"Hasta la vista, Baby"
午前十時の映画祭15にて鑑賞。
1984年のサラ・コナー抹殺計画は阻止され、後の人類抵抗軍指導者ジョン・コナーが誕生する。サラ(演:リンダ・ハミルトン)はウェイトレスを辞め、来たる核戦争に備え南米各地でサバイバル術を身に付ける。
しかしそれから約10年後、サラによって語られる未来の世界の話は周囲に理解されず、サラは精神病棟に収容され、ジョン(演:エドワード・ファーロング)は養父母と暮らしていた。そんな中再び2029年の世界から最新型ターミネーターT-1000(演:ロバート・パトリック)と、'84年の世界に続いてT-800(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)がタイムスリップする。T-1000は機械軍の指示に基づきジョン・コナー少年を抹殺しようと試みる。一方でT-800は意外な目的でジョンに接近しようとしていた。
所謂"ターミネーター"はこっち。前作の低予算ぶりから一転し、当時の最高額である1億200万USDが製作費としてかけられたが、前作以上の大ヒットによって余裕で回収に成功した。言うまでもないが、"溶鉱炉ミーム"の元ネタである。
前作以上に面白かった。細かいことを言えば、前作でカイルが「タイムマシンは自分が派遣された後破壊された」と話しているので、T-1000にしろT-800にしろどうやって来たんだ?と疑問は残るがこまけえこたぁいいんだよ(それにカイルは破壊されるところを見ていないという苦し紛れの言い訳もできるっちゃできる)。そして引き続き全体的には脚本の構成が巧い。
シュワ映画の中でも特に「面白かった」の一言以外余計なコメントはいらないのが本作なので、個人的に感じたことをつらつらと。
可哀想だなと感じてしまった人物が1人いて、それはサイバーダイン社の開発部長ダイソン(演:ジョー・モートン)である。少なくともここまでのテーマは"未来に起こる事態を過去にタイムスリップして未然に防ぐ"ことなのだが、もしダイソンの開発が人類にとっての厄災ならば、サラやジョンの存在もまた「機械にとっては」厄災なのである。未来改変が阻止されてまた一方では未来改変が成功してしまうのは実に人類のご都合主義な気がしてならなかった。劇中サラが回想しているように、物語の中で最も人間臭いのは実はT-800なのではないかということを、ダイソンを通じてサラが証明してしまっている。未来を変えるだけの知能を有してしまったがために災難に巻き込まれたダイソンとその家族には同情を禁じ得なかった(一応彼にも隠し事はあるにせよ)。
コマンドー(1985)よろしく、こちらでも滅茶苦茶なパワープレイによって話を進めるシュワちゃんは、日常考えにくい状況の中で「アメリカ人が憧れる父親像」を見せているような気がしてならない。しかしアメリカは強くなり過ぎた。現代のアメリカ人に泣く気持ちは理解し得るのか?そんなことを考えた。