2001年宇宙の旅

にせんいちねんうちゅうのたび|2001: A Space Odyssey|2001: A Space Odyssey

2001年宇宙の旅

amazon
レビューの数

290

平均評点

81.9(1636人)

観たひと

2390

観たいひと

194

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル SF
製作国 アメリカ
製作年 1968
公開年月日 1968/4/11
上映時間 149分
製作会社 スタンリー・キューブリック・プロ
配給 MGM
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比 シネラマ(1:2.59)
上映フォーマット シネラマ
メディアタイプ フィルム
音声 6chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

科学小説作家アーサー・C・クラークと「博士の異常な愛情」のスタンリー・キューブリックが製作・監督したSF。撮影は「オセロ」のジョフリー・アンスワース、補助撮影はジョン・オルコットが担当した。なお、特殊撮影効果のすべてはキューブリックの考案、監督のもとに行われた。セットの製作デザインはトニー・マスターズ、ハリー・ラング、アーネスト・アーチャーの3人を中心にデザイナーと製図工35人が動員された。特殊効果監督には、ウォリー・ビーヴァーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン、トム・ハワード、の3人があたり衣裳は、ハーディ・エイミーズが担当した。そして、この映画を科学技術的に正確にするため、キューブリック監督はアメリカ航空宇宙局の多くの科学者、アメリカおよびイギリスの主要な科学研究所や大学と密接な提携をし、撮影中は、3人の一流科学者が技術顧問としてつき添った。それはもと陸軍弾道ミサイル部のフレドリック・J・オーダウェイとハリー・H・C・レンジ、元航空宇宙局の宇宙飛行センター勤務で、今はアラバマ州ハンツビルのジェネラル宇宙飛行研究会社のジョー・C・ジマーシャルである。出演は「女狐」のキア・デュリア、TVや「ヤング・ヤング・パレード」のゲイリー・ロックウッド、「BM15必死の潜行」のウィリアム・シルヴェスター、「キッスは殺しのサイン」のレナード・ロシター、「BM15必死の潜行」のマーガレット・タイザック、コンピューターに扮するダグラス・レインである。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

有史以前。類人猿の群れが、荒野に点在するわずかな植物を食料に、他の群れと水を奪い合い、外敵に怯えながら細々と生き延びていた。そんな彼らの前にある日、謎の黒い石板状の巨大な物体が姿を現す。それに触れた彼らは、辺りに散らばっていた動物の骨を道具として使うことを覚える。その骨を使って狩りをするようになった彼らは、肉を食料にし始め、骨を武器として他の群れとの争いにも勝利する。時は移り……。地球を飛び立ったアメリカの宇宙船が、宇宙ステーション目指して飛行を続けていた。ステーションに到着した宇宙船から降り立ったのは、フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)。そこでソ連の科学者と会った博士は、月面のクラヴィウス基地と2週間ほど連絡が取れなくなっているとの話を聞く。ソ連の宇宙船が緊急着陸を拒否されたことから、基地では伝染病が蔓延しているのではないかとの噂も流れていた。だが実は、博士は極秘任務のためにクラヴィウス基地へ向かっていたのだ。伝染病蔓延説は、秘密保持のため、基地側が意図的に流したデマだった。博士の訪問は、その秘密の公表に関する判断材料を得ることが目的だった。ステーションで宇宙船を乗り換え、基地に到着した博士は、月面のとある場所を訪れる。そこでは、あの黒い石板状の巨大な物体が発見されていた。しかも、それは400万年前、何者かによって意図的に埋められたものだという。宇宙服を着たまま、石板に触れる博士。さらに一行がその前で写真を撮ろうとすると、甲高い金属音が全員を襲う……。それからしばらく経ち、木星探査計画開始から18か月後。5名のクルーを乗せた有人宇宙船ディスカバリー号が木星へと向かっていた。船内では、ボウマン指揮官(キア・デュリア)と副官のプール(ゲイリー・ロックウッド)を除く3名が木星到着まで冬眠状態。代わりに船内の全機能を管理するのは、最新型コンピューター“HAL9000”、通称“ハル”だった。ボウマンの指揮下、人間以上の正確さで膨大な任務を遂行し、会話も可能なハルは、6人目のクルーとも言える存在だった。やがて、地球との交信に必要なパーツの不調を検知するハル。だが、ボウマンが確認したところ、異常は見当たらなかった。その原因を問い質すと、ハルは“自分の機能は完璧。人間のミス”と回答。その様子に、ハルの異常を疑ったボウマンとプールは、ハルの中枢機能の停止を決断する。ところが、それを察知したハルは、船外活動中のプールと冬眠中の3名を殺害。プールを助けようと船外に出たボウマンも危機に陥ったものの、辛うじて生還するとハルの思考機能を停止させる。その時、木星到着後に公開予定だった動画が再生され、極秘だった探査の目的が明らかになる。月面で発掘された例の石板が地球外の知的生命体の存在を示していたこと、そしてそれが木星に向けて強力な電波を発信していたこと……。やがて、木星に到着するディスカバリー号。そこでボウマンが目にしたものとは……?

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年3月下旬映画業界決算特別号

2018年映画業界総決算:第3章 映画界事件簿 時代を超えた「2001年宇宙の旅」

2010年8月下旬号

午前十時の映画祭:「2001年宇宙の旅」「ミクロの決死圏」

2001年8月下旬号

作品特集 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」第2弾:「猿の惑星」「2001年宇宙の旅」「A.I.」が予見するもの

2001年4月下旬号

特別企画 映画館主義 絶対映画館で観る!:「2001年宇宙の旅」

1968年6月上旬号

外国映画批評:2001年宇宙の旅

1968年5月下旬号

鼎談 「2001年宇宙の旅」の謎を解く:問題のシネラマ大作の本当のテーマは果して何か?数々の不思議なシーンの意味をSF作家が解明する 星新一×福島正実×小松左京

外国映画紹介:2001年宇宙の旅

1968年4月下旬号

新作グラビア:2001年宇宙の旅

2025/05/13

2025/06/03

95点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


キューブリックの「予言」

 まず驚いたことは、1968年にこれだけの特撮ができていたことです。木星に向けた宇宙船のアームが動き繊細な操作をおこなう。スターウォーズ誕生9年前にキューブリックはやってのけたのです。ルーカスほどのスピードや動きはありませんが、機械類や操作盤など当時見た人は驚愕したでしょう。2001年まで33年前です。2025年の今見ても1968年にこの映画を作ったという驚きしかありません。
 難解な映画といわれています。そうですあの「黒壁」が何を意味するのか。この映画は人類の祖先、サルの時代から始まります。サルが群れをなして縄張り争いをしています。そこに「黒壁」が出現します。サルたちは何をしたか。「武器」を発明し敵対する群れを駆逐します。
 シーンは切り替わり月に向けた宇宙船の中の描写になります。月に行くことが日常茶飯事になっている状況です。異常な事態がおこります。月になにか不明な物体がある、人類に危機を及ぼす恐れがあると研究者は危惧します。月のその場に行ってみると、あったのは「黒壁」でした。またしても黒壁です。
 それから8カ月後、木星に向けた宇宙船の船内の描写に切り替わります。乗組員は5人ですが3人はいわゆる冬眠中で船内では2名が仕事に従事しています。しかも宇宙船を実質動かしているのは人工知能であるHALです。このHALが宇宙船すべてをコントルールしています。
 しかしある日HALは暴走します。人間の命令に背くのです。そこで乗組員2名はどうなったか。ラストシーンにあらわれるのはまた「黒壁」です。
「黒壁」はなにを意味するのか。そこにこの映画最大のテーマが隠されています。
 サルの時代「武器」を持った時点で「進化」しているのです。「進化」はなぜ必要か、それは生存のためです。生存するためには、戦いに勝たねばならない。つまり人類の「進化」は戦い、戦争の繰り返しを意味するのです。まさに人類は戦争を繰り返し「進化」していきましたよね。それをキューブリックは描写しているのでしょう。
 次に月にあらわれた「黒壁」です。人類に危機をおよぼす恐れがあるもの。キューブリックの「予言」を解釈するのならまさに「コロナウイルス」の発生です。人類が「進化」し人間が創りだしてはいけないことに手をだした。この警告は数年前に全世  界で人類が経験したことに直結します。
 そして最後のHALの暴走。キューブリックはAIの誕生を1968年には「予言」していたのです。それも人間の知能をはるかに超えるAIの出現を。
 その結果どうなったか。最後にまたしても「黒壁」です。人類の「進化」のために作りだしたAIに人間がコントールされる。はたして人類の「進化」はこれほど必要であったのか。今、2025年に再度見て深く考えさせられました。
 キューブリックが1968年に「予言」した2001年。その「予言」は戦争の繰り返しはあたりまえのように続き、2001年まで人類は「進化」を止めませんでした。そして2025年。2020年コロナウイルスが世界を席巻し今まさにAIの開発に投資、研究戦争が進められています。
 人類はまだ「進化」と「黒壁」が必要でしょうか。充分人類は進化してきたのに。まさにサブタイトルの「a space odyssey」「長い冒険旅行」をしてきたのです。
 キューブリックが「予言」したHALの暴走だけは止めないといけません。
 キューブリックは人類とはいつまでも「進化」し続ける存在であり、その「進化」に人類が人間をみずから失うことを「長い冒険旅行」と捉えたのです。
 1968年のキューブリックの「予言」とおりに人類は生きている。HALが支配する宇宙船の中にあらわれた最後の「黒壁」は人類の「死」を「予言」しています。それでいいのか、今改めて考える最後の時ではないでしょうか。

2025/04/12

2025/04/12

75点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 
字幕


周期からの逸脱

冒頭の闇と音楽からして狂気の沙汰を感じる.この闇は時々やってくる.インターミッションの後にもただ黒い画面が続き,音が聞こえている.また,エンドクレジットが出た後も黒い画面は続き,音楽が聞こえている.全体としては静謐な画面と音響であるが,その分,奇妙な音,警告音が耳障りでもあり,呼吸音やどこかから空気が漏れるような音が窒息や緊張を誘う.そして音の出どころもよくわからないように,闇がなぜこうも続くのか,わからない.それでも重要な場面で三度ほど現れる黒いモノリスをクロースアップしたものが闇であり,その闇は宇宙本来の闇でもあるらしい.
太陽の惑星二つが直列に並ぼうとしている.その太陽が地上から見え,空や一帯を赤く染めている.こうした天体的な映像は,宇宙船も浮かび,回る映像とも連動し,生命的で,性的なアナロジーすら感じさせる.不毛にしか見えないその土地には二種の哺乳類の群れが見え,接近しながら生活をしているらしい,動物の骨も見える ネコ科の肉食獣が猿のような個体に襲いかかってもいる.夜は青白い光があたりを照らしている 虫の声も聞こえている.そこに黒い人工的な石板が立っており,白い骨を手にし,頭蓋骨を砕く,そして肉を食っているのだから,かつて隣人であった四つ足の草食獣を食べるようになったらしい.こうした時空を超えたような冒頭部分もサイレント的に進行に,それなりの長さもある.
旅行者はまどろんでいる.ペンが浮いている.ゆっくりと船内を歩く女性の乗務員がいる.モニターが見える.地球との通信もできるらしい.ゆっくり歩く,この人間の運動は一貫しており,それは無重力の宇宙空間の運動としても見えるが,運動性能の面では人間は退化したかのようでもある.そしてこの運動の遅滞が,水平と垂直の関係を曖昧にして,天地無用と回転という惑星や宇宙船という外部の運動への余地を生む.
ステーションは車輪のようにゆっくりと回っている.窓の外では光る地球が,あるいは月面が動き続けている.白い光るような内装に,赤い奇妙な造形のベンチがある.のちにただ中心が赤く光る「ハル」のクロールアップが続けて挿入されるその布石にもなっている.月面基地での出来事は,未知のものへと向かい,宇宙評議会のフロイド博士(ウィリアム・シルベスター)の任務が示され,ボーマン船長(キア・デュリア)らを木星探査へと向かわせる動機にもなっているらしい.
閉鎖的かつ開放的な宇宙は,地獄のようでいて,天国のようでもあり,船長らは特に感情を示さずにいるつもりであっても,ハルとの欺瞞的なコミュニケーションは互いをやや逆撫でしているかにも感じる.こうした微妙な感覚がやがて強烈な視覚体験へと増幅されていくかにも感じる.ゆっくりと回っていたその周期が時間を超越し,あるものとあるはずもないものを見せようとしている.

2025/03/24

2025/03/24

90点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


無音映像のすごさ。

再見。初見は展開や音がある派手なシーンに目が行きがちだったが、再見すると、無音シーンの緊張感と重厚さに圧倒された。ボーマンが行き着いた先のあの部屋のシーンは、当時はさっぱり理解できなかったけど、今は少し理解できるかも(笑)。この映画に関しては、解説サイトはみずに、何度も見て自分で理解を深めていきたい。

2025/01/14

2025/01/14

80点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 
字幕


面白かったですよ!

絶対に観たことがあると思っていたが、どうやら一度も鑑賞したことが無かったみたい。こんな名作を見てなかったなんて、なんてことなんだろう!今から56年も前にこんな素晴らしいSF映画を作っていたなんて、ホントビックリ!音楽も素晴らしかったし、とにかく感動の一言。

2025/01/04

2025/01/05

80点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 
字幕


最初に観たのは70年代に劇場でリバイバル上映版。冒頭の猿の群れが強烈で、全体的に意味不明だった記憶。
その後DVD化したものを観たりするうちに納得。今回はBS放送のリストア版で、映像が綺麗だった。
改めて観ると、宇宙船のデザインの格好良さに感心する。船の内部のメカもいい。
第三部は相変わらず意味不明だが、もっと難解な作品を何本も観たせいか、何となく理解したような気分。劇場の大スクリーンで見た最後の胎児(?)の姿は圧巻だったな。
一つ気になったのは、字幕ではやはりハルではなく、HALにして欲しいところ。

2024/05/05

2024/05/05

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


モノリス、魂の座

「HALも木から落ちるというでしょう」

人類と地球外生命体「モノリス」をめぐるSF叙事詩。
驚愕の一言。本作から約10年後に「スターウォーズ/新たなる希望」が公開されるが、宇宙の描写は本作の方が優っているし、現代でさえここまで宇宙を描ききったSF作品はほとんど存在しないのではないだろうか。そしてディスカバリー1号をはじめとする船内の光景が素晴らしい。キューブリック監督ならではの「柔らかい発光(ミルクのようなとでも言うべきか?)」は本作でも船内の描写に使用されており、ワクワクが止まらなかった。無重力空間のカメラワークは果たしてどのように撮影したのかなど、気になって仕方がない。勿体ないことをした。あと30年早く観ていれば、宇宙工学を勉強しようという気持ちも少しは湧いたかもしれない。
「人工知能が人類を超越する」というテーマをこの時点で扱ったアーサー・C・クラークもさることながら、やはり本作が映画史上の不滅の一作になったのはキューブリック監督の映像美によるところが大きく、彼の完璧主義がなければここまでの映像化は不可能だっただろう。
原始、類人猿は道具を用いることで独自の進化を遂げた。個々の身体能力は全動物の中でも平均以下であったが、道具の組み合わせにより生物界でもトップクラスの支配力を持つようになった。地球に収まりきらず宇宙に進出した人類にとって、次なる障害は「個体であること」なのかもしれない。個体を打ち破ったとき、人類は次の段階に進むことになるだろう。これも全てはモノリスのシナリオ通りか?