家族3人で過ごした楽しく幸せに満ちていた日々、そして、マルコがひとりで閉じた生涯を思うと、自然と涙が溢れてくる。と同時に、ゲイに人権がなかった時代とはいえ、あまりの理不尽さに怒りを覚えるばかり。ルディとポールとマルコが願ったのは、ゲイやダウン症とは関係なく、ただ普通の家族でありたかっただけなのに。朝起きて朝食を取って学校に送り出す、そんな些細なことがこの上ない幸せだということに、きっと彼らは気付いていないし、気付こうともしない。が、約1年とはいえ、マルコが本来あるべき家族の姿を知ってくれたことは良かったと思う。逆に、そう思わないと遣り切れない。また、3人に関わった人たちに差別や偏見がなかったことが救い。ラストでポールが彼らに送った手紙は、彼が出来る唯一で最大の抵抗。その抵抗が小さな棘になって、彼らの心から抜けなければいいのに。