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序盤は前篇と完全に重複? と最初びっくりするが、よく見ると付け足しがちょこちょこあって、その付け足し部分で丁寧な心理描写がされている。つまり、前篇で完全に欠落していた情感や葛藤が全部こちらにつぎこまれている格好で、個人的には前篇よりも感情移入できた。とはいえ船が沈没してからが長すぎるし、そもそも前後篇がこんなに不均衡なのはいいことではないし、多少長くなっても一本にまとめるべきだったのではないか。ジョン・ウーのどことなくシュールなセンスはさらに全開。
「パージ法」が試験的に発令されていきなり殺し合いが始まるわけではなく、とりあえずみんなパーティーを始めちゃうというのがすごいリアリティ。そのあとひとひねりあってからまさかの展開、マイノリティによるアツいレジスタンス映画になる。感情移入できる登場人物を最初に複数提示することで、観客が当事者感覚を持てるよう工夫されているし、ここぞというアクション場面の撮り方もなかなか迫力あるのだから、ある種のホラー映画によくあるこけおどし的な音の演出は勘弁願いたい。
ジャッキ(英語ではジャック)が壊れたところから始まるジャックの崩壊。実在の殺人鬼たちの多くは想像を絶する逸話を残しているのだから、主人公の支離滅裂さも驚くにはあたるまい。しかも何とこの映画は、ブルーノ・ガンツの役がツッコミとして機能しているため、意外にも、少なからぬ人たちがすんなり受け入れてくれそうなコメディとして成立している。作品全体が監督自身による懺悔の気持ちの表われなのだ、という解釈も出てきそう(そうするとまた議論がややこしくなるけど)。
シリーズものだからといって必ずしも前の作品を観ておく必要はないが、これに限っては前作も観ておくのが吉。今回はハ・ジョンウが冥界にとどまり、仲間の二人が下界に向かう。さらに任務の過程で、彼ら三人の、現世での出来事と因縁が明らかになる趣向。けれども、冥界のスペクタクルと下界のアクションミステリーが一体となって、怒濤のような展開を見せた前作に比べると、こちらはいろいろありすぎて話運びがやや散漫な印象。でも泣きのポイントでしっかり泣かせてくるのはさすが。
前作は戦闘場面に力が入っていたが、第2部は台湾へと逃亡移住する人たちの話が中心になり、期待感が増した。上海から台湾へ行く大型客船、大平輪号に乗り込む運賃がいかに高価だったかは、チャン・ツーイーの必死な演技で表現される。船は積載量オーバーで出港。規制を避けるために夜間も無灯火で航行。人間のエゴイズムむきだしのせいで他の貨物船と衝突してしまう。ジョン・ウー監督のタイタニック号事件と張り合う演出が展開し、日本に帰国した長澤まさみの物語が軽くなった。
経済が破綻し、犯罪が増えるのを抑止するためにアメリカ政府はニューヨーク州スタテン島で、12時間、殺人を含む犯罪をしてもよいという「パージ法」を実行。参加者には5千ドルを支払うという、とんでもない話だが、アメリカの貧困層対策として奇妙なリアリティがあって怖い。実験時間中は仮面をつけた群衆や反政府デモ、右翼や暴力団の出動で、アナーキーな大混乱。ジェラード・マクマリー監督の演出もメリハリが効いているのだが、見終わったあとはアメリカという国にあきれはてる。
「エレメント・オブ・クライム」についての拙稿を読み直し、トリアーのヨーロッパ的崩壊感覚の一貫性を再確認。マット・ディロン熱演のシリアル・キラーが殺人を犯すごとに強迫神経症が改善されて、病的に潔癖症だという設定も相変わらずだ。大鎌を使って草を刈る農夫たちを見つめる少年の目も独特で怖い。建築とグールドのピアノなど教養ゆたかな引用と偏執ぶりはゴダール「イメージの本」の対極にあるが、ガンツが登場し、ダンテ『神曲・地獄篇』で終わる最後は、あれでいいのか。
冥界と現世を往来し、千年単位の物語であるが、この章は登場人物の経歴と家族の物語ゆえ、時間と空間のスケールは大きくても、感情移入しやすい。「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソクが屋敷神として人間界に降臨し、韓国の乱暴な再開発の現状に腹を立て、暴れまわるのが痛快。一方、前章でおなじみの冥界からの使者たちの出自がスペクタクル的に明かされるのが見せ場となる。そこで現役兵士キム・ドンウクの軍隊内の悩みなど消えてしまうが、物語としては仕方がない。
大風呂敷を広げに広げてキャラクターを紹介するだけで終わった前篇。後半では題名通りに交差しては遠く離れてみたいのを繰り返すのかなと思いきや、前篇の場面を使ったダラダラとした復習を強いられ、ふと気づけばクライマックスの太平輪号にオール・アボード。そこでもキャラクターたちの人生模様が波瀾万丈に交差するわけでもなく、そのまま太平輪号は沈んでいきましたとさ……という感じ。沈没の描写はしっかりしているのに、話が締まらないのでどうしたって燃え上がらないのだ。
第1作こそ白人中間層の生活圏が舞台のホラーだったが、前2作はパージで淘汰される弱者たちの対抗組織と権力側の戦争映画とも呼べる仕上がり。今回もそれっぽくはあるが、立ち上がるのが“レペゼン、スタテン島”を掲げるギャングなのがミソ。パージで敵対組織に襲われると警戒するつもりが政府の思惑に気づき、地元愛と正義に目覚めて銃を取るという展開に燃えに燃えてしまった。今回も倒されてしまうのが惜しい優れたキャラのパージャー(参加者のこと)がワンサカなのも◎。
題名がマザー・グースの積み上げ歌『ジャックの建てた家』から取られているので、殺す人数が多くなって手口も凄惨になると思っていたが死体を用いた最後の大仕事にはしてやられた。陰惨で悪趣味極まりない内容なのは確かだが、これはコメディなんだと頭を切り替えれば観られる。実際、強迫性障害ゆえに何度も現場に戻ってしまう場面を筆頭に笑える場面は少なくない。撲殺、絞殺、刺殺、銃殺と殺り方も多種多彩で、人体破損描写も素晴らしい仕上がり。ただし、繰り返し観たくはない作品。
現世からやってきた者だけでなく冥界の使者の人生にもクローズアップ、“オモニで哀号”に代わって“アボジで愛号”するドラマと、前作から話を受け継ぎつつも対になった作り。「クロッシング」前後篇が残念なだけに、二部作はこうあるべきだと痛感。恐竜を登場させたり時代劇になったりと前作以上にサービス精神旺盛だが、冥界の判官役オ・ダルスの不在が痛い。聞けばセクハラ疑惑で降板とは。ヘタしたら閻魔様から怒られるかもしれないのに、こうした作品に出ていたとはまさに因と縁。