日の名残り

ひのなごり|The Remains of the Day|The Remains of the Day

日の名残り

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レビューの数

88

平均評点

76.1(466人)

観たひと

680

観たいひと

67

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸 / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1993
公開年月日 1994/3/19
上映時間 134分
製作会社 マーチャント=アイヴォリー・プロ(コロンビア映画提供)
配給 コロンビア トライスター映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

英国の名門家に一生を捧げてきた老執事が自身の半生を回想し、職務に忠実なあまり断ち切ってしまった愛を確かめるさまを描いた人間ドラマ。原作は、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ(石黒一雄)がTVドラマ用の脚本を改稿した同名小説(中央公論社)。主演のアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソン、監督のジェームズ・アイヴォリー、脚本のルース・プローワー・ジャブヴァーラ、製作のイスマイル・マーチャント、撮影のトニー・ピアース・ロバーツ、音楽のリチャード・ロビンス、美術のルチアーナ・アリジ、編集のアンドリュー・マーカス、衣装のジェニー・ビーヴァンと、92年カンヌ国際映画祭受賞作「ハワーズ・エンド」のキャスト、スタッフが再結集。そのほかのスタッフは、共同製作に「ハリウッドにくちづけ」のコンビ、マイク・ニコルズとジョン・コーリー、エクゼクティヴ・プロデューサーにポール・ブラッドリーら。共演は「パトリオット・ゲーム」のジェームズ・フォックス、「ある日どこかで」のクリストファー・リーヴ、「赤い航路」のヒュー・グラントほか。2017年10月28日より特別再上映(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年。オックスフォードのダーリントン・ホールは、前の持ち主のダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)が亡くなり、アメリカ人の富豪ルイス(クリストファー・リーヴ)の手に渡っていた。かつては政府要人や外交使節で賑わった屋敷は使用人もほとんど去り、老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の手に余った。そんな折、以前屋敷で働いていたベン夫人(エマ・トンプソン)から手紙をもらったスティーヴンスは彼女の元を訪ねることにする。離婚をほのめかす手紙に、有能なスタッフを迎えることができるかもと期待し、それ以上にある思いを募らせる彼は、過去を回想する。1920年代、スティーヴンスは勝気で率直なミス・ケントン(後のベン夫人)をホールの女中頭として、彼の父親でベテランのウィリアム(ピーター・ヴォーン)を執事として雇う。スティーヴンスはケントンに、父には学ぶべき点が多いと言うが老齢のウィリアムはミスを重ねる。ダーリントン卿は、第一次大戦後のドイツ復興の援助に力を注ぎ、非公式の国際会議をホールで行う準備をしていた。会議で卿がドイツ支持のスピーチを続けている中、病に倒れたウィリアムは死ぬ。36年、卿は急速に反ユダヤ主義に傾き、ユダヤ人の女中たちを解雇する。当惑しながらも主人への忠誠心から従うスティーヴンスに対して、ケントンは卿に激しく抗議した。2年後、ユダヤ人を解雇したことを後悔した卿は、彼女たちを捜すようスティーヴンスに頼み、彼は喜び勇んでこのことをケントンに告げる。彼女は彼が心を傷めていたことを初めて知り、彼に親しみを感じる。ケントンはスティーヴンスへの思いを密かに募らせるが、彼は気づく素振りさえ見せず、あくまで執事として接していた。そんな折、屋敷で働くベン(ティム・ピゴット・スミス)からプロポーズされた彼女は心を乱す。最後の期待をかけ、スティーヴンスに結婚を決めたことを明かすが、彼は儀礼的に祝福を述べるだけだった。それから20年ぶりに再会した2人。孫が生まれるため仕事は手伝えないと言うベン夫人の手を固く握りしめたスティーヴンスは、彼女を見送ると、再びホールの仕事に戻った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1994年5月上旬号

外国映画紹介:日の名残り

1994年3月下旬号

グラビア 《New Release》(新作映画紹介):日の名残り

特集 日の名残り:作品評

特集 日の名残り:アンソニー・ホプキンス論

2026/05/27

2026/05/27

78点

テレビ/無料放送/NHK BS 
字幕


また観た

アンソニー・ホプキンスのストイックな演技に英国の貴族の執事はかく在りなんという姿を見た。静かな秀作でずしんとした余韻が残る。

1995/05/05

2026/05/24

90点

レンタル 
字幕


見た直後より後になってズシリと来ます

 1994年のアカデミー賞レースで8部門のノミネートを受けたジェームス・アイボリーの秀作「日の名残り」は、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロがTVドラマ用の脚本を改稿した同名小説が原作です。彼はこの作品でイギリスの芥川賞に当たるブッカー賞を受賞しています。

 物語は1930年代、イギリスの名家ダーリントン卿のお屋敷に仕える執事と女中頭の秘めたる恋が、格式を重んじる名門富豪の生活を通してしっとりと描かれています。アンソニー・ホプキンズ演じる主人公は、公私ともにひたすらご主人さまに仕える優秀な執事ですが、職務に厳格なあまり、「私」というものをなくしてしまうのです。女中頭のエマ・トンプソンを憎からず思っていながら、うまく自分の感情を表現できずに、業を煮やした彼女からのアプローチにもすげない返事しか出来ません。

 恋愛と呼ぶにはあまりに淡すぎるこんなすれ違い・・・思わず10代の頃のほろ苦い経験のいくつかを思いだしてしまいました。そうなんですね、この主人公は、ただ自分の職務を無事全うすることだけを考えて過ごし、何十年も外の世界から閉ざされた暮らしをして来たので、人とのつ気合い(特に異性との)に関してはまったくの未成熟なのです。父親と自分、ご主人対自分、自分対使用人、というタテの関係の付き合いしか知らないので、恋愛というヨコの関係にどう対処していいか、途方にくれてしまいます。

 日本人の原作者だけあって、名門に仕える一流の執事という職務の中に、武士道精神に似たものを発見し、大いに共感を覚えました。ラスト、冷たい雨の降りしきる街頭に一人たたずむ主人公を遠景から捉えた姿に、深い深い、絶望的な孤独感を感じさせ、いつまでも忘れられない一遍となりました。

(1995/2/5 記)

2025/12/28

2025/12/31

80点

テレビ/無料放送/NHK BS 
字幕


4回目

◎ 4回目の鑑賞。前回は4か月ほど前に観たばかり。ダーリントン屋敷の主も変わり、前のメイド頭に復帰してもらうために彼女を訪ねる執事の旅と、その20年前の屋敷での出来事を交互に描く。
◎ 過去3回観ているわけだが、観終わってしまうと自分の頭の中で出来事を年代順に組み立ててしまうのだろう。4回目になっても、こんなに過去と今を行き来する構成だったのかと驚く。

2025/11/22

2025/11/22

79点

選択しない 


英国の執事の矜持

英国貴族の名家の執事の品格と矜持を見せつけられる作品。演じるアンソニー・ホプキンスが名演。女中頭のエマ・トンプソンに好意を持つが表情に出さず、主人の大事な会議内容もけして漏らさず、どこまでも厳格に執事たらんとするのが凄い。本当にストイックで孤独に強くないとやれない仕事だろうと思わせる。もっと悲恋の心情など描きたくなるところだが、どこまでも感情を爆発させないのも英国気質か。静かにじんわりと感銘を受けるドラマ。

2025/09/18

2025/10/31

80点

選択しない 


暮色黙考

 仕事に誇りを持ち、執事としての役割に忠実、公私ともに自らを厳しく律して感情を表に出さず、無駄口をたたかない。その厳格な姿勢は信頼と威厳、名誉にも値する。しかし、それも度を過ぎると人との交わりや情感にかけてしまう。たとえば、女性に対する思慕、父親の死に対してまでも。
 執事は、こんな自分を慕う女中頭の気持ちを知りながら、そして自らの内に彼女を求める気持ちがありながら、鎧で二重三重に固めたように身じろぎすらしない。彼女はとりたてて愛してもいない男と結婚して屋敷を去る。
 20年後に二人は再会する。彼女は離婚している。もうじき孫が生まれるという。昔に思いを馳せながら降り出した雨の中で別れる。もう二人は二度と会うことはない。
 
 以前に2度ほど見ているが、執事と女中頭の関係はさることながら今回見て少し視点が変わった。執事の父親のことだ。老いていくということはこういうものだと同感し、同情を抱く。やがて執事自身も父親と同じような立場に立つことだろう。20年たっても思い出さずにいられない秘めたる思いからか、この執事が敢えて彼女に会いに出かけるのも年を取ったということなのかもしれない。
 日の名残りの中で父親は死を迎え、その時はまた自分にも訪れる。誰にでも。

2025/09/02

2025/09/02

60点

テレビ/無料放送/NHK BS 


老い先を見つめ,こちらを振り返る

ダーリントンの屋敷が主な舞台となる.執事やメイドたちが屋敷で職に就き,また離れていく.若い女と男とが行き交うこの屋敷には,さすらう恋愛の放浪者たちがいて,特に恋愛を求めているのはメイド頭だと,ジム・スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)はボヤいてもいる.そんな彼は75歳になる父「年長のスティーブンス」(ピーター・ボーガン)を職場のダーリントンに呼び寄せ,耄碌して失態が続く父を大目にみながら,老い先を見ている.父は父で母の浮気のために不幸に死にかけてもいる.
メイド頭となるのはケントンさん(エマ・トンプソン)で,彼女は案の定,スティーブンスと恋に落ちかけるが,淡い失恋があり,涙を流し,20年後にはベン夫人になって,孫が生まれようとしている.父は鼻先に汗をかいている.それも涙に見えなくもない.子スティーブンスは父にハンカチを渡している.スティーブンスには妙に管理をしたがっている.仕事柄,あらゆる雑事を把握しなけばならないからなのだろうか.鍵穴から覗き見る.政治の際どい話を聞かないふりをしながらしっかり聴いている.あるいは廊下から聞き耳をたてて室内をうかがっている. 
父はつまずいて転び,銀器をひっくり返す.サーブをすることの限界がきているが,父はそれを敷石が浮いているせいにしようとしている.中国人形も見える.英国の秩序と伝統を父が体現しているというのだろうか.生命の神秘を教えることは堅物のスティーブンスには困難でもある.彼は照明の下を動き回り,時々,突然,振り返る.  
自動車が庭先に集まってくると,要人たちが顔を並べ,ドイツの復興も問題にしている.父は座り込みうずくまっている.ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)は人がいいようであり,アメリカ人(クリストファー・リーヴ)とやや対立する場面もある.父が死んでいるが,スティーブンスはそれでも仕事を続ける.歌を歌う外国人女性がいる.レコードをかかり,葉巻を吸いスティーブンスは満足気である.一方で主人は,ユダヤ人で亡命者のメイドたちを解雇しようとしている.戦後,こうした卿の言動は,反逆罪ともなりかねない,ナチス贔屓として非難され,卿は狂ってしまったらしい.卿は新聞を読み,本を読む.
過ちを正す旅として,20年後のスティーブンスはケントンさんに逢おうとしている.海辺にやってくる.雨が降るバス停にバスがやってくる.鳩が卓球ホールに入り込んでしまうが,アメリカ人は掴んでその鳩を外へ飛ばしている.