シーン(リル・ヨッティ→キッド・カディ)も含めて、同時期に製作されていた傑作「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」との共通点が多すぎる。で、そうなると自分の行動を台詞でいちいち説明する主人公の描写を筆頭に、どうしても本作の演出の野暮ったさが目立つ。
初めての実戦に駆り出された、平均年齢17歳、772人の学生兵の若さが眩しく、観る者の心に突き刺さる。母への愛情、家族の復讐、それぞれの思いを胸に秘め、必死で戦う若者たちの想像を超えた戸惑いが、説明台詞ではなく、作中何度か挿入される波のように、印象的な画で表現される。自分と同じ人間の死体を前に震える掌、友に自分の間違いを謝る時、帽子を脱いでみせるあどけない顔、亡き友から預かった手紙を母親へ届けに行く、覚悟の背中。戦争の酷さを突きつける、反戦映画だ。
故郷ニューオリンズに、警官として帰ってきたヒロイン・アリシアが、警察組織にも、昔の仲間にも頼れず、孤軍奮闘する。意に反して巻き込まれてゆく旧友マウスが、遂にヒロインの名前を叫ぶクリアな声、その直後、マウスが拉致される瞬間を目撃したヒロインの届かぬ絶叫、巧みな音響設計が物語を盛り上げる。ハリケーン・カトリーナの被害を含め、母の死後、天涯孤独となったヒロインの半生を、もう少し丁寧に描けていれば、彼女の屈強な精神が無謀ではなく、迫真に見えたのではないか。
リンク・レイを中心に、彼の登場以前、チャーリー・バトンの時代から、ジミ・ヘンドリックスにレッドボーン、タブーへと現在に至る、多種多様なミュージック・シーンに通底するインディアン・ビートの壮大な物語。劇中に流れる約50曲もの音楽では、ミルドレッド・ベイリーの〈ホールド・オン〉をはじめ女性シンガーの曲が心に残った。「芸術という“秘薬”を使うのよ」と不敵なフォークのヒロイン、バフィ・セイント=マリーが歌う〈Bury My Heart at Wounded Knee〉に痺れる。
脚本、監督が「ハングオーバー!」シリーズ第一作を手がけた脚本家コンビゆえに、自ずと期待は高まる。持ち主の生活向上を目的とするスマホ・ジェクシーに翻弄されっぱなしの、意識高い系オタク・フィルのチャームとは、演じるアダム・ディヴァインのそれとあいまって、好きな女の子からの恰好の打ち明け話「本当の幸せを探しているの……」を聞いたところで、調子良く「僕が見つけてあげるよ!」等とは出しゃばらず、個を尊重する謙虚さだと信じていたので、この大団円にはちと不満。
朝鮮戦争下、後に伝説となるクロマイト作戦。それを成功させる為の陽動作戦、長沙里上陸に向かう韓国軍部隊のほとんどがまだ10代の学生兵士。上陸前、完全に捨て駒に使われる彼らのまるで修学旅行のようなノリが微笑ましく、哀しい。イケメン(実は脱北者)、デブ、皮肉屋、実は女、など主軸になるキャラの設定がややベタだが、全てが物語にうまく機能している。若者たちのその目線は、戦争は普通の日常を送っていた人間同士が殺し合う歪んだ現実、ということをより実感させられる。
腐敗した警察内部の者たちによる犯罪に巻き込まれ、仲間と対立してでも正義を貫く警官の孤軍奮闘を描く作品、というと「16ブロック」「トレーニング・デイ」なんかを思い出したが、この2作同様、本作も“限定された地域での約一日の物語”だ。中盤以降、ギャングの間抜けな行動など「?」な展開も多々あるが、最後まで一定の緊張感が続くのは、そのある種ジャンル化された設定、そしてハリスの緩急をつけたリアリティのある演技によるところが大きい。
10代の時、リンク・レイの〈ランブル〉を初めて聴いたのだが、カッコ良すぎて笑ってしまった記憶がある。今でもエッジの利いた映画や舞台で時々使われているが、そのルーツは全く知らなかった。本作はレイからジミヘン、タブーまで、そのインディアンの血を引く者たちが変えた音楽史の側面を、彼らの祖先が受けた迫害の歴史、文化の成り立ちを紐解きながら描く。劇中ある人物が「大地から受け継いだオーガニックなビート」と語るが、まさにそれを全篇様々な形で体感できる。
日々、世界中で増えているスマホ依存者をシニカルに描いたラブコメなのだが、どうもラブと笑い、皮肉な視点が微妙にかみ合っていない。主人公の職業がネットニュースのライターということで、序盤の“配信記事作成あるある”なんかはニヤリとするが、スマホ内蔵のAIアシスタントが自我を持ち、彼の恋愛に嫉妬して暴走する展開は、そもそもの設定が曖昧なのでいまいち入り込めず。「デイズ・オブ・サンダー」ネタは嫌いじゃなかったが、ちょっとしつこかったかな……。