リドリー・スコットはとんでもない作品を作ってしまったと思う。
ネタバレ
ブレードランナー ファイナルカット 4K版
4Kで放送されるということで、飛びつくように見てみた。今さらながら、その後のSF映画を全く別のものに変えたサイバーな世界観は素晴らしいのだけれど、現在のCG全盛のVFX表現とは異なるミニチュアワークを活用した質感の凄さに圧倒された。1982年作ということで40年以上前にこれだけのものを作り上げていたのだ。ダグラス・トランブル恐るべし。加えて、美術、特に色彩の重厚さ。ティレル社において、デッカードとレイチェルが出会うシーンは、まるでダ・ビンチの「最後の晩餐」の構図を思い浮かべていた。それもこれも、今回の高画質で再確認できたものと思う。
また、今回もルトガー・ハウアーの魅力は群を抜いていて、映画史上に残る美しさと言っても過言ではない。今回のファイナルカットのエンディングは、2人の逃避行における美しい自然のシーンがカットされている。これについては、当初版は救いがなく興行的な不安な面があり、公開に際し付け加えたもので、リドリー・スコットの意志により、元に戻したらしい。でも、僕としては、デッカードがひょっとして自分もレプリカントではないかとの疑いを持ちながら、レイチェルと悲しい道行に出る痛切な幻想ということで、特にハッピーなエンディングとは思っていなかったので、今回版はあまりに唐突なエンディングである気がしている。この作品、見直すとまだまだ発見があり、時期を見て、再び見直したいと思っている。