他人になりすますことの快感(?)を絵的にわかりやすく見せたユニークな脚本が評価されたのもよくわかる。
夫婦関係と仕事に行き詰まっている男クレイグ(キューザック)が操り人形に入れ込む姿にすでにして他人に入り込むという欲望が強く現れていた。彼がオフィスにあの穴を見つけることになったのも必然であり、欲望の具現化だったのだろう。
コメディとしての面白さと同時に人の脳内に他人が住み込むという設定にマインドコントロールをはじめとした怖さも同居していて、一見シュールなシナリオながらなかなか深みを感じさせるところがくせになる映画だ。
本作でさんざん使い倒されている感じのマルコヴィッチだけど、最初はあくまでひっそりと地味に登場する。映画を引っ張っているのは欲望に駆り立てられているクレイグ役のキューザックの方だ。それが途中から主客転倒していく。終盤にはマルコヴィッチだらけになっている。ここまで使い回されれば本人も大満足であろう。