群馬大学附属病院第一外科に17年間勤務し、2008年から在宅緩和ケア医に転身した「緩和ケア萬田診療所」の院長・萬田緑平。在宅緩和ケアは、身体と心の苦痛をやわらげ、自分らしい生活を送ることができる希望の医療といわれている。末期がんで余命宣告され、在宅ケア医療を選んだ患者たちは、住み慣れた我が家で“生き抜く”ことを選択する。在宅ケアで2000人以上を看取った経験のある萬田医師の適切な指導のもと、薬と家族の力で、時にはお酒を嗜んだり、食べたいものを食べたり、ゴルフをしたり、旅行に行ったり、ペットと過ごしたり、そして自分自身の葬式や墓のデザインまで考えたり……。同時に、自宅で一緒に過ごす家族たちにとっては気持ちの整理をする時間となる。2018年に永眠した樹木希林の講演会時の映像が挟まれ、「死ぬというのは“日常”なんです」と最期まで自分らしく生き続ける極意が語られる。