北野武

|Takeshi Kitano| (監督/脚本/編集/出演/音楽/原作)

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本名 北野武
出身地 東京都足立区
生年月日 1947/01/18
没年月日

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東京都足立区の生まれ。本名・北野武。ペンキ職人の父・菊次郎と母・さきの三男一女の三男で末子。やんちゃだった少年時代の家族の姿は、のちに自伝的な著書に記され、NHK『たけしくんハイ!』85・86、テレビ朝日『菊次郎とさき』01~07などドラマ化もされ有名となる。すぐ上の兄・北野大(まさる)はテレビのコメンテーターなどをつとめる明治大学教授で工学博士。1965年、母の勧めで明治大学工学部機械工学科に進むが、大学へはほとんど行かず、新宿のジャズ喫茶など転々とアルバイト生活を送る。72年、ストリップ劇場の“浅草フランス座”で働き始め、座長の深見千三郎に弟子入り。74年頃から兼子二郎(=ビートきよし)と漫才コンビ“ツービート”を組み、どぎつい芸風で徐々に頭角を現す。70年代末に漫才ブームが到来し、フジテレビ『花王名人劇場』『THE MANZAI』などの演芸番組に多数出演。毒舌漫才で大人気を得る。81年、フジテレビのコントバラエティ『オレたちひょうきん族』が放送開始。“タケちゃんマン”を演じ、ファン層を拡大していく。ニッポン放送の深夜ラジオ『オールナイトニッポン』のパーソナリティもつとめ、世の偽善を早口でこき下ろす鋭い嗅覚と小児的破壊性、同居する醒めた知性と含羞で、稀有なタイプの時代のトリックスターとなる。漫才ブームが収束する頃になると、コンビを離れての仕事が多くなり、81年の関本郁夫監督「ダンプ渡り鳥」で映画初出演。小谷承靖監督「すっかり…その気で!」81では初主演もつとめるが、だらしない男の役が光った東陽一監督「マノン」81の助演以外はテレビ人気の延長上に留まる。しかし、久世光彦演出のTBS『刑事ヨロシク』82を経た83年、大島渚監督「戦場のメリークリスマス」に俘虜収容所のハラ軍曹役で出演。軍人精神に凝り固まった粗野なハラが英軍将校・ロレンスに友情を覚えていく葛藤を好演して、毎日映画コンクール男優助演賞を受賞する。同年のTBS『昭和四十六年・大久保清の犯罪』では実在の連続女性誘拐殺人犯を演じ、その精神のいびつさを怖いほどに体現して、俳優としての評価を不動のものにする。85年の降旗康男監督「夜叉」85で高倉健と共演。瀬川昌治監督「哀しい気分でジョーク」85の難病の息子を抱えた父親役は好評だったが、ヒューマニズムにすぐ背を向け、わずかな出番で場をさらった滝田洋二郎監督「コミック雑誌なんかいらない!」86の殺人犯役は出色となる。86年、写真週刊誌『フライデー』の過度な取材に立腹し、弟子の“たけし軍団”とともに編集部を襲って、傷害などで逮捕。執行猶予付きの有罪判決を受けるが、謹慎・復帰後はさらにカリスマ熱を帯びた支持を高める。日本テレビ『スーパーJOCKEY』『天才たけしの元気が出るテレビ!!』、TBS『風雲!たけし城』などバラエティ番組での大活躍と、俳優として見せる殺気との振幅が際立っていた89年、主演作「その男、凶暴につき」の監督を本名で兼任。劇映画のルーティンをことごとく壊す純粋な映画指向の作家・北野武の誕生と同時に、その意図を最も理解する主演俳優となる。以降の監督作が高い評価と興行不振の落差に苦しむ中、テレビ界ではその毒舌が文化人的見識として遇されるようになっていく。94年にバイク事故で重傷を負い、顔面麻痺で一時は再起が危ぶまれたが、95年に復帰。同年の石井隆監督「GONIN」では眼帯姿で殺し屋を演じ、虚無的な影が全身に張り付いた強烈な姿を見せる。監督作を通じて海外での知名度が上がり、ロバート・ロンゴ監督「JM」95、ジャン=ピエール・リモザン監督「TOKYO EYES」98に出演。大島監督「御法度」99、深作欣二監督「バトル・ロワイアル」00でも重要な役で巨匠の野心作を支え、2004年の崔洋一監督「血と骨」では在日朝鮮人一家の怪物的な家長役で主演をつとめる。暴力を通して昭和の戦後の澱を暴く特異な個性の集大成とし、キネマ旬報賞主演男優賞を獲得。自身の監督作では長篇15本のうち12本に自ら主演し、「ソナチネ」93、「HANA-BI」98をはじめ、破滅願望に憑かれた寡黙な刑事ややくざ役が多いのが特徴である。テレビドラマはほかに、TBS『イエスの方舟』85、『浮浪雲』90、『説得』93、フジテレビ『金(キム)の戦争』91、『三億円事件・20世紀最後の謎』00、テレビ朝日『兄弟』99、『張り込み』02、『点と線』07、『検事・鬼島平八郎』10、日本テレビ『鬼畜』02など。年輪を重ねるごとに土着的哀切を湛えた役が増え、TBS『あの戦争は何だったのか・日米開戦と東条英機』08では真面目すぎた愚直な小人物として東条英機を演じる複雑な域に達する。2012年公開予定の降旗監督「あなたへ」では主演の高倉健と、「夜叉」以来27年ぶりの再共演を果たす。元漫才師の幹子夫人と78年に結婚。一男一女があり、長女・井子は98年に歌手としてデビューした。

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