二十代の頃
ちょっと首を傾げて花を持つチャプリンの
ポートレートをずっと部屋に飾っていた
同じシーンを観た瞬間
なんとも言えない気持ちになった
銅像の除幕式でこれみよがしに
演説する声は楽器の滑稽な音
オープニングから金持ちが口にする意味の無さが揶揄される
87分というタイトなこの作品
幾つかの伏線回収が秀逸
序盤でズボンの後ろが破けてる
チャプリンをからかう新聞売りの少年二人が登場する
この少年二人が終盤で同じように
からかったことで何が起こるか
この街で山高帽を被りステッキを持って
お尻の破けたズボンでも紳士然として暮らすチャプリンが出逢うのは二人
貧困の為家賃が払えなくて立ち退きの日が迫る盲目の娘と
身投げをして自殺をはかろうとする富豪の紳士
娘も紳士もチャプリンに
助けられる
無償の奉仕を行うところを
面白おかしく演出していて
必要以上に切実にならない
とりわけボクシングのシーンで
レフェリーの後ろに隠れて
パンチを避けようと
サイドステップを踏む二人が可笑しかった
強盗に殺される紳士
目が見えるようになる娘の対比で
示されるように
感謝する事の
大切さをじんわりと教えてくれる
タイトルの街の灯は
この街を照らす光り すなわち
チャプリンが捧げた無償の愛の輝きのことなのかな
ラストシーンで娘が握った手を嬉しそうに
握り返すそのぬくもりに気付いた娘の
驚きの顔が胸に迫る。