ロマンポルノ時代の日活ですが、並行して青春映画もいくつか製作されていた中での一つかと思います。藤田敏八監督の一連の作品もありました。神代辰巳監督は、数々のロマンポルノの名作を残したあとの一般映画という形ですが、ロマンポルノ的な感じも若干入っているように感じます。大正時代の設定やずっと鼻歌が流れるアンニュイな感じから、「四畳半…」のような雰囲気も感じました。ただしこの映画は、映像がよく揺れるので少々苦手です。
大正期のアナキスト集団を主人公にした青春映画。最近では菊とギロチンとかありましたが、時々見かけるテーマです。諸外国との戦争を繰り返す時代に疾走する若者集団ですが、その中での国彦としのの恋愛劇や仲間たちとの絆がテーマ。当時の雰囲気をいろいろな方向から際立たせた作品で、社会的側面は薄く、あくまで青春群像劇と思います。前半はアンニュイな雰囲気が勝っていますが、途中から「明日に向って撃て!」になっていきます。ニューシネマです。その部分はなかなか痛快です。
高橋洋子さんは可愛らしい雰囲気でした。ロマンポルノで見る女優さんも何人か登場します。芹明香さんとか、丘奈保美さんとか。丘奈保美さんは後年の新東宝のピンク映画の印象も強いのですが、この時期神代辰巳監督の作品にもよく登場しているようです。東映→日活→新東宝って王道を行っているような…。一般作品でも時々活躍されています。男性陣では夏八木勲がキリっとして良かったと思いました。