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主演俳優に合わせて(?)全員英語を話しているという謎事態だがそれはさておき、宣伝ヴィジュアルを見ると軍隊内での禁断の愛の物語みたいだけど、実はプロットの中間点で主人公は除隊するのであり、映画がよくなるのはむしろここから。画面に変化がつくほか、どこまでリアルかはわからないけどモスクワの演劇学校の場面など興味深い。残念ながら展開は既視感だらけで掘り下げが欲しいが、ラストはそれなり胸を打つ。二人の外見の組合せが「君の名前で僕を呼んで」っぽいのは意図的?
序盤、監督招聘の話を聞いた選手のひとりが「白人の救世主はごめんだ」と言う。実際この映画はその後、「白人の救世主」の話にはならないよう細心の注意を払うだろう。救われるのはサモアの人々ではなく、白人監督のほうなのだ。サモアの自然と文化、サッカー協会会長らと並び、彼の心をとりわけ解きほぐすのが「第三の性」を持つ選手。男女間だけでなく、白人文化と現地文化のあいだも往来して垣根を取り払う。星の数は抑え気味にしてますが、楽しくて愛らしくてとても励まされる映画。
貧困の惨状、そのなかでの(ときに争いながらの)母娘の絆、少女の怒りと成長をリアルに描きながら、現実と地続きの幻想へと唐突に横滑りしては戻ってくる魅惑的な作品世界。監督が映像の力をとことん信じて撮っていること、および、主演の少女が役柄を深く理解しているさまにまず感嘆させられる。しかもこの少女自身もまた役柄と同様、映画の進行と歩を合わせてめきめきと成長しているようなのだ。ニカラグアの自然の景観も、人間たちの運命への無関心を表現しているかのようで圧倒的。
情報ゼロの状態で観始めて、ベタとキッチュが混ざった雰囲気に困惑しつつ観ていたら、監督がリュック・ベッソンだと最後にわかってなぜか納得。異常な成育環境のなかで犬と特殊な関係を結ぶだけでなく、演劇に魅せられたり、異性装の歌姫として人気を博したりしつつ、一貫して神の存在に憑かれている主人公の物語は盛りこみすぎな気もするが、はぐれ者や異常性格の役でいまや地位を確立した感のある(?)C・L・ジョーンズに不思議な魅力がある。あと、わんこ好きは観るといいのかも。
冷戦時代ソ連占領下エストニアの空軍基地を舞台に、2人の青年の秘められた愛を実話に基づいて描いた物語。エストニア出身MV監督で知られるペーテル・レバネが監督しただけに映像は美しく、二人の主演男優は日本のBL(ボーイズ・ラブ)漫画のキャラのように美しい。しかし、それらの環境と美形キャストに酔っているような仕上がりで、シナリオに唸ることも新たな美意識や世界観の提案があるわけでもない。ジェンダー題材の映画はその題材力に寄りかかり過ぎている悪しき実例。
「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ監督による、サモアの世界最弱サッカーチームがW杯予選で起こした奇跡の実話の映画化。設定としては「がんばれ!ベアーズ」と同じ熱血コーチによる弱小チーム成功話だが、南の島ならではの脱力したムードで描く。「ジョジョ〜」でそのギミック力を誇ったワイティティはカメラと編集のアンサンブルで観客を引っ張ろうとするのだが、どうもあざとさとギャグのベタさが鼻につく。スポーツ系ギャグなら「アメトーーク!」運動神経悪い芸人の方が面白い。
中米ニカラグアのゴミ集積場を舞台に、そこに生きる母と娘の物語。二人はその環境から抜け出そうとするが、娘マリアの犯した過ちがより困難な状況を巻き起こす。ニカラグア出身の女性監督による長篇作で、貧困、環境問題、女性の権利、人権など、現在のポリティカル・イシュー満載の作品。ゆえに海外映画祭で高い評価を得ているのだろうが、劇映画としては退屈の極み。内容のポリティカル・コレクトネスを映画作品の出来よりも重視する今の批評の風潮に「怒りの娘」ならぬ「怒りの観客」の気持ちになる。
父親から虐待を受けて犬小屋で育った男がドッグトレーナーとなり、女装してドラァグクィーンとしての活動と訓練された犬を使った盗みを生業とする中で、犯罪組織に目をつけられてしまう。リュック・ベッソンの脚本・監督によるこの犯罪映画は、彼の持つ美学性とバイオレンス性が久々に幸福な結婚をした快作。主演ケイレブ・ランドリー・ジョーンズのブチ切れた怪演も相まって、「ああ、ベッソンが帰ってきた」と嬉しくなる。ただ、悪役があまりに弱く、それほどハラハラしないのが玉にキズ。
美青年二人の視線の交わりと繊細な戯れに陶然とし続ける100分だった。何度か出てくる性的なシーンでの、炎を連想させるオレンジと青の使い分けが印象的。海でのキスシーン後、二台の戦闘機が高速で飛行するショットは二人の関係と行く末を暗示するようで心がざわついた。男二人に翻弄されるルイーザの思い違いから絶望までを丁寧に描いているのも良い。本作のヒットで、エストニアでは同性婚が承認されることになったという。ストレートで誠実な映画がもたらす力に勇気づけられる。
米領サモアの最弱サッカーチームの実話で爽快な逆転劇。新コーチ役、ファスベンダーのシリアスな佇まいとチームメンバーのおおらかな芝居にギャップがあり、名優ファスベンダーが浮いていて演出の狙いだとしても違和感。ジョークの数々や初めと終わりにカメオ出演する監督のコメディアンぶりに、笑いを強要されているような感覚に陥ってしまった。勝ち負けよりも大切なのは楽しむことという天真爛漫なテーマをそのまま体現した作風に、軽快さと軽薄さを行き来する危うさも感じた。
冒頭、カラスが飛び交い、子供たちがたむろする広大なゴミ捨て場の引きのショットからして力強い。母親を探し求めるマリアの旅をドキュメンタリーの如くカメラは追い、芝居もカメラワークもリアリズムに徹している。母親との再会で突如マジックリアリズム的世界観が立ち現れるところでは、ラテンアメリカの監督らしい表現だなと胸が高なった。画力に頼りすぎな感はあるものの、少女の怒り、悲しみ、諦念がニカラグアへの監督の想いと重なるようで、強かな意志を感じる貴重な映像詩。
黒人の精神科医が聞き手となり、10数匹もの犬と生活するダグラスの半生を辿る。犬小屋に数年間閉じ込められ、下半身不随となった虐待サバイバーであるダグラスの生い立ちがあまりに壮絶。後半、犬を使って犯罪に手を染めるナンセンスな飛躍に戸惑いつつも、賢い犬たちを愛でながらの鑑賞は私のような愛犬家にはたまらない。犬やドラァグクイーンなど、出てくるモチーフすべてがビジュアル先行に思えて、深みを感じられず。気怠く熱演するケイレブの色気が作品に重厚感を与えている。