有能な美人記者北長子は、鳥飼巡査から聞き出した材料で、猿丸警部をモデルにした汚職警官の記事を書いて、文芸公論を馘になった。悲観している長子に友達の赤羽スガが、長子自ら一カ月間この世から失踪して、そのルポルタージュを書き、その長子を探す懸賞募集というプランを、雑誌社に売りこめとすすめた。長子は週刊ニッポン社と契約して、スガの紹介で第億銀行の白州に資金を借りに行った。白州は部下の千木や六井と共謀して、自分たちの預金横領の犯人に長子を仕立てようとたくらんだ。ある日、長子は例の記事のために、警官を免職になり千葉に帰って私立探偵になるという鳥飼に会った。失踪完遂の前日、変装した長子は白州をたずねた。そこではからずも、長子の替玉の中村竹子のいることも、白州たちの悪事も知った。そのあとで六井をたずねると、六井は何者かに殺害され、妹のふき子に犯人と間違えられた。猿丸警部は六井殺しの犯人が長子であるらしいと捜査を始めた。長子は鳥飼のところに、事件解決の協力を頼みに行った。千木は長子の味方をよそおって、偽せの長子に会わせるといって、彼女をおびき寄せようとしたが、長子は事前にそれを察知した。一足先に竹子に会い、そこで荷物の預り証の三分の一を手に入れた。またふき子の所からも残りを探し出して、あずけた荷物を横取りしてみたが、中味は現金ではなく新聞紙であった。長子は白州のところに行って、荷物の一件を話しているとき、しのびよった千木のために白州は射殺された。しかし千木は北海道に高飛びする寸前に捕えられた。そして観念した千木は捜査室の窓を破って飛降り自殺した。長子と鳥飼は失踪成功の賞金で、東京に法律事務所を開く相談をするのであった。