現代の煩雑な社会の一分子テレピプロデューサー風松吉。メカニズムに押し流されている彼には近づく女も多い。彼と関係した女は十指に余る。妻の双葉はそんな夫をあきらめて淋しい毎日をレストラン経営にまぎらわしていた。責任のない関係のつもりだったが、女の方では奇妙に風を忘れられない。行きづまりを感じている女優石ノ下市子もそんな一人だった。女たちは風のことが気になるあまり二言目には「風がポックリ死ねばよい」「風を誰か殺してくれないかしら」と言うのだった。女たちのそんな話を耳にした風本人は、十人の女が自分を謀殺しようとしていると思い込む。根は気の弱い男なのだ。どうして自分が殺されようとしているのか彼にはわけがわからない。思い悩んだ彼の相談相手は、妻の双葉だった。或る雨の夜、双葉のレストランに集まった十人の女たち。彼女らの目の前で双葉の拳銃が火を吹いた。ばったり倒れた風松吉。驚く女たち。果して真実の殺人か狂言か?しかし風は生きていた。冷静な双葉の芝居であった。だがこの一幕は女達にさまざまな反応を起した。気の弱い未亡人は風を追って自殺した。新しい結婚に踏み切る女もいた。そして双葉は風と離婚した。それを風は市子の家で知った。市子は風を双葉からゆずり受けた形になって同棲していたのだ。それは普通の形の結婚ではなかった。そして市子も、マスコミに追いまわされる自分を嫌って女優を止すと言う。市子の女優サヨナラー・パーティは盛大に行われた。楽しく談笑する双葉と市子。パーティが終ると、市子は沢山の花束をかかえ冷い表情で自動車を夜の闇に走らせるのだった。