かつてニューヨークのジャズシーンで活躍し、サックスプレイヤーとして注目を集めていた阿川明(田村正和)。しかし、夢を追い続ける明の犠牲となったのは、妻の友美(高島礼子)だった。彼女がガンを発病していることに気がつかなかった明は、友美の死後はサックスを捨て、日本に帰国して友人・浅倉(片岡鶴太郎)が経営する旅行会社に勤務、ひとり娘の佐和(森迫永依)と静かな生活を送っていた。ある朝、ゴミ出しをしていた明は、清掃局員の上原結(伊東美咲)から叱責を受ける。燃えるゴミと燃えないゴミの集荷日を間違えていたのだ。憮然とする明を尻目に、結は清掃局のユニフォームを脱ぎ捨てて颯爽とその場から立ち去った。その日、急にニューヨークへの出張が決まった明は、飛行機の中で結と再会する。彼女もまた、視察の旅に向かうところだったのだ。ぎこちなく会話を交わす明と結。ニューヨークのホテルで結は、日本の婚約者からの電話で別れ話を切り出される。絶望してホテルの部屋から身を投げようとする結だが、彼女の異変に気がついた明に止められる。そして明はニューヨークの名所を案内して、結ぶを励ました。いつしか二人の間には愛が芽生え、幼い佐和も結を受け入れた。そんなある日、体調を崩した明が病院で精密検査を受けると、すでに全身が癌に蝕まれ、余命3ヶ月の生命であることを告知される。結との別れを決意した明は、ひとりニューヨークに旅立って、馴染みだったジャズクラブで再びサックスを吹く。ステージに帰ってきた明を、温かく迎え入れるジャズメンたち。そして、客席には明を追ってやってきた結の姿もあった。セントラルパークの日差しの中、明は結の膝元で眠るかのように息を引き取った。