回路
今や日本映画界注目の存在になっている黒沢清の2001年の作品。当時、黒沢清はホラー映画を連作しており、本作品もジャンル的には当てはまる。当時は、今ほどではないものの、広がりつつあるインターネットを題材にしたもので、序盤の展開は、ネット世界と幽霊を合体させたもので、次々と身近な人間がおかしくなり、やがて消えていくもので、ホラーとしてのアイデアは悪くない。ただし、本来、ホラー映画の恐怖とはいかに身近なものかがキーポイントになると思う。その意味で、終盤のディストピア世界へ広がってしまう結末は、衝撃どころかあきれてしまった。このシナリオで製作会社(大映)がよくゴーサインを出したものだ。もう訳がわからない。これが海外でリメイクされ、続編が作られていることに驚愕する。おそらくは、インターネットという新しいネタに着目しただけではないのか。ホラー作家として、独特の世界観を作り出す手腕は認めるものの、脚本も書いているこの当時の黒沢清を認めることはできない。現在、少しは青っぽさが抜けたようでよかったと思う。この作品、ただただ、若いハツラツとした麻生久美子や超セクシーな小雪が見れただけが収穫である。