秋吉久美子
|Akiyoshi Kumiko| (出演)
基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる
本名 |
小野寺久美子 |
出身地 |
静岡県富士宮市の生まれ |
生年月日 |
1955/02/24 |
没年月日 |
- |
略歴▼ もっと見る▲ 閉じる
静岡県富士宮市の生まれ。本名・小野寺久美子。父親の仕事の関係で福島県に転居、県内有数の進学校である県立磐城女子高校に進み、文学部の部長をつとめる。高校3年の1972 年、斎藤耕一監督「旅の重さ」の主役一般公募に応募。合格は逃したものの次点となり、自殺する文学少女役で出演する(この時は本名でクレジット)。その後、大学受験に失敗して浪人生活を送る中で、アングラ劇団“ はみだし劇場” と出会い、主宰者である内田栄一の夫人、内田ゆきにスカウトされたことがきっかけで、73 年、松本俊夫監督の「十六歳の戦争」(公開は76 年)に主演して本格デビューを飾る。これは戦時中に起きた豊川海軍工廠壊滅の悲劇を現代の若者の視点から捉えた作品で、秋吉は現代に生きる埴科あずなと戦時中を生きた有永みずえの二役を演じた。続く74 年、藤田敏八監督「赤ちょうちん」に主演。同棲する恋人と転居を繰り返しながら、次第に精神が崩壊してゆく女性を演じて強烈な印象を残す。これが出世作となり、藤田監督とのコンビでこの年、「妹」「バージンブルース」を立て続けに発表。“ 青春3部作” と呼ばれるこれらの作品で、単なる可愛い女の子とは異なる、ひと癖ある役柄を見事に演じ切って人気が急上昇。ゴールデンアロー賞最優秀新人賞を受賞するなど、世間の注目を集めた。その一方で、インタビューでは女優の仕事について聞かれ、「バカみたい」と答えるなどメディアに対しては反抗的と取られる態度を見せ、“ 生意気” や“ シラケ女優”といったレッテルを貼られることとなった。その後は、岡本喜八監督「青葉繁れる」74 で草刈正雄、藤田敏八監督「炎の肖像」74 で沢田研二、野村芳太郎監督「昭和枯れすすき」75 で高橋英樹といったスターと共演するなど話題作への出演が続いた。そして76 年、郷ひろみと共演した「さらば夏の光よ」と今井正監督の「あにいもうと」でブルーリボン賞主演女優賞を受賞。「あにいもうと」は、室生犀星の小説『兄いもうと』の3度目の映画化で、2度目の映画化である53 年版は成瀬巳喜男監督が手がけたことでも知られる。この時は京マチ子が演じた、妊娠した挙句に男に捨てられて実家に戻ってくる妹“ もん” を秋吉が演じるということで注目を集めたが、結果は毎日映画コンクール女優演技賞、報知映画賞主演女優賞も同時に受賞するなど、各方面で高い評価を受けた。その後も、山本薩夫監督の「不毛地帯」76、森谷司郎監督の「八甲田山」77 など、日本を代表する監督たちの大作への出演が続くが、79 年にレコード・ディレクターの岩久茂と結婚し妊娠(のちに離婚)。この時、「お腹が大きくなるのはイヤ、タマゴで産みたい」との名言を発して話題になるが、7月に無事に男子を出産。これにより4月から9月まで一時、芸能活動を休止した。79 年10 月にTBS『オレンジ色の愛たち』で復帰すると、80 年にはアニメ映画「地球(テラ)へ…」への声の出演から映画出演を再開。81 年には森田芳光監督の長編映画デビュー作「の・ようなもの」に出演。その後も82 年に柳町光男監督「さらば愛しき大地」、村川透監督「凶弾」、伊藤俊也監督「誘拐報道」などの映画に続けて出演し、87年には「男はつらいよ・寅次郎物語」でマドンナ役に起用される。その一方でテレビドラマでも活躍。吉永小百合が主演したNHK『夢千代日記』81、『続』82、『新』84 の三部作、渡辺謙主演の大河ドラマ『独眼竜正宗』87、日本テレビの年末時代劇スペシャル『田原坂』87 など話題作への出演が続いた。30 代に入った80 年代後半以降は円熟味を増した演技が評価されるようになり、数々の映画賞で受賞が続く。87 年には、昭和初期を舞台にひとりの男を挟んで繰り広げられる姉妹の愛憎を描く山下耕作監督「夜汽車」で十朱幸代と共演。結核に倒れる妹の里子を演じてブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。翌88 年には大林宣彦監督のファンタジー「異人たちとの夏」で風間杜夫演じるシナリオライターの亡き母親を演じて、再び同賞およびキネマ旬報ベスト・テン助演女優賞、毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。さらに95 年、遠藤周作の小説を熊井啓監督が映画化した「深い河」に主演。この作品は彼女の好演もあり、キネマ旬報ベスト・テン第7位、モントリオール世界映画祭エキュメニカル審査員賞の高評価を受けた。2000 年以降は「死びとの恋わずらい」00 や「十七歳」02、「青の炎」03などで、主人公の母親という役柄を演じることが多かったが、04 年、根岸吉太郎監督「透光の樹」で久しぶりに映画に主演。しっとりとした大人のラブストーリーで官能的なラブシーンを披露して話題を呼ぶとともに、健在ぶりを示した。本作は同年のキネマ旬報ベスト・テンで第10 位にランクインしている。なお、高校卒業直後に女優デビューした秋吉だが、09年9 月に早稲田大学政治経済学術院大学院公共経営研究科を卒業している。
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