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全篇に漂う、禍々しくも不穏な空気はただものではない。それは、何に由来するのか? それとは明示されない大災害後の社会にわだかまる不安、焦燥、怒りを的確に捉え、フィクションとして構築した脚本と、映画へと具現化していった力業による。そこからは、不可視の傷を受けた精神が、無意識のうちに暴力として発現するさまが、実にリアルに描き出される。それにしても、このような映画が、学生とプロのコラボレーションによって生まれたということには、感嘆と同時に、希望もおぼえる。
終わり近く、ベラルーシから「保養」にきた子どもたちを十九年間、北海道で受け入れてきたNPO法人「チェルノブイリへのかけはし」代表の野呂美加さんの「捨てられたんだよ、私たちは、勝手に生きれば、勝手に死ねばって言われたんだよ(国から)」という言葉は、いまのこの国の現実を語っている。だが、それでも子どもを守ろうとする母親たちは、自分の手で除染し、安全な食品を集めて分け合う。その姿を見ること、子どもにとって「保養」がいかに大切かを知る上でも意義深い作品だ。
大島渚は、デビュー作「愛と希望の街」で、男女の出会い場面でも対面・切り返しを禁欲し、それを使ったのはここぞというシーンに一度だけ。むろん、それは小津を意識してのことだろうが、こちらは、端から対面・切り返しのダダ漏れ。おまけに、演出か、その度に俳優がいかにもそれらしい表情を見せるのが鬱陶しい。物語の狙いは、最後に明かされる親友の思いやりにあるのだろうが、とすれば、初めの筋肉マンやおでこ女の自殺願望と平仄が合わない。これじゃ迷宮より迷球カフェだ。
ハイ、この映画、十八才以上お断り、ですね。未満じゃありませんよ、以上です。どうしてか、ですか? 主人公たちをご覧なさい。高校生でリッパな身体して、学校の建物もとてもリッパ。でも、勉強してる様子はありません。なにしてんでしょ?ワタシ、あの人が好き、でも、あの人は他に好きな人がいる。でも……てなことを、朝から晩まで考えてるの。だから、親も先生も関係ない。それで究極のピュアラブストーリーですって。あの子たちも十八になれば選挙権持つのよ、コワイわねぇ。
中二病映画。中二病には諸説あるが要するに、何かというと世界を終わらせたがったり、今ここから脱出しなければと焦ったり、返信のあてのないメッセージを発信し続けたり、そういう物語を指す。と、ここでは定義しておく。それがいわゆる「311以後」と呼ばれる状況にぴたっとハマってしまった。妙に評論家に受けがいいのはそれ故か。虹の彼方、というのもキーワードで、複雑な物語がスマートに構成されてはいる。私は全く認めない映画だが、漫才コンビが可笑しいので★を一つ足した。
試写に行ったら、監督が来ていると知りながら十分くらいで隣のおばちゃん、とっとと退席。こういう連中の中で監督は闘ってるんだなあ、と思ったらあんまり悪くは書けない。事実、良い映画で、ついでに雁屋哲の新刊『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』も一緒にここで推奨しておこう。福島に生きるとは汚染された土壌に生きることで、しかしいくらでもやることはある。絶望しているひまはない、というメッセージが伝わる。本作姉妹篇DVD「内部被ばくを生き抜く」も重要な成果であろう。
骨髄移植という題材は良い。でもここまで複雑な設定は不要。実は私も去年までドナー登録者であったが提供機会なきまま時間切れ、お役御免と相成った。特にその経験に鑑みて言うのでもないが、何も自殺志願者や通り魔殺人を引き合いに出さなくても、とつくづく思う。ただしコメディ風味を効かせた部分もあり深刻さは薄い。それは正しいし、これを見て我も我もと登録者が増えてくれればそれにすぐる幸せはない。不思議なのは主人公の記者に複雑な内的葛藤を全く用意してないことかな。
ぴんとこない。俳優の実年齢とキャラにギャップがあるからだ。ただし女性陣は無理なく見え、架純ちゃんは「阪急電車」と印象が変わらないから偉い。でも実は冒頭、彼女が福士くんにフラれるのを見た瞬間、これでやけになりパツキンコギャルに変身するのかと勘違いしてしまった。別な映画じゃん。良かったです、誤解で。片思いって両思いより素敵、という古典的なコンセプトにほっとする。物語のどうでも良さをクライマックスの文化祭の大仕掛けでねじ伏せる監督の力技、さすがです。
映画、ことアート映画に惹かれる人は、日々何かしら違和感を抱えて生きているのではないか。アートのエネルギーは、そこから出発するのだと思う。本作はプロが学生たちを導き一丸となって作られた。その意味では、アートの原点をラジカルに突きつめている映画かもしれない。丁寧な演出で完成度は高いし、出演者たちもいい。でも、放射性物質を組み込んだオブジェでテロを画策、という今さら傷に塩塗る題材にしたのはなぜ? アートもそこから先どうするか考える時代だと思うのだが。
福島原発事故の被災地・二本松市と、チェルノブイリ原発事故を経験したベラルーシの母親たちの、その後の生き方をとらえたドキュメンタリー。被ばくした土地で、子どもの命を守りながら、つねに選択をしていかなければならないお母さんたちは本当に大変だと思う。彼女たちがそのことから視野を広げ、強く生きているように見えるのは救い。選択肢はいろいろあるが、意識的に選択、行動すること自体が大事なのだろう。生活の中の小さな声を拾い上げ、知らせる映画の価値を強く感じた。
訪れた客が次々と失踪する謎めいたカフェ。そこにはさまざまな事情を抱える人が、ある目的のもと集まっていた。疑似家族の再生めいた話かと思っていると、途中から、予想外のディープな方向へ転がっていく。関めぐみは正統派の美人女優の魅力があり、市川由衣は最後の方は女神に見えてくる。でも、彼女たちの描かれ方は美しすぎないか? 帆根川廣が自身のオリジナル脚本を監督。チャレンジングな企画&内容だと思うが、焦点がはっきりせず、どこに向けているかわかりづらいのが難。
廣木隆一、今年3本目の公開作は、「アオハライド」原作者による少女漫画の映画化。学校イチの人気男子と、彼に告白するもあっけなく玉砕した高1女子、その友人たちが、熱いハートのぶつかり合いを繰り広げる。男子にお母さんのような優しさと、壁ドンの荒っぽさを同時に求める少女漫画ならではのご都合的ファンタジーが、ティーンの物語の中でピュアに弾ける。一番の見どころは、〝好き〟の感情を掘り下げていく有村架純。監督の演出自由度も高く、恋のドキドキがスクリーンに溢れる。