ニノチカ

にのちか|Ninotchka|Ninotchka

ニノチカ

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レビューの数

55

平均評点

76.7(217人)

観たひと

315

観たいひと

23

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1939
公開年月日 1949/11
上映時間 110分
製作会社 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー映画
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「奥様は顔が二つ」に先じて作られた、同じくグレタ・ガルボとメリヴィン・ダクラスが主演する映画で、「天使」「桃色の店」のエルンスト・ルビッチが監督した1939年作品。ストーリーはメルシオール・レンギールが書き、「失われた週末」「青髭8人目の妻」の脚色チーム、チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダーが更に「未完成交響楽」のウォルター・ライシュと協力して脚本を執筆した。撮影は「裸の町」のウィリアム・ダニエルスである。助演者は舞台女優アイナ・クレアを始め、「フランケンシュタインの幽霊」のベラ・ルゴシ、「マルクス捕物帳 カサブランカの一夜」のシグ・ルーマン、「恋のブラジル」のフェリックス・ブレッサートその他。なお音楽は「桃色の店」「青髭8人目の妻」のウェルナー・リヒアルト・ハイマンが作曲した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

今は昔、サイレンが空襲警報の意味でなく、専ら美人の意味であった頃のこと。第何次かの5ヵ年計画進行中のソヴィエト連邦商務局から、3人の使節ラツイニン、イラノフ、ブルジアノフがパリへ派遣された。初めて見るブルジョア国の贅沢さに肝を潰したが、ソ連が帝政貴族連から没収した貴金属類売却の使命を果たしに取り掛かった。これを知ったのがホテルボーイになっている、かつてのスヴァナ伯爵夫人の侍僕だったラコーニンである。彼の注進で宝石奪還を謀る伯爵夫人は、愛人のレオンに一切を任せた。レオンは3使節をまるめ込み、軟化させてしまった。この状報にソ連本国では、特別全権使節を派遣したるこれが赤ん坊の時から共産主義をたたき込まれた模倣党員ニノチカ女史である。早速軟化した3姿勢使節をしめあげ、宝石の処分に掛かった。その夜、レオンは妙な美人に街頭でトンチンカンな質問を受け、笑いを忘れたかにこりともしない彼女に興味を持った。エッフェル塔に案内すると、彼女は2百13段の階段を一気に上って涼しい顔をしているのでいよいよ興味を持ち、彼女を自分のアパートに伴い、女たらしの天才を発揮して、名も知らぬこの美人とキッスを交した。そのラブシーンの最中、ブルジアノフから電話が掛かり、彼は初めて女がニノチカであることを知った。使命は重大だが、資本主義国のブルジョア生活の楽しさ、レオンとのキッスをニノチカは忘れかねた。レオンも宝石争奪戦の敵ではあるが、1女性としてのニノチカを熱愛するに至った。それを知った伯爵夫人は、ニノチカがパーティで泥酔した夜、ラコーニンに宝石を盗ませた上、翌朝ニノチカを訪ね、レオンから手を引けば宝石を返すと申し出た。使命に覚めたニノチカは、その申し出を受諾し、急ぎ宝石を処分して、同志3名を伴いモスクワへ帰った。ニノチカはパリと恋の思出に眠られぬ夜もあったが、続5ヵ年計画の遂行に献身した。ある日ニノチカは商務長官に呼ばれ、かつて彼女と共にパリへ行った3人を、毛皮売りにイスタンプールへ派遣したが、またもや任務を怠っているから監督に行けと任命された彼女がイスタンプールに着くと正装した3人が待っていた。3人共ソ連を亡命してこの地に料理店を開いているのである。あ然としているニノチカの前にレオンが現れた。あなたが僕のものにならないなら、あなたが僕のものになるまで、世界中のソ連商務館を料理店にしてしまうつもりだとレオンは言った。それを聞くと、今はやむなしとニノチカはレオンの胸に抱かれた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1994年9月上旬号

グラビア:ニノチカ

2025/01/03

2025/01/03

90点

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4年ぶり2回目の鑑賞

2025年1月3日に鑑賞。DVDにて。1時間50分21秒。スタンダード・黒白。ERNST LUBITSCH PRODUCTION=MGM映画。前回のDVDより画像が鮮明である。一部、フランス語。駅で「ハイル・ヒトラー」

チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、ウォルター・ライシュの脚本、ルビッチの演出が絶妙である。

グレタ・ガルボは、巧い、美しい。

3人組が絶妙です。同志コパルスキー「ベル1回でボーイ、2回でウェイターが来る。3回でフランス人のメイドが来る」同志アイラノフ「9回鳴らそう」→女性3人を呼ぶということか。実際に3人のタバコ売りのミニスカの女性が来る。支配人「ロイヤル・スイート(1日2000フラン)にしか金庫はありません」アイラノフ「安全のため、仕方なくと報告しよう」

★ここが傑作。レオンが昼食をとルームサービスを呼ぶ。ドアから2人の給仕が料理の2皿を室内へ(カメラは部屋の中を映さない。音だけ。ここが秀逸である)部屋の中から3人の「おー」という歓声。★ミニスカのタバコ売り娘が中に入った(この娘(Peggy Moran)美形です)「おーおー」という更に大きな歓声。ドアから給仕1人とタバコ娘が出て来た。髪を直しながら階段を下りる娘をカメラが追う。シャンパンを持った給仕が中へ。また歓声。すると、さっきのタバコ娘が別のタバコ娘2人を連れて戻ってきてドアの中へ。大歓声が上がる。カメラ中へ。料理と酒で寄っている3人。美人のタバコ娘と踊る同志ブリヤノフ。ここ傑作です。

3人は肩からカメラをさげて西側の服装で戻ってくる。

ニノチカ「タバコを」同志アイラノフが電話を掛ける。→ドアベル、入って来た例のタバコ娘3人。笑顔が凍る。ニノチカ「随分喫煙したな」

ニノチカ「その接近方法はこの地域独特のやり方か?」レオン「それがパリというものです」ニノチカ「資本主義社会の高慢な男か。お前のような男は消滅する」

レオン「パリジャンがエッフェル塔に登るのは、飛び降りる時だけ」

レオン「午前0時。時計の針が出会ってキスしてる」

ニノチカ「良いレストランは?」タクシー運転手「グルニエです」ニノチカ「あんたが行くのは?」運転手「マチューです」ニノチカ歩く。タクシーの中のレオン。

ニノチカ「ロシアのことわざ。ヒゲが濡れた猫は言い訳を始める」

「ヤギの乳」の瓶。

弁護士「所有権の裁判。1897年8月5日のマリーシュカ王妃の裁判が」

紳士服店「ベンソン&ベンズ」

酔ったニノチカが金庫を開けたまま眠り、レオンも部屋を出た。スワナ大公妃の部下の給仕のラコニンが宝石を取って大公妃へ渡した。

メーデー(「スターリン・デイ」と言っている)の行進。スターリンの絵のプラカード。

画面では、監督:Ernst Lubitsch、脚本:Charles Brackett、Billy Wilder、Walter Reisch、原案:Melchior Lengyel、音楽:Werner R. Heymann、美術:Cedric Gibbons、Associate:Randall Duell、Set Decorations:Edwin B. Willis、衣装[Gowns]:Adrian、Make-Up Created:Jack Dawn、Hair Styles for Miss Claire:Sydney Guilaroff、撮影:William Daniels、編集:Gene Ruggiero である。

出演は、Greta garbo(同志ニノチカ・ヤクショーヴァ/全権特使)、Melvyn Douglas(レオン・ダグー伯爵/35歳/ロシア人スワナ大公妃の愛人)、Ina Claire(スワナ大公妃/ロシア人亡命貴族)、Sig Rumann(ロシア貿易委員会・同志アイラノフ Iranoff/長い顎鬚)、Felix Bressart(ロシア貿易委員会・同志ブリヤノフ Buljanoff/メガネに顎鬚・やせ型)、Alexander Granach(ロシア貿易委員会・同志コパルスキー Kopalski/小柄)、George Gayl(ラコニン Rakonin伯爵/ウェイター/亡命ロシア人)、Edwin Maxwell(宝石商メルシエ)、Bela Lugosi(同志ラジーニン Razinin/ニノチカたちのモスクワの上司)、Rolfe Sedan(ホテルの支配人)、Richard Carle(ガストン/レオンの執事)、Peggy Moran 1918年生・20歳(First Cigarette Girl)ほか。

この映画の妙は、ニノチカをモスクワに帰らせた点である。ニノチカが3人の友人を招いて1人1個の卵でオムレツを作る。「パリ同窓会だ」このアパートの部屋のシーンが白眉である。ニノチカのアパートの(多分3室くらい+トイレ)フラットに別の家族が住み、ニノチカの部屋にはチェロ弾き女と女車掌がカーテンで仕切っただけのベッドに同居している。別室の男グリガノフが、2回ニノチカの部屋を通ってトイレに行く。

2021/05/23

2023/09/09

73点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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ソ連への皮肉が効きまくっている

ネタバレ

ハリウッド大スターガルボ主演


ソビエト国内では食糧危機が間近に迫っている中、ソ連の官僚3人が労働者風の格好で、パリに到着。かつての革命で政府が手に入れた財宝を元手に、国民の食糧の確保をするという仕事で高級ホテルに泊まることになる。

その財宝の元持ち主である大公妃もパリに亡命しており、そのホテルに在住。その給仕が財宝のありか聞きつけ、大公妃の恋人レオン(メルヴィン・ダグラス)が、色々と暗躍し、コメディ担当の3人組は資本主義に親しみ、豪遊をしだす。

そこに元軍曹ニノチカ(グレタ・ガルボ)を特命全権大使としてパリに到着。

研究熱心で、鉄骨の長さを測ったり、他国の技術力を吸収しようも貪欲、レオンにくどかれるが中々崩れない。
パーティー会場で給仕などに自身の価値に気づくべきだとストライキの実施を促したり、レオンについてる老執事にこの年になるまで働かされてとか言ったりして当惑させる。共産主義の融通の効かなさを痛烈に皮肉っている。

労働者の集まるレストランで、レオンがずっこけた時、終始真顔だったガルボは初めて大笑い。一気に進展する。
レオンとニノチカが上手くいった後、油断したすきに大公妃の給仕に財宝を奪われてしまい、大公妃との駆け引きののち、ソ連に帰ることに。

最後は3人組とレオンの活躍でニノチカはトルコで呼び寄せられハッピーエンド。

ソ連への皮肉が効いていて、コメディとしても面白いし、ストーリー展開も面白い。冷戦の時代を感じさせる映画だった。

2023/03/28

2023/03/28

88点

購入/DVD 


ルビッチ監督の傑作コメディ。

E・ルビッチ監督の傑作。ガチガチの共産党員グレタ・ガルボが恋愛感情を科学的に分析するのが可笑しい。メルヴィン・ダグラスも洒落ていて上質なロマンチックコメディになっている。ラストの共産主義に対する皮肉が効いている。

2023/02/19

2023/02/19

78点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 
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これが、伝説のエルンスト・ルビッチ

まず、バリバリの共産党員の役を、スターのグレタ・ガルボに演じさせるというアイデアがすごいと思います。

 太い声で何でも分析してみせる彼女に、言い寄るパリの貴族がテーブルで倒れるのを見て、大笑い。ここで声まで優しくなって素顔に戻っていきます。

 レーニンの写真を見て、笑いなさいよ、という始末。すると、写真が笑うのです。政治問題を逃げることなく、コメディというジャンルでまともに取り上げる姿勢も大したものだと感じます。

 そして、社会体制が違っても、顏が見える人と人であれば、親しくなれる、愛し合える、ということをきちんと描いています。さすがに名作です。

2022/07/05

2022/07/05

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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伝説の美女、グレタ・ガルボの作品は映画館だけでなくTVでもなかなかお目に掛かれない。本作は私にとって初めてのガルボ。
彼女の出演作としてはラストに近い頃で年齢的にも美しさのピークは越えていたようだが、確かに神秘的な雰囲気は健在でした。
他の作品を観ていないので分からないが、彼女が笑った珍しい作品であったらしい。
こんなコメディを現在のロシア人に見せたらとう思うのだろう。プーチンは無視するだろうなぁ。

2022/05/02

2022/05/02

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
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ロマンチック・コメディに名を借りた反共プロパガンダ!

ソ連共産主義対アメリカ帝国主義。本作がアメリカで公開された1930年代はスターリン恐怖政治の時代。その明け透けな風刺には頭が下がる。そもそもタイトルのニノチカもニーナ(あるいはニーノ)の指小辞で強いて言うなら「ニーナちゃん」とこれだけでもロシア人にしたら大人の女性を小馬鹿にした感じ。天下の大女優グレタ・ガルボのクールさがまたよく似合う。恋をしたら全てを捨ててでも一途に走る。そんな姿が何とも微笑ましい。反共プロパガンダは裏テーマでありながら、体制の異なる世界の男女が恋に落ちる物語としても十分楽しめる。