アンダーグラウンド(1995)

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アンダーグラウンド(1995)

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レビューの数

111

平均評点

82.4(532人)

観たひと

805

観たいひと

196

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1995
公開年月日 1996/4/20
上映時間 171分
製作会社 仏*CIBY2000=独*パンドラ・フィルム=ハンガリー*ノヴォ・フィルム作品
配給 エース ピクチャーズ
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ問題など、旧ユーゴスラヴィアの混乱の戦後50年の歴史を綴る映像絵巻。監督は「パパは出張中!」「ジプシーのとき」「アリゾナ・ドリーム」のエミール・クストリッツァ。エグゼクティヴ・プロデューサーはピエール・スペングラー。旧ユーゴ出身の劇作家デュシャン・コバチェヴィチの戯曲を基に、彼とクストリッツァが脚本を執筆。撮影のヴィルコ・フィラチ、音楽のゴラン・ブレゴヴィチ、「デリカテッセン」を手がけた美術のミリェン・クチャコヴィチ“クレカ”は、「ジプシーのとき」以来の常連スタッフ。中でも音楽は、民族音楽をアレンジしたサウンドが印象的で、また第二次大戦中のドイツで圧倒的な人気を集め、連合軍側でもヒットした『リリー・マルレーン』が挿入曲として使われて実に皮肉な効果を出している。出演は、ピーター・ブルックの劇団などで活躍する国際的な名優で、「マハーバーラタ」映画版(NHK教育テレビで放映、LD発売)にも出演した「パパは出張中!」のミキ・マノイロヴィチをはじめ、旧ユーゴ映画・演劇を代表する俳優たち。95年カンヌ国際映画祭で賛否両論を集め、やはり旧ユーゴ問題を背景にしたテオ・アンゲロプロスの「ユリシーズの瞳」を抑えてグランプリ(パルム・ドール)を受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第3位。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1941年、セルビアは首都ベオグラード。ナチス・ドイツがユーゴ王国を侵略。策略家のマルコ(ミキ・マノイロヴィチ)は単純な電気工のブラッキー通称“クロ”(ラザル・リフトフスキー)を誘い、チトーの共産パルチザンに参加、ロビン・フッドまがいの活躍で義賊と評判になる。マルコは弟で動物園の飼育係だったイヴァン(スラヴコ・スティマッチ)やクロの妻ヴェラ(ミリャナ・カラノヴィチ)たち避難民を、自分の祖父の屋敷の地下室にかくまう。まもなくヴェラはクロの息子を産んで死ぬ。クロは戦前から女優のナタリア(ミリャナ・ヤコヴィチ)と不倫の仲だが、彼女は独軍将校フランツ(エルンスト・ストッツナー)の愛人になった。クロは公演中のナタリアをフランツの面前でさらい、結婚式を挙げる。独軍はクロを逮捕、激しい拷問を行う。クロはマルコらに救出されたが、誤って万が一の自決用に渡された手榴弾を暴発させて瀕死の重傷を負い、地下室に匿われた。45年、終戦。チトーを中心に共産主義のユーゴスラヴィア連邦が成立。<第二部 冷戦>61年。マルコはチトー政権の重鎮、ナタリアは彼の妻になっていた。クロはマルコによってパルチザンの英雄として死んだことにされていた。マルコは地下の人々を騙し、未だ独軍の占領下だと思わせて、武器を製造させ、外貨稼ぎのため外国に密売していたのだ。クロの息子ヨヴァン(スルジャン・トドロヴィチ)の結婚式の日、密造戦車に乗ったイヴァンの親友のチンパンジーが誤って砲撃を始め、地下は大混乱。その隙に外に出たクロとヨヴァンは何とクロ自身の映画の撮影現場に遭遇。事態が把握できないクロはフランツ役の俳優を射殺。混乱の中、ヨヴァンは井戸に落ちた花嫁を追ってドナウ河へ向かうが溺れて、川底で花嫁と再会。マルコは陰謀の崩壊を悟り、両足を打ち抜いて偽装自殺をし、邸宅を地下室ごと爆破、欧州全土の地下を走る秘密高速道路に逃げ込んだ。<第三部 戦争>マルコの失踪でチトー政権は急速に人望を失い、30年後にユーゴスラヴィアは崩壊した。92年、あの混乱で見失った親友の猿を探すうちに地下道路に迷い込んだイヴァンは、ベルリンの精神病院で兄マルコが悪名高い武器商人だと知らされる。故国に帰還するもユーゴスラヴィアの国はすでになく、そこは激しい内戦の大地と化していた。イヴァンはマルコが将校に武器を売っている所に出くわし、全ての罪の償いとして杖で兄を殴り倒すと、自らも教会で首を吊る。瀕死のマルコの元にナタリアが駆けつけるが、二人とも兵士に焼き殺される。無線で殺害の命令を下したのは、今でも息子を探しつづけながら“ファシストの糞野郎ども”と闘うクロだった。クロはかつての地下室を訪れ、井戸の中にヨヴァンの姿を見る。次の瞬間、彼は水の中で最愛の息子に再会していた。__楽園のような川辺で、ヨヴァンの結婚式が楽しそうに行われている。イヴァンがカメラに向かい「苦痛と悲しみと喜びなしには、子供たちにこう語りかけられない。昔、あるところに国があった」と語りかける。音楽がいつまでも楽しそうに鳴り響く中、宴の席はやがて大地を離れ、ドナウ河を漂っていく。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年9月下旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第5弾 1990年代外国映画ベスト・テン:ベスト15 解説

2011年10月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「アンダーグラウンド デジタルリマスター版」

2001年5月下旬号

新作紹介:アンダーグラウンド・アーカイブス1958-1976

1996年5月下旬特別号

外国映画紹介:アンダーグラウンド

1996年4月下旬号

特集 アンダーグラウンド:作品評

特集 アンダーグラウンド:エミール・クストリッツァ監督インタビュー

COMING SOON【新作紹介】:アンダーグラウンド

1993年9月下旬号

グラビア《New Release》(新作映画紹介):アンダー・グラウンド

2024/12/30

2024/12/31

76点

VOD/U-NEXT 
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かつてユーゴスラビアという国があった

 公開時に観ているが、うるさい映画という印象しかなかった。多分途中寝てしまっていたのかも。
 若い人達はユーゴスラビアという国があったことを知っているだろうか。私にとっては今のバルカン半島の小さな国々の多くは、つい最近までユーゴスラビアという国であった。チトー大統領が統治し、旧ソ連圏とは一線を画して独自の社会主義国として成立していた。チトー亡き後、ユーゴ紛争が起きて分裂して小さな国々が独立していった。今の時代にしかもヨーロッパの地で内戦が起きるなんて。信じられなかった。しかもそれまで仲良くしていた隣人同士で殺し合うなんて。サラエボは冬季オリンピックが開かれた街で、そこで市街戦が行われて、街が瓦礫の山になるなんて衝撃だった。
 ユーゴという国が第2次大戦でドイツと戦い、独立を勝ち取り、そして国が分裂していく様をその時代、時代の映像を差し込みながらみせてくれた。チトーの葬儀のフィルムでは当時の各国の首脳達の映像が流れて、懐かしい顔がたくさんあった。特にブレジネフが映っていたのは珍しかった。チトーの時代も後半は停滞の時代だったんだね。ユーゴ紛争が始まったのはウェキ先生に教えてもらうと、1991年から、で、この映画は1995年の映画。紛争が始まって2,3年で映画を作り始めているんだ。クストリッツァも、当たり前だけど、隣人同士の殺し合いに切羽詰まってこの映画を作ったんだろう。ラストは皆仲良くというメッセージと、でも、もう無理だよ、という諦めで終わっている。改めてユーゴの悲劇に哀悼を表したい。
 クストリッツァは合成が下手(「オン・ザ・ミルキー・ロード」でもいかにも合成なのが判った)で貼り合わせたのがすぐ判る。映画の撮り方も粗いが、そのエネルギーはよく感じる。
 クストリッツァの映画、他に何か観ているか調べたら、劇場で「ジプシーのとき」と「アリゾナ・ドリーム」を見ていた。「ジプシーのとき」はクストリッツァらしいが、「アリゾナ・ドリーム」がクストリッツァとは思わなかった。

2024/12/20

2024/12/20

50点

VOD/YouTube 
字幕


二年前に見ていたことをうっすらと思い出しながら見た。映画ならではの不思議な魔力はわかるが趣味じゃない。幼い息子に傷ついた父親を見せようとするシーン。本気で泣きじゃくる子供・・・ここでもう辛い。登場人物たちが集まって騒ぐ結婚式のラストシーン。彼らの宴の陸地が切り離され流されていくシーンは印象的だが・・・。それでもやはり好きにはなれない。

2024/12/06

2024/12/06

-点

テレビ/有料放送/シネフィルWOWOW 
字幕


途中離脱(記録のために登録)。

2024/06/10

2024/06/10

77点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 
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メタファー

アンダーグラウンドやら何やら、色んなものが色んなメタファーになっているので、戦争に関してのことなら少しは分かるのですが、ユーゴスラビアの歴史に疎い私には、何がなんだかよく分からない内容でした。
地下室で外の世界を知らない人たちも、メタファーとしては理解できるのですが、そうする理由も実際問題できるのかどうかを含めて、どこか詩のようにぼかしていたり、ふざけているような笑いにしているところが自分には苦手でした。
もちろん、それが素晴らしい効果を生み出していたり、戦争の深みを出すことにも成功しているとは思うのですが、長所でもあり短所でもある演出になっていたのかなと感じます。

2024/05/18

2024/05/18

95点

映画館/東京都/新文芸坐 
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記録映像がキレイな4K版

半年ぶりの映画館鑑賞。前回に続いて今回も4K版。この映画で観る4K版は綺麗なんだよなぁ。夜のシーンも出演者の表情がよく分かる。
特に本編の中に時々刺し込まれる史実の記録映像(実際にはマルコやナタリアも映っている画像も散見されているので合成映像も多数あるのだが…)はクリアで、戦争の悲惨さ、残酷さがこれまで以上に印象的。

改めて観ると私はマルコが好きなんだなぁ。戦後政治の中核を立場を担ってしまった感があるが、ナタリアを妻にするために意図せず険しい生き方を選んでしまったんだろう。ナタリアとある意味同じ。
彼の冷静ながらも自らを奮い立たせて、狂気でハイテンションな世界に自分から入っていく感じがとにかく好きです。

それにしても、この映画ではチトーが亡くなった際の葬儀の参列者の記録映像も映し出されるが、いい歳をして半分くらいしか主要人物を把握出来なかった(その事実にも今回はじめて気づいた)。
時代的には小学生の頃だとは思うが、無知のまま大人になってしまったんだなぁ、と少し反省かな。

2024/01/04

2024/01/21

65点

映画館/群馬県/シネマテーク高崎 
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思惑がズレていく先に…

最初は避難の為であり
抵抗運動の為だったものが
私利私欲が絡んで
事実を伏せて生活させるようになる。

この様子は東側諸国の成立過程と継続過程の在り様に似ている。
レーニンは理想を掲げたが
スターリンが私欲に走り、歴代の為政者がそれを継続させた。
態勢に反発するような発言は取り締まり
鉄のカーテンをもって西側諸国の情報流入をストップさせ
比較対象になる国家が経済発展している事を知らせなかった。

隠し続けてもいつかはバレるし
バレた時にはその憎悪を一身に受け止める事になる。
時代が遥か先に行き過ぎている事を知らず
それに乗り遅れている事で、返ってノスタルジックに立ち戻り
あの時代は良かったとか思ってしまう事も
時代にフタをした者たちの責任だろう。

その悲喜こもごもを少し面白く、少し切なく味付けした感じかな。
全てのしがらみから解放されていたら
みんな自由で笑い合えるのに…