有村架純が元風俗嬢で今は街のお弁当屋さんで働く女性を演じた、今泉力哉監督のドラマ映画。
テーマはあるようでない、ないようである、という今泉監督らしい捉えどころのない作風が、原作のコミックの持つ雰囲気に非常によく合っているのだと思われる。人間も人生も重層的だ、一筋縄ではいかない、ということをよく感じさせてくれる作品だった。周囲の人を水の底から救い出しながら、自らも傷を負ってしまうトラウマありの女性を、有村架純が上手く演じている。こういう役柄を選ぶようになったことからも、彼女が女優として一皮むけたと感じる部分があるね。夜の街を生きる人たちの息づかいが感じられるようで、とても居心地がよかった。まことを演じた少年の演技もよかったし、若葉竜也の相変わらずのしみったれた感じのイメージも好きだ。
こういうコアな層にしか受けなそうな映画を制作できる、Netflixの企画力は優れていることが分かる。