赤ん坊を死産して悲嘆に暮れるケイト(ベラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)の夫婦。すでに息子と娘の2人の子供があったが、もともと問題を抱えていた家庭に、この悲劇は重くのしかかった。ケイトには、かつてアルコール依存症がもとで、娘のマックス(アリアーナ・エンジニア)を溺れさせかけた過去があった。ジョンはともすれば、そんな妻を責めがちになり、ケイトも自分自身を許せずにいたのだ。その上に起きた悲劇は、結婚生活そのものを揺るがすだけでなく、辛い過去に悩むケイトの脆い神経にも打撃を与える。表面だけでもなんとか普通の生活に戻そうと必死の2人は、養子を迎えることを決意。地元の孤児院を訪れる。そこで出会ったのは、エスター(イザベル・ファーマン)という名の9歳のロシア人少女。前の養子先の家族を火災で失ったばかりのエスターは愛らしい声で歌い、綺麗な絵を描いていた。その頭のよさと独特な考え方にたちまち惹きつけられる2人。ケイトはかつて才能あるピアニストとして活躍していたが、娘のマックスは聴覚障害者で、長男のダニエル(ジミー・ベネット)は音楽にまるで興味なし。ケイトとジョンは、エスターこそ自分たちの家庭にふさわしいと、引き取ることにする。ただ1人、ダニエルだけはエスターを歓迎していなかったが。だが、夫婦の家で暮らすようになったエスターは、次第に隠された本性を現し始める。彼女は、愛らしい姿からは想像できない凶暴さを秘めていたのだ。それに気付いたケイトは、家族を守るため、ジョンたちにそのことを知らせようとする。しかし、夫婦の心を巧みに利用するエスターの前では、必死の警告も届かない。反対に、より深まってゆく2人の亀裂。刻一刻と経過してゆく時間。やがて、周囲の人間は次々とエスターの餌食になっていく……。