ロボコップの表面がつるつるピカピカでステンレス製品みたい
オライオン・ピクチャーズ作品としては「ターミネーター」同様に低予算近未来SFアクション映画である。これも「ターミネーター」同様に大ヒットした。当初はこの作品の主役にもアーノルド・シュワルツェネッガーが候補に挙がった。しかし、配役の前にロボコップのスーツが出来上がってしまい、これはシュワルツェネッガーに合わないということで外された。ピーター・ウェラーにはぴったりだったという。
ロボット警官という設定は「ロボット刑事K」のパクリじゃないかと見られているが、デザイン的にはポール・バ―ンホーベンが「宇宙刑事ギャバン」のデザインを引用していいかとバンダイに打診があったという。
バーホーベンが「宇宙刑事ギャバン」を知っているのが驚きだが、このタイトルでお子様向きヒーローものと見られ、彼自身も脚本を一頁読んだだけで脚本を放り投げた。しかし、妻の「これは奥が深い作品」と言われて、読み進めるとすっかり夢中になり、監督を快諾した。
奥が深いというのは死んだ状態の主人公がロボットにされるが生前の意識が残っており自分は何者なのかと葛藤するところが、当時はやりであったサイバーパンク系のSFであると評価されている。劇中のセリフにもあるとおり、法的には死んだ状態であるので、勝手にロボットにされても問題ないと言われている。でも遺体は遺族へ戻さないといけないのでは、と思ったりするのだが。また挿入されるニュース番組やCMがブラックユーモアであるのが秀逸。この作品世界の雰囲気が伝わる。バーンホーベンは「スターシップ・トルパーズ」でこれをまた取り入れている。
本作品のもうひとつの特徴は執拗な残酷描写である。残酷なところは当時でも珍しくはないが、こういうスーパーヒーロー作品でのこの異様な残酷ぶりはちょっと驚いた。マカロニ・ウェスタンの影響かなあと当時は思っていた。なんというか粘液質なバイオレンスとグロさにバーンホーベン監督の作家性も感じさせた。これまた「ターミネーター」同様に次回作が期待できる監督の登場だと思った。