青春の蹉跌

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青春の蹉跌

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レビューの数

47

平均評点

75.6(217人)

観たひと

296

観たいひと

32

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 青春 / ドラマ
製作国 日本
製作年 1974
公開年月日 1974/6/29
上映時間 85分
製作会社 東京映画=渡辺企画
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督神代辰巳 
脚本長谷川和彦 
原作石川達三 
製作田中収 
撮影姫田真佐久 
美術育野重一 
音楽井上尭之 
録音原島俊男 
照明金子光男 
編集山地早智子 
助監督瀬川淑 
スチル中尾孝 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演萩原健一 江藤賢一郎
桃井かおり 大橋登美子
檀ふみ 田中康子
河原崎建三 三宅浩一
赤座美代子 北条今日子
荒木道子 賢一郎の母悦子
高橋昌也 田中栄介
上月左知子 田中君子
森本レオ 小野精二郎
泉晶子 小野孝子
くま由真 大橋幸吉
中島葵 大橋兼子
渥美國泰 安部教授
北浦昭義 フットボール部監督
山口哲也 刑事
加藤和夫 刑事
下川辰平 部長刑事
久米明 産婦人科医
歌川千恵 産婦人科看護婦
中島久之 山本
芹明香 シンナーの少女
堀川直義 試験老人
守田比呂也 試験若者

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

野望を持って社会に挑戦した青年の、情熱、孤独感、焦燥、そして破滅に至るまでの生きるための闘いを描く。脚本は「濡れた荒野を走れ」の長谷川和彦、監督は「鍵(1974)」の神代辰巳、撮影も同作の姫由真左久がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

A大学法学部に通う江藤賢一郎は、学生運動をキッパリと止め、アメリカン・フットボールの選手として活躍する一方、伯父・田中栄介の援助をうけてはいるが、大橋登美子の家庭教師をしながら小遣い銭を作っていた。やがて、賢一郎はフットボール部を退部、司法試験に専念した。登美子が短大に合格、合格祝いにと賢一郎をスキーに誘った。ゲレンデに着いた二人、まるで滑れない賢一郎を背負い滑っていく登美子。その夜、燃え上がるいろりの炎に映えて、不器用で性急な二人の抱擁が続いた。賢一郎は母の悦子と共に成城の伯父の家に招待された。晩餐の席、娘・康子と久しぶりに話をする賢一郎。第一次司法試験にパスした賢一郎が登美子とともに歩行者天国を散歩中、数人のヒッピーにからまれている康子を救出したことから、二人は急速に接近していった。第二次試験も難なくパスした賢一郎は、登美子との約束を無視して、康子とデートをした。やがて第三次試験も合格。合格すること、それは社会的地位を固めることであり、康子との結婚は野心の完成であった。相変らず登美子との情事が続いたある日、賢一郎は康子との婚約を告げたが、登美子は驚かず、逆に妊娠五ヵ月だと知らせた。あせる賢一郎は、登美子を産婦人科に連れて行き堕胎させようとするが医者に断わられる。不利な状況から脱出しようとする賢一郎だが、解決する術もなく二人で思い出のスキー場へやって来た。雪の中、懸命に燃えようとする二人の虚しい行為。一緒に心中しよう、と登美子が言う。雪の上を滑りながら賢一郎は登美子の首を締めていた。登美子の屍体を埋めた斜面に雨が降る……。賢一郎と康子の内祝言の宴席。賢一郎は拍手の中、伯父や康子を大事にしていく、と自分の人生感を語るのだった。賢一郎は再びフットボールの試合に出た。野性に帰った動物のように駈け廻った。その時、二人の刑事がグラウンドに近づいた。賢一郎は何処へも逃げることができず、ボールを追って走った。タックルを受けて地面に叩きつけられる。その上に何人ものタックラーが重なった。ボールを抱えたまま、動かない賢一郎……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年8月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第2弾 1970年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 日本映画ベスト・テン:サンダカン八番娼館 望郷/砂の器/華麗なる一族/青春の蹉跌/竜馬暗殺/わが道/仁義なき戦い頂上作戦/襤褸の旗/赤ちょうちん/妹

特別グラビア 読者のベスト・テン 日本映画:砂の器/サンダカン八番娼館望郷/青春の蹉跌/津軽じょんがら節/竜馬暗殺/仁義なき戦い頂上作戦/赤ちょうちん/妹/男はつらいよ・寅次郎恋やつれ/日本沈没

1974年8月上旬号

映画批評:青春の蹉跌

映画批評:青春の蹉跌

日本映画紹介:青春の蹉跌

1974年7月上旬号

グラビア:神代の「青春の蹉跌」

2024/04/15

2024/04/15

89点

選択しない 


エンヤトット

高校生の時、ナガサキの映画館で観ました。
タイトルバックで、井上尭之さんの曲にのせてローラースケートで滑るショーケンが、折りたたみ椅子をうまく立てられない場面は、50年たった今もこころに残っています。

東宝の若大将のような、あこがれの東京での大学生活、おしゃれなアメリカンフットボールをやっている主人公は、畳張りの4畳半の生活...いなかの高校生には、揺さぶられるモノがありました。
長谷川和彦さんの脚本は、石川達三さんの小説から殺人事件の動機だけ取り出して、持たざる若者の成功への焦りと挫折を鮮やかに描いています。

もっとも17歳の私は、桃井かおりのおっぱいに圧倒され、檀ふみのスクール水着も...
ついでに、ラグビーで首の骨折した同じ市内の高校生がその年いたのも思い出します。

2022/09/02

2022/09/03

88点

映画館/東京都/神保町シアター 


昭和の香り

ショーケン、ファッション何着ても似合ってしまう。彼自身がファッションだった。

セリフも彼独特。

時代感が抜群に出ている友人の下宿。

浮いているのは檀ふみくらい。

2021/05/04

2021/08/03

70点

購入/DVD 


時代の雰囲気を見事に映し出す

ネタバレ

学生運動に見切りをつけ、恋人を捨てた学生が、世間的な成功の目前に破滅を迎える。
学生の行動は野心の実現へ向けて一直線というような剛速球ではない。むしろ、学生の心は時にふらつき、時に焦り、時に刹那的だ。
家庭教師のアルバイトで行った女子学生の誘いに乗って関係を持ち恋人としてつきあいながら、富豪の伯父から生活費の援助を受け、その娘との婚約を承諾する。恋人が妊娠し、堕胎はもはや手遅れとなったとき、悲劇が起こる。
野望を抱いた貧しい青年が成功を求めるというのは「太陽がいっぱい」と同じだ。そのために手を汚すのも同じ。しかし、「太陽~」のほうの青年は確信を持って物事を遂行していくが、本作品の学生は違う。
恋人ができたのは相手の誘いに乗ったから。富豪の伯父の娘との婚約の申し出を受けるのは、司法試験に通っても私大卒では先が見えていると伯父に諭されたから。学生は流されるままに生きているかのようだ。
それは国の違いか、時代の違いか。
ただ、僕が思うのは本作品が当時の空気を見事に切り取っているということだけだ。
1974年の作品。学生を演じたショーケン、恋人の桃井かおり、富豪の娘の檀ふみ。当時チュー坊だった僕にとってテレビやラジオで身近な存在だった俳優が懐かしい。(この配役で本作品の雰囲気が分かる人、僕と同じ世代です。)
学生運動が終焉(しゅうえん)を迎え、内ゲバという内部抗争がニュースでよく報じられていた頃、シラケという言葉が流行(はや)った頃、フォークソング「神田川」が圧倒的な支持を受けていた頃(本作品にはこの曲は出てきません。あくまでも僕の記憶です)。
そういう時代の雰囲気を本作品は見事に映し出している。

2021/06/07

2021/06/07

100点

選択しない 


個人的な邦画の青春映画の傑作‼️

初観は中学生の頃…銀座でのカップル同士のデート。
此の映画の影響で…後の自分の青春の過ごし方が決まった程…主人公の仕草やファッション更に音楽等々…全てに感化された‼️
今回…DVD購入して自分の手元に本編を置き…約50年の歳月が流れた今も…自身の「青春」と「蹉跌」を感じながら生きてる自分…此の映画に出会えて…良き人生だ‼️

2020/07/02

2020/07/02

65点

テレビ/有料放送/WOWOW 


(録画)1974年キネ旬ベストテン日本映画4位

途中音声が切れるところがある。放送禁止用語なのだろうが、有料放送なのだから注意書を入れてそのまま放映すべきだ。
後に「太陽を盗んだ男」を撮る長谷川和彦の脚本。音楽も井上堯之。
学生運動崩れで司法試験を受ける学生の話。妊娠した女子大生が付き合っていた大学生に殺されると言う事件を元にしたと言われている。
殺す必要の無かった女性をその場の流れで殺してしまった主人公。司法試験も終わり、婚約もし、久々のアメフトの試合に警察が訪ねてきて…タックルされた主人公は骨の折れるような音のあと動かない。
堕胎が出来なくなった女性と主人公が雪山を歩き続ける延々と歩くラブシーン。遠方から撮り続けるシーンには迫力があり、観いった。

2020/05/15

2020/05/17

84点

購入/DVD 


ショーケンが格好いいなあ

久しぶりに再見。
確か、この映画は栗原小巻主演の「モスクワわが愛」の併映だったんだ。併映作との落差というのはすごく大きなものがあった。当然、当時の若者はこちらの映画に熱狂したわけなんだが、神代辰巳のロマンポルノに熱を上げていた者にとっては、いささか生ぬるい映画という風に思われていた。僕もそうだった。でも、久しぶりに見ると、この映画もなかなかいい。何よりもショーケンが素晴らしい。
ファーストショットで、ショーケンがローラスケートを転がして、ビルの屋上のビヤガーデンのようなところで、椅子やテーブルを運んでいる。そこに、井上堯之の音楽がかぶさる、この出だしはいつ見てもゾクゾクする。
物語は、すごくシンプルで、上昇志向の強い大学生が、社長令嬢と結婚する為に、妊娠している付き合っていた彼女を殺すというもの。でも、神代辰巳はそういった筋立てには興味がないようで、むしろ自分の存在理由を見いだせない若者が、陥っていく泥沼のような現実に対して、どのように対抗していくかを、搦め手で描いている。それは、常に後ろを振り返る癖だったり、友人(河原崎健三)と肩や頭をぶつけ合う挨拶だったり、恋人(桃井かおり)とお互いを背負いあう雪山だったり、常に口ずさむエンヤトットだったりという、物語とは直接関係ない仕草である。そして、当時熱狂した観客は、筋立てよりも唐突に挿入されるそうした仕草を強烈に覚えている。
そういう意味では、初の日活以外の場での製作だったにもかかわらず、確かにこの映画は神代辰巳の映画になっていた。
何と言ってもショーケンが格好良く、あのトレンチコートとマフラーにはしびれた。そして桃井かおりが素敵だ。そして、歩行者天国で歩行者にまとわりつく芹明香のインパクトがすごい。