ヒポクラテスたち

ひぽくらてすたち|Disciples of Hippocrates|----

ヒポクラテスたち

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レビューの数

26

平均評点

75.7(197人)

観たひと

291

観たいひと

24

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1980
公開年月日 1980/11/22
上映時間 126分
製作会社 シネマハウト ATG
配給 ATG
レイティング
カラー スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督大森一樹 
脚本大森一樹 
企画多賀祥介 
製作佐々木史朗 
プロデューサー佐々木啓 
撮影堀田泰寛 
美術大谷和正 
音楽千野秀一 
録音尾形龍平 
照明佐藤譲 
編集吉田栄子 
助監督大上典保 
スチール金子哲也 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演古尾谷雅人 萩野愛作
光田昌弘 河本一郎
西塚肇 王龍明
柄本明 加藤建ニ
狩場勉 大島修
伊藤蘭 木村みどり
小倉一郎 西村英二郎
阿藤海 神崎
内藤剛志 南田
金子吉延 渡辺
斉藤洋介 本田
加納省吾 高本
宮崎雄吾 野口英雄
真喜志きさ子 中原順子
池内琢麿 中原剛
牟田悌三 中原虎一
岩浅豊明 産婦人科教授
手塚治虫 小児科教授
自切俳人 放射線科講師
草薙幸二郎 内科教授
高山千草 産婦人科婦長
軒上泊 村中助手
原田芳雄 外科・徳松助教授
村上正次 吉川
角替和枝 妻・尚子
絵沢萠子 加茂野家のおかみ
渡辺文雄 河本清三郎
鈴木清順 泥棒

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

京都府立医大を卒業した大森一樹監督が自らの体験をもとに、大学病院での臨床実習を通して、医術を身につけていく若者たちの青春群像を描く。脚本・監督は「オレンジロード急行」の大森一樹、撮影は「日本の悪霊」の堀田泰寛がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

京都・洛北医科大学。医学生の最終学年は臨床実習(ポリ・クリ)にあてられ、六~七人に分けられたグループが、内科、外科、小児科など、十七の科を一周間ごとのローテーションで廻っていく。愛作たちのグループもその一つだ。グループには、定期試験に出た「避妊法」は完璧に答えたくせに恋人の順子を妊娠させてしまった荻野愛作(二十六歳)、医者になることに不安を抱く木村みどり(二十四歳)、プレイボーイの河本一郎(二十五歳)、野球の大好きなワンちゃんこと王龍明(二十四歳)、脱サラの加藤建ニ(三十一歳)、ガリ勉の大島修(二十三歳)などがいる。ポリ・クリは、新しい発見と失敗の連続。みどりは皮膚科でインキンの若者に逃げられ、大島はガンの診断が当って、喜びの声をあげてしまったり、河本は分娩介助で人形の赤ん坊の片腕をひっこぬいてしまったりだ。愛作の住む学生寮では、連日寮会議が開かれていた。新入生の野口、左翼運動家の南田、寮長の渡辺らが寮運営から現代医学の問題点をディスカッションしているのだ。新入生の野口はやがて南田とともに運動の渦中に入っていく。愛作も、昔は南田とともにビラを撒いたこともあるのだが、今では関心も薄らいでいる。愛作が順子を堕胎医に連れていった。彼女の妊娠がはっきりしてから二人の仲はしっくりしていない。そして、順子に手術を受けさせた頃から、人の生死を扱う職業に就くことへの愛作の危惧は高まっていく。それ以来、愛作は順子の身を案じながらもしばらく彼女の家を訪れていない。ある日、順子から愛作に電話が入った。出血が止まらないらしい。愛作は河本のスポーツカーで、順子を河本の父親の病院ヘ入院させた。愛作の自信のない態度に河本は「近頃、こう見えても俺、自分が医者になりたいと思うことが月に4回はある」と話す。「俺はその逆が、月に4回はある」と答える愛作。入院後も容態の良くならない順子は郷里に帰っていく。迎えに来た順子の父親は、苦言どころか優しい言葉を愛作にかける。愛作は自分のふがいなさに気の滅入る思いだ。その頃、野口は活動中に警察に逮捕された。愛作は心の重さから逃れるかのように、医師国家試験の勉強に没頭するのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1981年1月上旬号

日本映画批評:ヒポクラテスたち

1980年11月上旬号

グラビア:ヒポクラテスたち

「ヒポクラテスたち」小特集:1 対談 大森一樹VS川本三郎 見る側のつらさを描いた青春映画

「ヒポクラテスたち」小特集:2 大森一樹の主観と客観の快い葛藤が見られる映画

日本映画紹介:ヒポクラテスたち

1980年8月下旬号

撮影快調・完了特集:ヒポクラテスたち

2024/08/26

2024/08/26

83点

テレビ/有料放送/WOWOW 

医者と言えば、裕福で特権階級という刷り込みが自分の中にもある。当作品は、大森一樹監督自身の医大生としての経験を基にして書いた、というだけあって、実際の医大生たちの多様な性格・思想・家庭環境などが描かれていて、す~っと腹落ちしてくる。演出も、派手な仕掛け(音響・スローモーションや早回し等)をせず陶酔状態に陥ることが無い分、何か自分の頭と心で感じさせる配慮がうかがえた。
私の中で妙に印象に残ったのが、内藤剛志が演じる南田。安保闘争時代の学生運動の影響が抜けきれない学生役。バブルを謳歌しようという時代に、いまだ居たんだなぁ、ああいう奴も、そう言えば、自分の大学生時代と丁度年代が重なるなぁ、あの古っぽい画質や光、殴る時のワザとらしい効果音など、現代の鮮麗された映画とは全く異なる世界に、妙に誘われていった。今の若い世代は、この作品をどう見るのだろうか?ぜひ、感想を聞きたい。
成長や人生のステージの変わり目で、よく「xxブルー」(例えば、マレッジ・ブルー)という言葉を使うが、当作品は、医者ブルー、いや、医大卒業ブルー、と言うべきか。この時期を経て、みな、医者という職業人間になっていくんだなぁ、と腹落ち。精神面で悩む人や悩む前にそもそも明確な進路を抱けていない人、他の職業になりたかったもの(野球選手とか)、既に子沢山の人、医大受験の為に真面目に勉強してきたけど、、、等々、こうやってレビューを書き出すと、色んな登場人物の顔が浮かんでくる。そんな中、古尾谷雅人は主役を張っていた。医大卒業ブルーを体現していたし、医者の良し・悪しを目の当たりにして精神面も崩壊しつつあった。特殊な演出と言えば、彼の夢の描写がそうだったかもしれない。彼の中には、恋人を自分の医大以外で中絶させた事がずっと心にひっかっていた。南田との関係もそうだ、最初は学生運動に影響を受けていたが、決別した。皆からは慕われていたが、彼のバランス感覚、言いかえれば中庸さ、またまた言い換えれば、誰でも無い、という感じがモラトリアム時期の象徴のなのかも。でも、そういう時期って、あると思う、特に現代の様な社会には、スローなモラトリアムが、むしろ肯定されるべきと感じたりもした。

作品全体として鮮烈さは感じられなかったが、その分、地に足ついた正直さ、とでも言うものが私にはグッと心の中に残った。

備忘メモ:
ラストの方で、古尾谷雅人が精神病院に入り、そこで同じ寮仲間だった小倉一郎が主治医だったのが良かった(彼がプライドを捨てて、仲間の治療を受け入れたんだなぁ、と思った)。そして、キャッチボール中に、医大生と先生たちにボールを投げつける悪戯シーンには驚いた。

2024/07/22

2024/07/22

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


医者の卵たちの青春群像劇

公開当時、いちばん注目を浴びた点は元キャンディーズのランちゃんが女優として出演していることだったように思う。当時観ることはなかったけれども、40年以上経ってはじめて鑑賞。まあ、ものすごく面白い映画というわけではなかったけど、出ている人たちが当然ながらみんな若くて、懐かしく観た。古尾谷雅人はこれが代表作って言っていいのだろうな。わりと好きな役者だったけど、どうして自殺してしまったのかなあ。肝心のランちゃんは、映画の最後でえええ?と思うような結末になっていて、いささか唐突な感じがした。うーん。

2024/07/06

2024/07/06

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 


また観た

大森一樹監督ならではの医学生の青春群像。出演者がみんな若くて懐かしい顔ぶれも。当時の京都の街並みも懐かしい。

2024/06/25

2024/06/25

75点

テレビ/有料放送/WOWOW 


大森一樹監督の商業映画第2作目

城戸賞を獲った「オレンジロード急行」('78)で商業映画デビューした大森一樹監督の第2作目。随所に張られている映画ポスター(気狂いピエロ、赤ひげ(“ひ”に×して“は”げ))による映画愛と、大森監督がこの映画で医学を卒業して映画に進む決意を感じた。手塚治虫、鈴木清順、軒上泊、原田芳雄など豪華な特別出演、手塚の「ブラックジャック」を使ったシーンなど、実にのびやかに映画を作っており、自主製作のベテランとは言え、商業映画監督2作目とは思えないほどうまい。「恋は恋でも“”セコイ」とか「外見(そとみ)は恋でも中味は薄い」というダジャレもうまい。古尾谷雅人は、何故自殺しなければならなかったのか、本当に残念なことをした。【WOWOW:ATG映画傑作選】

2023/07/25

79点

選択しない 


医大生たちのほろ苦い青春グラフティ

医大生だった大盛り一樹監督だからこそ作り得た医大生たちの青春グラフティ。古尾谷雅人らが骨折した人を前に白衣を隠して逃げるように去る冒頭からリアルでユーモアもありつつ、かなりほろ苦い展開が待っている。彼女を堕胎させた古尾谷雅人が次第に病んでいく姿が痛々しい。伊藤蘭の役どころも生真面目ゆえ悲劇的な結末を迎える。その様な訳で陰鬱なのだが、瑞々しいタッチなので全体的には悪い印象はない。尚、公開時、この作品で初めて柄本明を知り、その独特な個性に魅了されたものです。

2023/01/24

2023/01/24

65点

映画館/東京都/新文芸坐 


今の時代だと受ける印象は違う?

はじめて観た作品だが、インディーズっぽい映画だった。出演者たちは今では豪華な顔ぶれだが、当時は才能のある若手というところだろうか。
古尾谷雅人なんかは当時から主役級だったかな。

医学生たちが研修や私生活での出来事を重ねながら、悩みそして悔やむ様はいつの時代もその時代なりにあるんだろうな、と自分の学生時代(医学生ではなかったが)をぼんやり振り返っていた。

ただ、それでも多くは医師になりました、ていうだけで、何か物足りなかったなぁ。

観る時代が違えば、私の印象も変わっただろうか。