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スリラー作品のいいところは低予算でも映像と音響の工夫により、シネフィルをとりこにすることである。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」はその好例として有名だったけれど、素人っぽい手持ちカメラのせいで、見ているうちに気持ちがわるくなってしまった。その点、シャマランのスタッフはハンディカメラによる撮影のバランスがよく、徐々に恐怖の世界に導いていく。サイコアナリシスも彼の映画の特徴だが、老人になっても、女性のほうが男性より見た瞬間に怖いことは確からしい。
時の流れに耐えていく女優像をJ・ビノシュが誇り高く演じて感動的。脚本監督のアサイヤスは劇中劇も含め、マネージャーの感性やスキャンダルまで宣伝に利用しようとする新進演出家をキメこまかく描く。マネージャー役のクリステン・スチュワートが実にリアルだ。スイス山岳地帯の「マローヤのヘビ」現象も35ミリ・フイルムの使用で美しい。ビノシュのような大女優はSF映画をバカにするところがあるのだけれど、最後に誠実なSF映画の監督が登場し、彼女に出演を要請するのが秀逸。
両親と弟の耳が聴こえないという家族の中で唯ひとり聴力のある少女がシンガーをめざすという物語だが、偽善的なところがなく、全篇心地よく見ることができた。手話もふくめ、せりふのやりとりにユーモアがあり、キャスティングがいい。主役の少女ルアンヌ・エメラも堂々としているし、彼女にミシェル・サルドゥの名曲を歌うことをすすめる音楽教師のエリック・エルモスニーノがクールなエスプリたっぷりで泣かせる。母親役をカリン・ヴィアールが演じ、お洒落な感覚で画面を明るくした。
ノルウェー国立軽量研究所で働く女性科学者が主人公。端正で無駄のない画面で、その日常生活が淡々と描かれはじめるのだが、やがてキログラム原器が壊れるとどうなるかというサスペンスもかかり、小津映画とは違った味わいになる。ケレン味も十分あって、出張先のパリでも、各国のキログラム原器を持った代表たちが雨の中を同じ色のブルーの傘をさして縦一列に歩いていたり、エッフェル塔の塗装をしている偏屈な叔父さんの登場のさせ方など、画面に意図的なユーモアと工夫がある。