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内容は高畑監督の「おもひでぽろぽろ」に近いが、ややもするとそれ以上に主人公の心情や、社会に生きる女性の実感を映し出し得ている秀作。ジブリの後継ともいえる作品が突如台湾から登場し、ここまでの品質で作品を作れたことにも驚いたが、話を聞くと、台湾で下請けを行っていたベテランのアニメーターたちが使い物にならず、監督が新たに新人のスタッフを探したとのこと。アニメ文化の積み上げより、情熱とセンスでここまでのものに仕上げられるという事実に感動。
かなり豪華なキャストで固めていて、なかでも善悪の間で揺れる組織人間を演じているロザムンド・パイクの葛藤する演技は楽しめる。一本の映画としては、様々なジャンル的要素が次々に表れるところが特徴的で、面白い試みだと思えるものの、一つひとつの掘り下げが足りず、それらがハーモニーを生み出すわけでもないため、アクションなのかサスペンスなのか、リアルな犯罪組織潜入ものなのか刑務所映画なのか、結局よく分からない作品になってしまったように感じる。
原作漫画・アニメが、もともと実写映画の要素を組み込んだ作品だったので、それをまた実写映画に還流させたところで面白くなるかという疑問があったが、フィリップ・ラショーがコミカルな要素を強調したことで、かろうじて存在意義が保てているように見える。しかし、原作にもあるセクハラや下ネタの部分については、実写表現ではさすがに厳しいものがある。「007」ですら消極的に進歩を受け入れつつあるなか、この無邪気さを押し通すのは難しいのではないだろうか。
偉大な児童文学作家の、人生の辛い箇所をピックアップしていて、当初は「なぜその部分を…?」と思ったが、2回鑑賞して、描かれたいくつかの現実的なエピソードのなかに、彼女の創作の核となるものがしっかりと描かれていることに気づく。スウェーデンの田舎を舞台にしながら、大自然を叙情的に映し出すだけの演出はなく、無駄なカットの少ないストイックなつくりも好感が持てる。余談だが、ほぼ同時代に生まれた金子みすゞの生涯を思うと、日本の閉鎖性はより深刻だ。
1975年生まれでアメリカ在住の台湾女性を主人公にしたこの映画は、アニメの特質を生かして、話が幼少時代と現在を自在に行き来するも、郷愁のみに流れてないところが◎。蒋介石総統死去や戒厳令解除や初の民選総統誕生といった政治から、台湾大地震といった災害など、その時どきの出来事に主人公の成長を絡ませて、ファンタジーの中にしっかりした芯を形成する。そこに見える中国と米国の間で国の立場を模索する台湾。台湾初の長篇アニメだそうだが、世界的な視野を感じる。
原作の舞台をスウェーデンからニューヨークに移し、主人公のキャラクターも含めて話をアメリカ風に編み変えたのは、うまくいっているので、そこそこ見ごたえはある。でも考えたら、すでに見たことのあるような……、麻薬がらみのこの種のクライム・サスペンスの寄せ集め感も。それにつけてもロザムンド・パイク、このところサスペンスやアクション映画での活躍がめざましく、ジョエル・キナマンは美しい。ところで脱出劇に気を取られていたが、麻薬組織のボス、将軍はどうなったのか。
漫画・アニメは日本が世界に誇るコンテンツであり、この映画はその成功例。が、このジャンルの熱狂的なファンではないので興味が希薄で、かつ知識に乏しいがゆえに、切れ間のないギャグを楽しむにはいささかハードルが高い。それを差し引いても、パフュームの容器を奪回するサスペンス&アクション・コメディとしての骨格と見どころが整備されているので、予想外の結末を含めて、たわいなく笑って見ていられる。ともあれ監督・主演のフィリップ・ラショーの情熱がすべての作品だ。
アストリッド・リンドグレーンが娘として、女性として、母としてと、立場を変えていく様を仕掛けも特殊効果もなく綴っていて清々しい。離婚係争中の男性との恋、出産、働くシングルマザーの苦悩。波乱の日々を生きる彼女の感情を北欧の風景と絡め映し出す演出の巧みさ、併せてアストリッド役を演じるアルバ・アウグストの心情表現のうまさも出色。作家以前のことは知らなかったが、人を愛しき傷つき、息子に愛情を注ぎながら世界的な児童文学作家になっていった原点が見える誠実な作品。
激動のさなかにある台湾を舞台に、悩みながら大人になってゆく一人の女性の人生を厳しくも優しく見つめた良作。完全に悪い人間は出てこないし、完全にいい人間も出てこない。みんなそれぞれダメなところがあり、いいところもあって、人間くさい。人は思うようには生きられない。幸福は甘いばかりじゃないけれど、それでも幸福を求め生きてゆくのが人生を与えられし者の宿命なのだと思わされる。主人公チーが自分と同じ1975年生まれということもあり、己の人生と重ねて涙した。
チラシには「FBIに裏切られた情報屋の脱出劇」という惹句が躍っている上、あらすじも刑務所に入るまでは前置きみたいな書かれ方をしてるから、ワーイ好物の刑務所脱出モノだ!と思って観たのだが、この設定がセットアップを終えたのは映画が折り返しを過ぎたあたりだった。とはいえそこに至るまでの語りがトロいわけではなく、むしろついていくのがやっとのスピード感。面白いけど単純明快な脱出劇を期待していた自分のポンコツ脳にとっては話が込み入りすぎかなあと思った次第。
シティハンターファンが滂沱の涙を流すこと請け合いの再現度。フランス人がフランス顔丸出しで演じても役名は冴羽獠だし、香に冴子、市長の名前はモッコリー、100tハンマーも出てくるよ……っていい加減にしろ! そもそも原作が日本らしからぬ無国籍感を醸しているので、意外にも画面の馴染みは悪くない、どころか日本でやるより格段にいいと思わされた。監督・主演のフィリップ・ラショーの狂気じみたシティハンター愛ダダ漏れの怪作バカ映画! 星三つだけど満点だ!
作家リンドグレーンの生涯を描いた映画だとばかり思って観たのだが、さにあらず彼女が少女から母親になるまでの短い期間に焦点を絞っているがゆえ、伝記モノ特有の展開のせわしなさとは無縁に、一人の女性の成長をつぶさに見つめた普遍的な物語になっており、伝記映画というより女性映画といった方がしっくりくる作り。端正な画作りに時折雑味を混ぜ込んだ演出は、優しく、時に激しく、不安定な彼女の心情をスクリーンに焼き付けているし、なによりアルバ・アウグストが素晴らしい。