なんか好きです。
何がとは上手く言えないけど。
風俗嬢という設定はあくまでアイコンのようなもので、その奥には、例えば認知症患者に対するプロの介護士だとか、子供に対する保育士であるとか、先生であるとか、クレーマーに対するコールセンターの人であるとか、そんな風に対人間に対してとにかくサービス精神とプロ意識が凝縮したような存在として描かれていて、あーなんかわかる気がする、ってなる。
一見蔑まれる事もあるけど、余程のサービス精神と忍耐力とコミュ力がなけりゃ勤まらない仕事で。
自分も何かしら抱えながら、他人にはちょっとお節介で明るく、自分を卑下する事なくフラットにオープンに接する彼女の存在に、なんだか見てるこちら側もちょっと救われる気持ちになる。
けどそんな当の本人も色んなものを抱えていて、ちひろも、お弁当屋の多恵も、シングルマザーのマコトとその母親も、完璧に見えるハリボテの家族で息を詰まらせているオバジも、皆親子関係が空虚で、それ故に、抱える孤独がお互いを補うように絡み合っていくのがなんだか心地よい。
孤独を抱える人に手を差し伸べるちひろは、孤独を埋めようとしているのかと思わされるがそうではない。
人の孤独には寄り添うが、自分の孤独が埋まりそうになると、また孤独を求めてふっといなくなる。何故なのか。
最後まで掴みどころがないちひろは魅力的だ。わからないものはわからなくてもいい。
そんな感じの映画。
風俗嬢としていかにもじゃない有村架純はとても良い。