冒険者たち(1967)

ぼうけんしゃたち|Les Aventuriers|The Last Adventure

冒険者たち(1967)

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レビューの数

122

平均評点

79.8(488人)

観たひと

676

観たいひと

57

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アクション
製作国 フランス
製作年 1967
公開年月日 1967/5/18
上映時間 113分
製作会社 ソシエテ・ヌーベル・ド・シネマ
配給 大映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ジョゼ・ジョヴァンニの同名小説を、彼と「ふくろうの河」の監督ロベール・アンリコ、ピエール・ペルグリの三人が共同で脚色し、ロベール・アンリコが監督したアクション。撮影はジャン・ボフティ、音楽はフランソワ・ド・ルーベが担当。出演は「パリは燃えているか」のアラン・ドロン、「女王陛下のダイナマイト」のリノ・ヴァンチュラ、「スタンダールの恋愛論」のジョアンナ・シムカスほか。イーストマンカラー、テクニスコープ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

マヌー(A・ドロン)とローラン(L・バンチュラ)は、性格はまったく違っていたが、実の兄弟のように仲が良かった。マヌーはパリにある飛行クラブの教師で、ハンサムでスマートな外見に似合わず、驚くほどの命知らずで大ぼら吹きだ。ローランはパリ郊外の廃車置場の中にある奇妙な仕事場に住み、画期的なカー・エンジンの開発に専念していた。ある日マヌーは飛行クラブの生徒から、耳よりな話を聞きこんだ。それはある映画プロデューサーが撮影のため凱旋門を飛行機でくぐり抜けた者に二千五百万フランの賞金を出すというのだ。マヌーは見事に凱旋門をくぐり抜けたが、危険飛行の罪でパイロット免許をはく奪されてしまった。失業したマヌーは友人ローランの仕事場へ移ったが、仕事は思うように進行しなかった。そんなある日、マヌーは飛行クラブの生徒から聞いた新たなもうけ話の調査に乗りだした。それによるとベルギーのコンゴ移住者が動乱から逃れる途中、莫大な財産を乗せて海に墜落し、財宝が海底に眠っているというのだ。調査の結果、今度こそ間違いないようだった。マヌーとローラン、それに以前ローランの仕事場に作品の材料を探しに来たことで知り合った、現代彫刻家のレティシア(J・シムカス)の三人はスクーナー船に乗りこんで、宝探しを始めた。ついに彼らは素晴らしい仕事をなしとげた。ところがこの財宝に目をつけていた男たちが闇に乗じて襲ってきた。その戦いの中でレティシアは死んだ。危機を脱出した二人は彼女の故郷アイクス島を訪れた。そこには彼女にそっくりの幼い弟がいた。彼らはその少年のために財宝を残し、再び新たな夢へ向かっていく。ローランは要塞島を買い取り、そこでホテルを経営する計画を立てる。それはレティシアの夢でもあった。一度は別の道を行こうとしたマヌーも、ローランとホテルの共同経営者となるために、要塞島を訪れた。ところが、そこに再び財宝を狙う男たちが現れ、マヌーが銃弾に倒れる。彼を抱きかかえ、ローランは「レティシアはお前を愛していた」と嘘をつくのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年6月下旬号

新・午前十時の映画祭デジタルで甦る永遠の名作:「冒険者たち」「燃えよドラゴン」

2024/11/18

2024/11/22

70点

映画館/東京都/Bunkamura ル・シネマ 
字幕


男の子の胸を熱くする映画

飛行機乗りのマヌー(アラン・ドロン)とエンジニアのローラン(リノ・ヴァンチュラ)。
歳も離れ、見た目も性格も異なるふたりだが、妙に息があったふたりだった。
マヌーは凱旋門のくぐり抜け飛行に挑戦、ローランは1万回転のエンジンに挑戦していた。
前者は日本の映画会社からの依頼ということだったが、一杯食わされた。
冗談だったのだ。
担いだヤツを締め上げたところ、「コンゴ沖に墜落した飛行機に5億フラン近い財宝がある」と吐いた。
ローランも新規エンジンの開発に失敗し、ふたりはコンゴ沖の財宝引き揚げに乗り出すことに。
最近知り合った、美人の現代造形美術家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)を連れての冒険だった・・・

といった物語。

十代の頃、70年代末にテレビで観た際の感想には

男のロマン、冒険。
それは青春。
男の友情を軸にしていて、冒険もうまくいっている。
女がひとりでも、奪い合いなんかしないのですね。
でも、早くにジョアンナ・シムカスが死んでしまったのは、たいへん残念。

とあった。

今回再鑑賞しても感想があまり変わらない。

スタント飛行、猛スピードエンジン、海中の財宝・・・
それぞれの冒険は観ていてのんびりしている。
ロマンというより、浪漫と漢字で書く感じ。
海中の財宝を探し当てるまでの、男ふたりに女ひとりの嬉々とした様子は、特にそう。
(現在の眼からみると、ちょっとイヤらしいんだけどね)

で、財宝を狙う一味にレティシアは斃れ、後半はノワール映画へと展開するが、クライマックスは海上の要塞島でのドンパチ。
第二次大戦の置き土産を使ってのドンパチは、レティシアの弔い合戦。

ラストの空撮、中間の海中撮影、それにレティシアに捧ぐテーマ曲。
男の、というより男の子の胸を熱くする映画ですね。

2024/11/09

2024/11/09

80点

映画館/東京都/Bunkamura ル・シネマ 
字幕


アラン・ドロン追悼上映で4Kスクリーン鑑賞。

本作鑑賞はかなり久しぶり、スクリーンではもちろん初鑑賞。なんというか、あの音楽も相まって忘れ難い作品。ドロンもヴァンチュラも本当にカッコいい。
先日新宿で観たジョゼ・ジョヴァンニの「生き残った者の掟」が本作の後日談であることもまた感慨深いので未見の方はぜひ見てほしい。映画館のトイレで並びの男性が本作のテーマを鼻歌で歌っていたのも納得、多くの同世代の心に刻まれているものがあると思う。

2024/08/12

2024/09/03

90点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


「海は私の初恋相手」

『冒険者たち』
Les Aventuriers
1967
フランス・イタリア

「海は私の初恋相手」

名高い青春冒険映画。とても面白くて切ない名作。

日本の風物が二つ現れる。一つはドロンが電話した日本人会社。社長の部屋には松山善三監督の『戦場にながれる歌』のポスターが貼られている。

もう一つはドロンが保険屋と食事をしながら財宝の話を聞くのがすき焼き屋だった。

高度成長期に入り東京オリンピックも開催されて日本が世界に進出し始めた頃なんだな。

この映画を名作にしているのは編集が優れている所もあるなと思った。間延びした、かったるいショットが無い。

ドロンが運転するメルセデス・ベンツ300SELの後をつけるギャングたちから見た移動撮影。カットは3つ。その3カット全てでドロンが運転するベンツはすぐに右や左に曲がる。

車がまっすぐ走るのを後ろから捉えた画面は止まっているのと変わらないかったるいカットになりがち。しかし『冒険者たち』ではベンツはすぐに曲がって消える。

常にこの映画では人は動き、短く話し、動き回る。車も人も飛行機も船も常に動いてる。かったるいカットが無いのがこの映画を観ていて楽しい所だ。

常に人が忙しく動き回る映画というと深作欣二を思い出す。彼の映画では人はネジを巻かれたように動き、喋る。うるさい。『冒険者たち』は少し違う。人物はネジは巻かれていない。淡々と短く話す。

少ない台詞と行動が余韻を産む。

・ラストのアクションは前年に発表されたギャビン・ライアルの冒険小説『深夜プラス1』にヒントを得たのかも。

2024/09/01

2024/09/01

70点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 
字幕


フレンチノワールと思って観たらニューシネマだった。そう言えば「俺たちに明日はない」も「卒業」も同じ1967年製作だ。アラン・ドロンは陰陽両方で魅力があるが今作はどちらかというと陽性キャラ。挫折した男2X女1が起死回生を狙うが悲劇が起こり、最後にはアンハッピーエンド。

2024/08/26

2024/08/27

80点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


愛と友情の青春冒険物語

パイロットとエンジニアと彫刻家、それぞれの分野で挫折した3人が一攫千金の夢を見てコンゴで宝探しに乗り出す。愛と友情の入り混じった三角関係も、一攫千金の夢も、どす黒さは微塵もなくひたすら清々しい。それがこの作品の魅力だろう。アラン・ドロンのボマー・ジャケット、リノ・バンチュラのシボレーのレッカー車、ジョアン・シムカスのピーコート、そして終盤現れる縦目のベンツのカブリオレが、物語に彩りをそえる。影のあるニヒルなドロンもいいが、奔放で明朗快活なドロンも魅力的だ。

2024/04/25

2024/04/25

100点

購入/ブルーレイ 
字幕


とりあえず11回目の鑑賞

とりあえずと書いたのは、1976年にベータで録画して見まくったからで、実際は何回見たか分らないから。
1975年暮れに、SONYのベータ機を30万円で月賦で買った。
バイト代で払ったのだが、テープ代がまた高い。
1時間テープが6千円だか1万円だか覚えてないが、とにかく「冒険者たち」を録画するのにβテープ2本が必要で、1万円以上かかったことは確かである。

最初に見たのは1971年の高島忠夫さんの「ゴールデン洋画劇場」だったと思う。
翌日、高校に行ったら、いつもの映画仲間が「あそこでジョアンナ・シムカスを退場させて、ほんと良かった。」なんて冷めたことを、ぬかしてた。
こいつは理知的で、そういう奴である。
また会いたいな。

1973年に新宿歌舞伎町、名画座ミラノでかかったので見た。
ノーカット、シネスコサイズ、原語で見れたのである。
そして1976年のビデオ録画であった。
1983年にはCBS SONYビデオから、トリミング版がリリース。
1万2千円したと思うが購入、鑑賞。
 (この会社のシリーズでは、アニメ「バッタ君町に行く」も買った。)
その後はLDもDVDも買わず、2007年にBlu-rayでようやく再鑑賞。
80年代だったか、劇場リバイバルにも行かなかったから、たぶん24年間見なかった。
そして、そこから今日までまた17年、見なかった。
まぁ100点付けてもそんなもんである。

最初の44分のパリ篇、ここは、もうなんか、みんな頭に入っていて、やっぱりこの映画、見過ぎたな、と思っていたが、そこからのコンゴ篇30分が、やっぱり見てて楽しい。
海底へのレクイエムも、つくづく美しい。

そしてそのあとの39分の、アフター・コンゴ篇。
そこではマヌーの金遣いの粗さが気になった。
マヌーが墓穴を掘ったとも言える。
マヌーは、いい男なので、喫茶店?の年増のウェイトレスといい仲である。
やっぱりレティシアに、ふられてもいい男・・・か?

海の要塞についてレティシアがドロンに語るシーンがある。
「海に浮かぶ家を買うわ。ラロシェル市よ。」
ラロシェルなんて地名の台詞があったか。
グーグルマップでラロシェル市と検索しても海の要塞は見つからない。
ちょっと調べたら、海の要塞=フォール・ボワヤール fort boyard と分かった。
これは一発で出て来る。

そういや序盤で、ドロンたちを騙した男たちが「エトルタにでも飛ぶか(飛行機で)」という台詞を言う。
エトルタは、あのルパンに出て来る《奇巌城》がある海岸である。
あれは、本当に美しく、そして不気味である。

今、見ると本作は、あちらこちらに、わざとらしいところもあるが、それでも奇蹟のような映画である。

ジョアンナ・シムカスを映画界にスカウトしたのは、ゴダールとのこと。
(2007年だかの、カンヌ映画祭でのシムカスのインタビュー。)