フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

ざふろりだぷろじぇくとまなつのまほう|THE FLORIDA PROJECT|THE FLORIDA PROJECT

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

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レビューの数

127

平均評点

75.2(653人)

観たひと

941

観たいひと

133

(C)2017 Florida Project 2016, LLC.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ヒューマン / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2017
公開年月日 2018/5/12
上映時間 112分
製作会社
配給 クロックワークス
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声 5.1ch

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第90回アカデミー賞助演男優賞ノミネートほか多数の映画賞を席巻したドラマ。フロリダのディズニー・ワールドの外側にある安モーテルで、母ヘイリーと暮らす6歳のムーニーは夢のような日々を送っていた。だが、ある出来事によって現実が影を落とし始める。監督・共同脚本は、「タンジェリン」のショーン・ベイカー。出演は、本作で放送映画批評家協会賞最優秀若手俳優賞などを受賞した子役のブルックリン・キンバリー・プリンス、「オリエント急行殺人事件」のウィレム・デフォー。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

6歳のムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)は、フロリダのディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテル“マジック・キャッスル”でママのヘイリー(ブリア・ヴィネイト)と暮らしている。ある日、隣のモーテルに同年代の女の子ジャンシー(ヴァレリア・コット)が越してきたと聞くと、仲良しの男の子スクーティ(クリストファー・リヴェラ)たちとモーテルに向かい、彼女のおばあちゃんの車にいたずらをして大目玉をくらう。ムーニーたちはジャンシーを仲間に加え、安モーテルや土産物店が立ち並ぶハイウェイ脇のエリアを探索。マジック・キャッスルに戻ると入室禁止の部屋に忍び込み、モーテル中の電気をストップさせる。モーテルの管理人ボビー(ウィレム・デフォー)はムーニーたちを叱るが、子どもたちは悪びれる様子もない。ムーニーは失業したヘイリーを助けるため、ダイナーで働くスクーティの母アシュリーからワッフルをもらったり、教会のフードドライブで食料をもらったりしていた。次の仕事が見つからないヘイリーは、リゾートホテルの前でニセの香水を売り始める。ある日、ムーニー、スクーティ、ジャンシーは古い空き家だらけのエリアへ冒険に出かける。荒れた家で暖炉を見つけたムーニーは、ライターを持っていたスクーティに火を点けてほしいと頼む。3人は親には内緒の約束をして別れる。モーテルに戻ると、ヘイリーが火事に大はしゃぎしていた。スクーティの様子がおかしいことに気づいたアシュリーは真相を知り、ムーニーと遊ぶことを禁ずる。スクーティ親子の態度が変わったことに気づいたヘイリーはアシュリーを問い詰めるが、理由は分からない。モーテルに居住は許されないというルールのため、ヘイリーとムーニーは月1回、向かいのモーテルに滞在する。しかし10ドルの値上げを言い渡されトラブルに。行き場がなくなった二人を受け入れてくれたのは、ジャンシーのおばあちゃんだった。香水売りも取り締まられたヘイリーはある決意をする。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年8月上旬特別号

読者の映画評:「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」川久保圭子/「万引き家族」井口祐介/「心と体と」

2018年6月上旬特別号

REVIEW 日本映画&外国映画:「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

2018年5月下旬号

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:インタビュー ショーン・ベイカー[監督]

UPCOMING 新作紹介:「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

2023/09/09

2025/04/13

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕

鮮やかなポスターの色に惹かれて見た
思った以上にクソガキ集団だった笑
貧困をテーマにしてる人間模様の映画なんだけど、安モーテルがその日暮らしをする低所得者の住処になってるのは衝撃だった
ビビッドカラーの色遣いが良くて、話は重いはずなんだけど、そこまで暗くならない作りになっててすごかった
何よりもウィレム・デフォーの演技が素晴らしい………
ラスト5分は夢の国の魔法ってことで…笑

2025/03/28

2025/03/28

78点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


ラストが尾を引く

ネタバレ

  ディズニー・ワールドの隣のモーテルで、その日暮らしを続ける、娘のムーニー(ブルックリン・プリンス)と母のヘイリー(ブリア・ヴィネイト)を、ムーニーの視点で描く。

 ラストが切なくも秀逸だった。

  職もなく、詐欺まがいの仕事と、配給や横流しの食料に、売春にも手を出し、何とか、子を養うヘイリーにも、ムーニーの度が過ぎるいたずらに、過酷な目に遭わないかとヒヤヒヤしどうしの時間だった。

 それでも前半は、楽しくありそうで、でも危なげな二人に、少し退屈してしまったけれど。

 ラストの、ムーニーとジャンシーの疾走に、切なくもこちらの気持ちを引きずられて尾を引く。これは、ディズニー・ワールドへの皮肉に見えるし、ムーニーとジャンシーにとっては忘れ難いものだろうと思った。

  ショーン・ベイカー監督の「アノーラ」が良かったので、これも観てみる。同じ監督の意志が貫かれたものだと改めて思った。

2025/03/26

78点

VOD/U-NEXT 
字幕


夢の世界の側のどん底

ネタバレ

みんなに夢を与えるディズニーワールドのすぐ近くに、貧しい人たちが生活するモーテルがあるという皮肉。
ディズニーワールドを訪れたカップルが、何かの手違いでこのモーテル「マジックキャッスル」を訪れるのだが、彼女の方は絶対に泊まりたくないと駄々をこねる。
その様子をモーテルで暮らす子供たちが愉快げに眺めている。

貧困地帯の方が子供が多く生まれるというが、このモーテルは子供だらけのようだ。
本当は宿泊施設に住み込んではいけないのに、多くの世帯がこの場所で暮らしている。
とにかく子供たちの肝の座り方が凄まじい。
特にムーニーとスクーティは言葉遣いが荒々しく、大人に臆することなく悪戯をし続ける。
見かねた支配人のボビーが注意をするのだが、ムーニーの母親ヘイリーはまったく悪びれることはない。
ムーニーの素行の悪さは母親譲りのようだ。
生活のためになりふり構わない二人の姿は逞しくすらある。
人として、母親としてダメダメなヘイリーだが、ムーニーにとっては掛け替えのない存在なのだ。

映画はこのモーテルで生活する人々の様子を淡々と描き続ける。
ヘイリーはムーニーを引き連れて、道行く人々に香水を売りつけようとするのだが、明らかに法律違反なやり方だ。
彼女の行為を責めるのは簡単だろう。
しかし、子供を連れたまま、しかもモーテル暮らしという特殊な環境で、彼女が出来るまっとうな仕事はあるのだろうか。

自業自得だと切り捨てる人もいるのだろうが、運がいいだけで誰にでも彼女のような境遇に陥る可能性はある。
自分の生き方がまっとうではないことは、ヘイリーにも十分分かっているはずだ。

色々と口うるさいところはあるが、モーテルで暮らす人々の事情を十分踏まえて、なるべく彼らの身に寄り添おうとするボビーの存在に救われる部分があった。
明らかに変質者と思われる男が子供たちに接触しようとするが、ボビーはすかさず間に入って男を追い払う。
その姿はとても頼もしく感じた。
が、変質者に見えただけで、その男にも色々と事情があるのかもしれない。
どう見ても社会に馴染めるような男ではなかった。

子供たちの逞しさによってあまり暗さを感じさせない作りにはなっているものの、心が重くなる内容だった。
正直、彼女の身勝手さには共感出来ない。
が、彼女が背負ってきた闇の深さを思うと心が苦しくなる。
社会への反発心だけで生きているような彼女には、人の善意や好意を受け入れる心のゆとりがない。
スクーティの母親アシュリーは、いつも彼女が働くカフェで余ったワッフルを二人に分けていた。
しかし、ムーニーが起こしたある事件をきっかけにアシュリーは二人に接触するのを止める。
すると、今まで受けてきた好意などなかったかのように、ヘイリーはアシュリーを責め立てる。
挙げ句に、彼女の部屋に乗り込んで暴力を振るってしまう。
他にもヘイリーは何度もボビーに救けられてきたはずなのに、彼女はそれを当然だと思い、感謝すらしない。
そして自分に不都合なことが起これば、平気で罵りの言葉を発する。

やがてヘイリーが部屋で売春をしていたことが発覚する。
もはやボビーにもどうすることも出来ず、児童家庭局の職員が訪れ、ムーニーを連れ出そうとするのを黙って見ているしかない。
しかしムーニーは職員の手を振り払い、逃げ出してしまう。
最後までヘイリーは汚い罵りの言葉を吐き続ける。
ムーニーと新しく出来た友人のジャンシーが、手を取りながらディズニーワールドへ入っていくラストは、とても哀しく切ない。

自分がやがて逮捕されるであろうことを悟ったヘイリーが、ムーニーにビュッフェでたっぷり贅沢させるシーンも切ない(これもただ飯なのだが)
どれだけ醜くても、彼女は母親の心は失ってはいなかった。
内容とは不釣り合いなカラフルな画が印象的な作品でもあった。

モーテルを訪れたカップルのシーンで、自分は女の人が泣き出す瞬間が分かると言っていたムーニー。
彼女は笑ったり、怒ったりはするが、ずっと涙は見せなかった。
しかし、最後の最後にジャンシーの前で大粒の涙を流す。
強がっていてもまだまだ少女。
辛くないわけがない。
子供に罪はないことを改めて考えさせられた。

2024/11/27

2024/11/27

90点

VOD/U-NEXT 

・U-NEXTの配信が一旦終了するので、6年ぶりの鑑賞 なぜだか自分のツボにはまる作品 ムーニーを見ているだけでただ楽しく切ない

・絵づくりルックの良さ、説明なくすんなり入る脚本、エモーショナルな演技と内容 すばらしい
・母ヘイリーの生活やたばこ、身なりなどとってもだらしないが、娘ムーニー対する一途さが日常のやり取り(スコール下の戯れ、児童家庭局に引き取られる朝のホテル食い逃げ)から感じ取れる 友人を殴ったり短絡的に激怒したり、フロントに怒りに任せて生理用品をぶつけたりするがとにかく魅力的
・管理人ボビー(デフォー)の怖くてまじめだが、住んでいるみんなの心に寄り添う気持ちが感じられる 子供に近づく不審者を追い出す所はかっこよすぎる ヘンリー、ムーニーへの仕方なくもあるが愛の溢れる対応、ルール上連続滞在できない中での、ほかのホテルを説得する場面もよい
・子役たちの自然すぎる日常 貧困な環境だが無邪気に時には大人を小バカにし、生き生きと生き抜く姿は胸を打たれる 悪口(プールのトップレスのおばさん)やひどい行動(車につば、金を恵んでもらってのアイス)などやること成すことクソガキ行動だが、いつまでも見られる 特に、ムーニーの演技は驚異的
・放火の発覚から、母の親友との関係が悪化し、貧困が徐々に迫るが娘目線で描かれ悲壮感は漂ってない 一方、何度もムーニーの入浴シーンが続くが、最後に母売春中とわかる所が切なくうまい
・ディズニーワールドの入場パス腕輪が売春中に盗んだもので、盗まれた側の演技とデフォーの対応(家族旅行中のことだから内密にしろ)から理解できるのは◎ この場面のヘイリーの客に対する挑発的で馬鹿にした対応も最高
・映画全体のルックは素晴らしい 遠景で子供たちが通り過ぎる街の美しさ モーテルやフロリダの空などのビビットで広がる空間、花火を見る家族、とにかくエモい また、ヘリがやたらと飛び交い、貧富の境界として表現も巧み
・ラストのムーニーが友達ジャンシ―に別れを告げに行くシーン うまく説明ができずでも内心最後の別れを悟ったムーニーの涙と理解したジャンシ―、ディズニーに二人で手を取り合って走るシーン、セリフなどで説明の無かったディズニーワールドが最後に目の前に出てきてハッピーではないものの良いラスト
 

2024/08/01

2024/08/01

30点

テレビ/有料放送/ザ・シネマ 
字幕


理解出来ない世界

我が国に於いても産まれた子どもはとても大切だ❗しかしまともに育てることの出来ないシングルマザーを放置する訳には行かない。早めの厳しい対応をせざる得ない。国の宝を守る為に‼️

2024/01/04

2024/01/05

70点

映画館/東京都/キネカ大森 


希望格差社会

ディズニーワールド近くのモーテルで暮らす母娘。
貧困シングルマザー。けど、ありがちな虐待とかは無い。

親も子も、毎日楽しく気楽に生きている。
モーテルで暮らす他の家庭も似たり寄ったり。
貧困から抜け出す術を知らない。

偽物の香水を売ったり、売春の客のものをくすねたり、そうこうするうちに、児童養護施設の職員がやってきて、母娘を引き離そうとする。
泣き叫ぶ母娘。

日本にもある話で、貧困は親から子へと連鎖し、抜け出す術がない。子にしてみると、未だ貧困であるという認識すらない。

「希望格差社会」という言葉を聞いたのはもう20年以上前だ。
その本を読んで、問題の底深さを痛感したのだが、
そっから格差は開く一方である。

子供が本当に無邪気なのが、哀しく見える。