幼馴染みのタケシをたよって家出してきたヨーコは、ヤクザに身をもちくずし、ヨーコを欲望の対称としかみないタケシのもとをのがれて、新宿の繁華街にさまよい出た。身なりはみすぼらしくとも、もともと男心をくすぐる姿態を持つヨーコは、たびたび街の男たちに声をかけられ、誘惑された。中年のデザイナー浅井もその一人であった。そんなうちに、ヨーコは、風俗娘ハルミに誘われハルミたらの仲間のたまり場であるスナックバーに入った。そこでハルミは、経営者の矢吹、美容師見習のナロン、モデルのアコ、自動車修理工のハーフのトミイなどを紹介したが、その中に、その場に似つかわしくない気の弱そうな予備校生ジロウがいた。彼らは、ジャズのビートに酔いしれ、睡眠薬を飲んで、めぐまれぬ青春をいたずらに費していた。ヨーコもすすめられるままに睡眠薬を飲み、正体を失った。翌朝、ヨーコが眼をさますと、そこはジロウの部屋であった。気の弱いジロウは、ヨーコに惚れていながら、彼女になにもしてやることができなかった。ヨーコはそんなジロウが腹立たしかった。そうしたある日、就職口を探し歩いていたヨーコは、沖縄生まれのボクサー、オキと知り合った。身寄りのないオキは、ヨーコを通じてすぐ仲間に融けこんだ。が、それから数日、ヨーコたちのアジトで起ったトラブルが、奮発に知れ仲間たらは解散させられた。またヨーコは一人ぼっちになった。今のヨーコをささえる夢は、いつかジロウと一緒に見た映画にでてきた、太陽が強烈にてりつける、サントロペの海岸であった。そんな時ジロウが、父親から貰った三十万円を持ってヨーコの下にもどってきた。「サントロペへ行こう!」というヨーコの強い願いにジロウも遂に負け、二人はサントロペ行きの貨物船に乗りこんだ。ジロウの顔にはじめて、男らしい影がうかんだ。