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いまどきの高校生エロ抜き青春映画のお手本みたいな映画です。舞台は、いまやローカル色豊かな地方こそトレンドというわけで、大阪の南河内になりました。主人公は、甲子園の夢破れた少年で、そこに一人の美少女が現れます。でも、昔のようにボーイ・ミーツ・ガールで話を進めるわけにいかないので、地方発の食品コンテストを縦軸にします。演劇や合唱コンクールでないのが新機軸ということなのでしょうか? 結果は、仲間同士心合わせたドーナツ作りで青春バンザイという次第。
坪内祐三のエッセイ『酒中日記』の映画化作品。坪内自身が主人公で、出向いた馴染みの酒場で、都築響一、亀和田武、杉作J太郎、中原昌也、康芳夫、重松清、南伸坊、中野翠といった人たちと出会って話をする。坪内が、会う人毎に自然に異なる話題で話を盛り上げるのには感心するが、原作のように面白くはない。それは、エッセイにあっては、ことが、坪内の批評的な眼を通して描かれているのに対して、映画では、彼はキャメラの客体となって、その眼が消えてしまうからである。
確かに、信恵さんという人が凄い。画面の中でも言われるように、名前だけ聞くと女性と勘違いするが、れっきとしたオジさんで、信恵というのは名字だったのだ。尾道市で、無農薬野菜も売る風変わりなCDショップを開き、インディーズ系のミュージシャンのライブなどをやる一方、子どもを救えと、原発事故による放射能汚染から避難しようとする母子たちを積極的に受け入れている。ただ、彼のベースには音楽があるのはわかるが、その実際への突っ込みが弱いのが、いま一つ物足りない。
若くして亡くなった井田真木子に見せたかった。もっとも、彼女なら、こうして映画になる前から、プロレスラーとしての安川惡斗について書いていただろう。いや、凄いね。安川祐香として生まれた少女が、女優・安川結花となり、プロレスラー安川惡斗になるまでの人生も凄いが、何よりも、リングでヒールとして闘う彼女の姿が胸をうつ。その方面には疎いわたしだが、彼女のみならず、女子プロレスラーたちが、四角いリング上でこそ、自らを解き放つことが出来るということが心に沁みた。
夏休みの初恋というストレートな青春映画でとても気分良く見られた。私、三原監督のこと知らなかったので比較ができないのだが「ご当地&料理」は得意技らしい。葡萄畑が続く南河内の風景よく、撮影編集も良く故郷グルメ選手権という物語も上々。でも演技者の最上の部分を引き出していない。ただし隠し味が道明寺粉、とかの料理映画感覚に優れており飽きさせない後半がさすが。本格的に選手権の模様を物語に組み込んでおり、もっと参加者各料理のディテイルも見てみたかったかな。
原作となっている同題コラム(?)の件に全く無知で、評価にブレーキがかかっているとは思う。要するに事前に原作を知らないとのめりこみようがない企画である。映画を見る前に読んでおきたい。前号本誌の記事もね。そうすれば楽しめる。特に南伸坊の部分は入り方の旧作引用も良く、さらに坪内「本人伝説」まで出てくる仕掛けに納得。こういう趣向を全篇で見られたら評価もぐんとアップしたのだが。坪内センセは他人の話をまぜっかえす癖があるようで、それが味わいになっている。
主人公の名前が「ノブエ」だというので「?」と思ったら名字が信恵さん。この入り方はいい。ただ画面が綺麗で彼の人柄を語る若者たちが小綺麗、私は悪い意味で混乱した。音楽家たちらしい。きっとマイナーな有名人なんだろうがこっちの心に伝わってこない。このへん失敗。実は東日本大震災後、被災者救援に駆けまわる市井のレコード屋のおじさんの不思議なキャラクターを紹介する内容で、本人はベラボーに面白いのに映画が一方的につまらない、という典型作。一番いいのはタイトル。
試写の後でネット検索し、主人公の惡斗が世Ⅳ虎との因縁対決の末、ボコボコにされて入院加療中と知った。どこまで壮絶なんだ、この人の人生。とりわけ集団レイプ、神経障碍、洗剤自殺へと突き進む数年間を語るインタビューが凄い。高原監督じゃなきゃ聞き出せない内容だろう。彼女は女優でもあるが滑舌は良くなく、勢いで演じるタイプ(アーカイブ映像が出る)。美人だけど普通の子なんだが、いわばそのスタンスが貴い。「無器用ですから」ってのは、これからは彼女のトレードマーク。
主人公の高校生男女俳優が、『ごめんね青春!』組ではないかとワクワクするも、こちらの作品は、どちらかと言えば正攻法で、まったりしたテンポ。いや、笑いも入ってるのだけど、効いてない。町おこしのためのグルメコンテスト優勝をめざす学園青春映画にも関わらず、緩急がなく、ちっとも弾けていないのは致命的だろう。最後の方の、花火のシーンなど良いところもあるが、全体にいまひとつ心に迫らない。町の特産品はしっかり紹介されているので、ご当地映画としてはありなのかも。
文壇バーというものに憧れを抱く人がいまどれだけいるのかわからないが、昭和の匂いを残すその場所の空気をたっぷりと味わわせてくれるユニークなドキュメンタリードラマ。でも、よほどうまく撮っていないと、人が酔っぱらう姿を見せられるのは、快・不快のきわきわのところにあるな。ほろ酔いの雰囲気は好きだけど、単なるグダグダになるとつまらない。律儀なトーンの中原昌也のところは面白かった。そしてふと気づくと、某シーンの遠く背後にキネ旬編集部の知る顔が! 一番びっくりした!
広島・尾道で、CDショップを営む一見怪しげなおじさん。音楽を愛し、ミュージシャンたちを支え、のぶえさん、と周囲の人々に親しみを込めて呼ばれる信恵勝彦は、被ばくから逃れる家族を受け入れる、いわゆる〝保養〟先のホストを実践している。鎌仲ひとみの「小さき声のカノン」とテーマが重なる部分があると共に、のぶえさんの独自の生き方もよい距離感からとらえられていて興味深い。彼の情熱の源は何なのだろう。監督・田中トシノリの目線はフェア。みずみずしい一本になった。
先ごろの試合の惨事でも話題になった安川惡斗。プロレスのことに無知な私は彼女を知らず、この映画は、ある壮絶な半生をジメッととらえたヤバイ系だと思っていたら、とても魅力的な若い女性の生き様が描かれていた。煽るような映画じゃない。すごくまっすぐ。彼女自身も。彼女は女優を経て、プロレスラーになる。なぜプロレスか? 後半の、たたみかける試合の映像に見入ってしまった。そうなのか。リングって生きる場所になるんだ。強くなりたいと前を向く彼女はどんどん輝いていく。