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元バレリーナらしくというべきか、『白鳥の湖』を下敷きにお話を作るのに不思議はないが、それを男子に演じさせ、人形振りで見せたところが、一ひねり。さらに茶屋から新宿2丁目あたりが、地滑り的(!?)につながる、このデタラメぶりは、とかく、心温まるいいお話が幅を効かせる当世にあっては、貴重である。おまけに、桃井かおりにナレーションをさせる大胆さ! これで、全体にもう少し動きがあれば、★2つぐらいおまけしてもいいのだが、極低予算では、それも無理な注文か。
あちら(「幕が上がる」)が、高校演劇で全国大会出場を、というなら、こちらは、中学の合唱で全国大会を、というわけで、両作は、二つのドングリのようによく似ている。だから、背比べをしても、あまり変わらないと思うが、こちらのほうが、自閉症の兄を持つ少年とか、父親に捨てられた少女とか、話の綾は細かい。この監督お得意の、人のショットのあとは風景という編集も、舞台が五島列島だけに、「ホットロード」ほど単調ではない。場所の利と歌声で、前作を越えられたというべきか。
いいお話なのは保証する。原作がそうなのだから。というより、ほとんど無一文から、「理想の学校」を作ってしまった原作者の生き方が。監督が、それに感動し、映画にしたというのは、よくわかる。だが、出来上がった映画は単調だ。俳優たちは頑張っているが、シーンの一つ一つが説明的で、それを駆動する力が弱い。だから、感動的であるはずのラストも、いまひとつ盛り上がらない。まあ、映画がどうかというより、こんな時代だから、いいお話を見たいという人には、どうぞ!
開巻、ももクロだかなんだか知らないが、どこにでもいそうなフツーの女の子たちを、キャメラが忙しなく動き回って撮るのが煩わしく、先行きを危ぶんだのだが、彼女たちが演劇の稽古を始める頃から、ようやく落ち着いて見られた。それにしても、恋愛抜きの少女ものは、必ずといってもいいくらい、演劇コンクールや合唱コンクールの全国大会を目指して頑張るというパターンになるのは、どういう訳か? 本作は、独白に頼りすぎの感があるが、涙や感動を押しつけないところが美点だろう。
「猫侍」でお馴染みの時代劇用オープン・セットを活用して作られた一本。男しか存在しない虚構の江戸時代を舞台に、映画でナレーションを担当する桃井かおりの声だけが登場人物にも聞こえたりするあたりが設定として面白い。ただバレエ『白鳥の湖』をベースにしているというんだが、それでも分かりにくい。一人二役という枠組みのせいでかえって混乱を招く。花魁と売れっ子ダンサーの恋というのも身の上が似ていてややこしい。しかし構図や編集が上等なので飽きさせないのはお手柄。
挫折して故郷に戻ったピアニストが、代用教員として思いっきりふて腐れながらコーラス部を指導する。小出しに明らかになる彼女の事情と、生徒たち及びその家族の群像のブレンド具合が最上だ。特に自閉症の兄の世話に励む少年、ろくでなしの父親を嫌いになれない美少女の挿話に感涙必至だし、結構ぎりぎりまで主人公がふて腐れてるのが絶妙な効果。合唱大会が当然クライマックスと思いきや、その後さらに盛り上がる二段構えも凄い。ホントに三木監督か、なんて失礼な感想でごめんね。
独自の教育施設を長野県で作り、現在も実践する熱血教育者とその仲間の学校設立実話。とても良い話でお勧めだが何故★が伸びなかったかというと、上手くいってる時の展開は上手いのに、挫折する部分がありきたりだから。主人公を導くのが今は亡き師の幻影で、ところがこの人物が何者か結局よく分からないため演劇で言う「機械仕掛けの神」みたいになっちゃった。ご都合主義って意味です。仲間達との演技ハーモニーは良く、主人公の未熟さを彼らが補う趣向が効果的。喜劇風味で正解。
同じ号で「くちびるに歌を」と並んだのが不運だった。違う号ならこれも満点にしたな。頑張る理由を聞かれて「好きってだけじゃダメなんですか?」と答えるコーラス部員のピュアネスを前にすると、本作の野心満々の演劇少女達がかすんで見えるのはやむを得ない。でもこの作品、演劇コンテストにボランティア・スタッフとして主人公が参加するあたり、とても良い味を出している。ただこれに関して言うと周囲の環境をバランス良く配したのはかえって中途半端。徹底的に舞台で攻めるべき企画。
男ばかりの架空の町で繰り広げられるラブストーリー。和風にアレンジした『白鳥の湖』の音楽のエモーショナルな響きと、ポップ&スイートかつ上品な映像美と共に立ち上がる、広田レオナのBLワールドに妥協はない。浮気すると髭が生えるなんて設定や、ナレーション出演の桃井かおりの突っ込みも可笑しく、広田の男性論が下地に練り込められている。実生活でのパートナー、吹越満が〝積極的出演〟し、本作の世界観の要を支える。大人の女性が楽しく夢を見られる粋なアート映画だ。
東京で活躍していたピアニストの女性が、ある私的な事情から、臨時教員となって長崎県の中学校にやって来る。正直、ヒロインの教師にはあまり魅力を感じなかったのだが、まっすぐにのびのびと明るい笑顔を見せる、等身大の子どもたちが皆よかった。何よりも、五島列島の雄大な自然を美しく映し出している。それを背にした登場人物の心情が、澄んだ空気をゆらして繊細に浮かび上がってくる感じもいい。ただその分、ディープな心情に肉薄していく三木孝浩のコクが弱まってはいるが。
20代の元高校教師が、理想の学校を作るという夢のために奔走し、実現した実話を基にしている。この学校はいまも健在だというし、モデルとなった人物は、きちんとした理念を持っているのだと思う。しかし、この映画に関しては、主人公は単に成功を急ぐ自分本位な人に見えてしまう。人を救いたいと言うけれど、彼がどんな教育をしたいのかが具体的に説明されていないのだ。役者陣は好演していて、青春群像としては悪くないけれど、この話にこのノリは正しいのだろうかと疑問が残った。
ももクロがきらきらとした魅力で、演劇に情熱をかける少女たちを演じている。ももクロ、本広克行、平田オリザのタッグが生む青春の風景は、ヴィヴィッドで活力が漲り、こんな明るい高校時代ならやり直したい、と思ってしまった(笑)。プロ感とアマチュア感が絶妙なバランスにあるももクロのアイドル性が、本作の輝きの源なのは間違いない。また、学生演劇の女王だった新任教師役の黒木華が見事で、改めて演技派の人なのだと思い知らされた。男子の影がない少女の物語というのも潔い。