はじまりのみち

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はじまりのみち

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レビューの数

104

平均評点

73.6(451人)

観たひと

653

観たいひと

93

(C)2013「はじまりのみち」製作委員会

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2013
公開年月日 2013/6/1
上映時間 96分
製作会社 「はじまりのみち」製作委員会(松竹=衛星劇場=サンライズ=静岡新聞社)(制作プロダクション 松竹撮影所 東京スタジオ/制作協力 松竹映像センター)
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督原恵一 
脚本原恵一 
プロデューサー石塚慶生 
新垣弘隆 
撮影池内義浩 
美術西村貴志 
装飾佐原敦史 
音楽富貴晴美 
音楽プロデューサー小野寺重之 
録音鈴木肇 
照明原由巳 
編集橘樹陽児 
ライン・プロデューサー阿部智大 
製作担当田中智明 
助監督石川勝己 
スクリプター小関ひろみ 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演加瀬亮 木下惠介
田中裕子 木下たま
濱田岳 便利屋
ユースケ・サンタマリア 木下敏三
斉木しげる 木下周吉
光石研 庄平
濱田マリ こまん
山下リオ 木下作代
藤村聖子 木下芳子
松岡茉優 やゑ子
相楽樹 義子
大杉漣 城戸四郎
宮崎あおい 学校の先生
ナレーション宮崎あおい 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「二十四の瞳」「楢山節考』など数々の名作を生み出した映画監督・木下惠介生誕100年記念作。戦中、松竹に辞表を出した後から再び戻るまで、その後の彼の人生を大きく変えた数日間の実話を基に「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督が映画化。出演は「それでもボクはやってない」の加瀬亮、「いつか読書する日」の田中裕子、「ポテチ」の濱田岳。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

政府から戦意高揚の国策映画づくりを映画界に要求されていた時代。木下惠介(加瀬亮)が昭和19年に監督した「陸軍」は、その役割を果たしていないとして当局から睨まれ、次回作の製作が中止になってしまう。夢を失った木下は松竹に辞表を提出、病気で倒れた母、たま(田中裕子)が療養している浜松市の気賀に向かった。失意の中、惠介はたまに「これからは木下惠介から本名の木下正吉に戻る」と告げる。しかし、戦局はいよいよ悪化の一途をたどり、気賀も安心の場所ではなくなってくる。惠介は山間の気田に疎開することを決め、その夏、一台のリヤカーに寝たままの母を、もう一台には身の回り品を乗せ、兄・敏三(ユースケ・サンタマリア)と、“便利屋さん”(濱田岳)と惠介の3人で、夜中の12時に気賀を出発し山越えをする。激しい雨の中、17時間歩き続け、ようやく見つけた宿で母の顔の泥をぬぐう惠介。疎開先に落ち着いて数日後、たまは不自由な体で惠介に手紙を書く。そこにはたどたどしい字で「また、木下惠介の映画が観たい」と書かれていた……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年6月下旬号

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「はじまりのみち」

2013年6月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「はじまりのみち」

「はじまりのみち」:対談 原恵一(監督)×山田太一

「はじまりのみち」:インタビュー 加瀬亮

「はじまりのみち」:インタビュー 茂木仁史

2013年3月上旬号

撮影現場ルポ:「はじまりのみち」

2012年12月上旬号

日本映画 NEWS SCOPE:CRANK IN, CRANK UP

2012年11月上旬号

日本映画 NEWS SCOPE:CRANK IN, CRANK UP

2022/12/15

2022/12/15

68点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


映画への思い

木下恵介の戦時中の一時期の一コマである。「陸軍」が軍の要求に合わないとしてしばらく新規の撮影を止められた木下(加瀬亮)は会社に辞表を出して田舎に帰る。田舎では脳卒中で療養中の母(田中裕子)がいたが、実家の店が焼けてしまったため、母を疎開させることになる。母をリヤカーに乗せ兄(ユースケ・サンタマリア)と便利屋(濱田岳)の小僧と3人で何十キロの道を行く。いつも映画のことばかり考えている木下は便利屋の問いかけにもぶっきらぼうに応えている。途中トロッコ便の都合で1日余分に宿泊したとき便利屋が「陸軍」と言う映画はよかったと語る。それと母の不自由な筆談でもう一度映画を撮ることを決心する
前後に木下作品の「陸軍」の一部や、木下のフィルモグラフィーの抜粋が紹介される。
田中裕子はほとんどセリフらしいものがないが、卒中で不自由な体をよく演じていた。また濱田岳が加瀬の深刻そうな顔と反対にあっけらかんとした態度を見せてくれて息抜きになった。
場所が浜松なのであのあたりの方言が聞かれ、なつかしかった。
ひずるしい=まぶしい、やらまいか=やろうぜ、いやったい=いやな、よさまいか=よそう、あんきに=のんびりと安心して、なんしょかんしょ=何でもかんでもというような方言が聞かれる。

2022/08/04

2022/08/06

70点

映画館/東京都/目黒シネマ 


間違えれば「楢山節考」に

木下恵介監督が松竹に辞表を出し、実家に戻って敗戦間近に、病床の母を山間の親類の家に疎開させる行程を描くのに合わせ、彼が松竹を辞めるに至った戦意高揚映画『陸軍』が、検閲は通ったにも拘らず、わが子の出征を見送る母の描き方が女々しいとクレームをつけた軍当局の理不尽さに、表立って抗議を示せない恵介は、意に沿わない作品作りはしたくないという気持ちを込めた作品です。

数分にわたって『陸軍』の終盤のシーンを映します。確かに木下恵介が訴えたかったであろう事は充分に伝わってきて、見送る家族や市民の群衆の旗の波は、気分を高揚させようとする効果は感じ取れず、検閲官の目もまた間違っていなかったと思います。

母を送るにも交通状況は逼迫していて、リヤカーに積んで恵介兄弟と、荷物を積んだもう1台の2台で約50キロの山道を1日で踏破するために深夜に出発します。母は声を発する事が出来ず、日傘をさしてリヤカーに横たわっているだけで、名優とされている田中裕子も、目的地に着いて少し声を発しますが、布団から出る事が出来ず、名女優を無駄づかいしてしまいました。

作品としては木下恵介のごく短期間の出来事を描いた描いたもので、多くを彼の作品紹介が主眼の作品と思われるような構成で、それはそれで悪い訳ではありませんが、おそらく原恵一監督の思い入れがあっての結果だと思いました。
あの「映画クレヨンしんちゃん」シリーズを一手に引き受けている原恵一監督にもこういった一面があったのかと感心しました。


前出の「陸軍」に加え、戦後松竹に復帰した木下恵介が監督を務めた多くの作品の中から以下の作品のショットが綴られ、改めて人間描写の巧みさに感心しました。
「わが恋せし乙女」「お嬢さん乾杯」「破れ太鼓」「カルメン故郷に帰る」「日本の悲劇」「二十四の瞳」「野菊の如き君なりき」「喜びも悲しみも幾歳月」「楢山節考」「笛吹川」「永遠の人」「香華前/後篇」「新・喜びも悲しみも幾歳月」

2022/03/22

2022/03/23

70点

VOD/U-NEXT 


「人生に立ち止まった時、ひとは、愛を知る」

木下恵介監督生誕100年記念作品。
アニメ作品で有名な原恵一監督初の実写作品。
「陸軍」を観た際に色々調べてたら本作を知ったので鑑賞。
木下恵介監督の生涯なり半生なりを映像化したものかと思ったら戦時中の1エピソードのみ。
記念作品なのにと思ったが薄っぺらい記念作品にならず、1エピソードをしっかりみせることで木下恵介の人となりが良くわかる作品になってると思う。
出演者も良い人選。
木下恵介役の加瀬亮をはじめ田中裕子、濱田岳、ユースケ・サンタマリア。
ほぼこの四人で話が進む。
そして木下作品が今作を彩る。
ストーリーに深く関わる「陸軍」をはじめ15作品の映像が使われている。

あまり期待せずに尺が96分と短いので気楽に観たのだがグッときた。
木下作品は17作品観ていたがほぼ高峰秀子目当てである。
初期作品はあまり観ていないのでこれを機に観てみようと思う。
カレーのくだりは「破れ太鼓」かな?これは観ておこう。

2020/02/19

2020/02/19

69点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


あくまで気軽に

静の木下、動の黒沢と言われます。一つの場面に狂気の集中力を見せる創作姿勢の黒沢に対して、映像や音楽に大胆な実験を試みる木下といった特徴でしょうか。後から観る者にとっては、木下よりはダイナミックな黒沢をとるのは、自然と思います。私の場合も観た本数を数えると、木下が11本で黒沢が22本でした。

 本作のラストを飾る13本のダイジェストの中で、二回目の鑑賞で堪能した、離島を舞台にした日本の極美の味わい「二十四の瞳」、フラメンコがバックに流れ長い確執が続いた夫婦の深い機微を描いた「永遠の人」、明治から続く母娘の切れない関係の「香華」などに、私は圧倒されました。

 また、話の導入となる「陸軍」もすごい作品で、出征のシーンからを紹介してますが、その直前の家族の晩餐も出色のシーンと思います。

 この映画自体は、その陸軍で干された木下が帰省して、病気の母をリヤカーに乗せて疎開する、という単純な話です。その時母に励まされ、映画界に戻ることになります。もう一歩二歩何かあればよかったとも思いますが、木下恵介を紹介する作品と気軽にとらえることとしました。

2019/12/30

88点

その他/レンタル 今日は木下惠介さんの命日です 


. 音楽が泣かせます    😃皆さん良いお年をお迎え下さい😃

落語ツウの濱田くんのカレーライスと揚げ物?を食べる真似をするシーンを見るとお腹が鳴りそうです

冒頭からデビュー作「花咲く港」
演出 木下惠介
撮影 楠田浩之
二枚看板で表示
普通は監督の一枚看板
木下監督の気持ちの良い心意気
楠田さんとは撮影助手時代からの大の仲良し
新人同士のふたりの異例のデビュー作
デビュー作はベテランのキャメラマンと組むのが常識だが頑固に粘って楠田さんを指名
のちの義理の弟になる
監督の妹の旦那さんですね

監督の母たまさんは「陸軍」を脳溢血で倒れて観ることができなかった
有名なラストは脚本にはありません
12分22秒の大スペクタル
ラスト田中絹代さんの顔のアップはカットされそうになりましたがセーフでした

「神風特別攻撃隊」
海軍省後援
情報局から横ヤリが入り頓挫
辞表を出す

エンドロール
旅館家族のみなさんの映像が流れ原監督の優しい人柄を感じます

田中裕子さんの配役は「ひとよ」の白石監督もこの作品を参考にしたのではないかと勘ぐります?

気田川はカヌーファンには有名な清流です

空のカット
雲の形や位置にも拘った撮影のオマージュ?

少し物足りないのは
優等生過ぎる地味な木下監督の人物造形
成瀬監督の撮影は静か過ぎて反応がまるでないのでイイのか悪いのか手応えがまるで無いらしいけど木下監督はOKの時は朗らかに嬉しそうに喜んでOKが出るらしい
撮影の時は毎日毎日違う服でお洒落だったというそんな一面も見せて欲しかったけど欲張りすぎですかね

原監督のDJ的な抜群のセンス
やはり作品と場面のチョイス 選択が的確で感動します
「お帰り 寅さん」のマドンナの怒涛のフラッシュバックと共に一気にガブリ寄られて号泣です

m(__)m以上 来年もよろしくお願いします

2019/09/01

2019/09/30

65点

レンタル 


田中裕子久しぶりの好演

木下恵介監督生誕100年記念作品というわりには、低予算で軽く撮ったという印象。こういう作り方に否を唱える人もいるかも知れないが、肩ひじ張って作るよりはこの方が木下監督の作品の雰囲気に近いし、悪くない。

でもそのために主人公の木下監督の心理が簡単に描かれた感じもある。戦時下で自分の撮りたい映画が撮れなくなった木下恵介が創作意欲を無くすが、母親を疎開させるために兄貴や便利屋と共にリヤカーで疎開先に行きつくまでに、自分の作品を待っているファンの存在を知り再び映画監督として復帰するという話がどうも単純にしすぎな印象が残る。もっと心の葛藤を描写しても良いのでは、と思った。

病床の母親を戦況の悪化から、親戚のいる山間部に疎開させるため、身体の負担を軽くするためにバスを使わず、リヤカーで運ぶ。母親思い以上に、なにか木下恵介の言い出したら後には引けぬ意固地さも感じられて、簡単に考えを変えないように見える。
だから、映画に絶望して実家へ引っ込むが、「陸軍」のラストシーンは感動したという手伝いをした便利屋の話を聞いて、映画製作の意欲が出るまでに変化するが、それでも葛藤があった方が話の展開としては面白いけれど、この映画を観ているとあっさり気持ちが変わるように見える。作品全体が軽いタッチなのも影響しているのかも知れないけど。

母親役の田中裕子が良い。セリフが少なく自分の息子を微笑むだけの芝居で母親の愛情を感じさせる。そして「陸軍」の母親は自分のお母さんがモデルではあるまいかという風にも思える。

ラストで木下恵介作品のフッテージがいろいろ出てくると、やはり感動した作品もあったので胸にせまる。そしてまた木下作品を観てみようかという意欲もわかせる。